レンタカーでキュタフヤ県やバルケシル県の温泉を巡ってまいりましたが、4日間にわたって私の旅の相棒をつとめてくれたレンタカーともいよいよお別れ。ブルサの営業所へ返却後は、タクシーでバスターミナルへ行って、バスでこの日の宿泊予定地であるヤロワへと向かいました。
●ブルサからヤロワのテルマル温泉へ移動
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巨大なブルサのバスターミナルでは、余多のバス会社が窓口を開いており、どこを尋ねたらよいものか見当がつきません…。
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そんなこともあろうかと、先日当ブログでも取り上げたトルコのバス時刻検索サイト"Neredennereye.com"、およびトルコ西部に強いネットワークを持つキャミルコチ(Kâmil Koç)の公式サイトを前夜のうちに調べておいたところ、ブルサからヤロワへ行くバスの本数は多いのですが、どういうわけか、私が移動したい時間帯(16時~17時)だけ妙なブランクがあり、たとえばキャミルコチの場合は18時まで次の便が無く、Neredennereye.comで時刻検索ができるような他の大手会社も、やはり上手い具合に乗り継ぐことができません。2時間近い待ち時間を覚悟しかけた時、キャミルコチの隣の窓口を見たら、ヤロワ(YALOVA)と大きく記されているバス会社を発見。その窓口で次のバスの時刻を尋ねたところ、何と15分後にヤロワへ行くバスが発車するとのこと。まさに渡りに船のグッドタイミング。中小資本の会社なので、いささかの不安は拭えませんが、ま、何とかなるだろうと即時にチケットを購入しました。運賃は14リラ。
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白いボディーに"Yalova"と緑字で記された"Yalova Seyahat"社のバスに乗車です。フロントガラスには「フェリー経由イスタンブール行」と表示されていましたので、おそらくヤロワの埠頭からバスごとフェリーに乗り、海上をショートカットしてイスタンブールまで行くのでしょう。
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大手のバス会社と違って車内サービスはペットボトルのミネラルウォーターだけですが、他社より早く到着できるんですから文句は言えません。ヘッドホン付きの車内モニターも装備しており、居住性も問題ありません。
定刻通りに出発したバスは幹線道路D575号を北上します。途中ゲムリク(Gemlik)という街を通過中に、車窓からチラッと海を望むことができました。
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ブルサからぴったり1時間でヤロワのバスターミナルに到着です。このバスターミナルはフェリー埠頭に隣接しており、バスを降りると潮の香がふわっと鼻をくすぐってきました。バスターミナルからフェリー埠頭にかけての一帯は人混みでごった返しており、当地が交通の要衝であることを実感させてくれます。ヤロワの温泉街はこのバスターミナル(埠頭)から南西へ15kmほど入ったテルマルという街にあるのですが、既にとっぷり日が暮れており、なるべく早めに宿に着きたかったので、ヤロワの街では寄り道せずに、すぐにテルマル行きのミニバスに乗り込みました。
夕刻の帰宅時間帯だからかミニバスは大変混雑しており、にもかかわらず街の途中で次々にお客を拾うものだから、最終的にはドアを閉めることですら難儀するほどギュウギュウ詰めになる始末。そんな状態でも老人にはすすんで席を譲ろうとし、運賃の受け渡しや停留所に関する伝言もお客さん同士で協力しあうのですから、その公共心には敬服の念を抱かざるを得ません。
●ホテルにチェックイン
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途中渋滞に巻き込まれたため、50分弱かかってバスはようやくテルマルへと辿り着きました(日中ならば30分ほど)。上述のようにヤロワ温泉はブルサの中心部から15kmも離れたテルマルという別の街に位置しているため、街の名前をとってテルマル温泉と称されることもあります。温泉名に関してヤロワとテルマルのどちらを選択すべきか、初訪問の私には判別できませんので、以下、当ブログでは両方を併記させていただき、文章的にクドくなったらヤロワ温泉のみを表記することにします。
ミニバス乗車時に運転手へホテル名を告げておいたところ、ホテルの目の前で降ろしてくれました。トルコのミニバスは融通が効くので助かります。ここがその晩お世話になった「テルマル・パルク・オテル(Termal Park Otel)」です。英語で表記し直せば"Thermal Park Hotelとなるはず。文字通り緑豊かな公園の傍にある温泉ホテルです。バス下車後に外観を撮ったのですが、暗い中ではちっとも状況がわかりませんから…
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翌朝改めてホテルの外観を撮影しました。温泉街の真ん中を貫く坂道の途中に位置する、4階建てのホテルです。安宿でも高級ホテルでもない、中間価格帯のごくごく普通なホテルです。
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上画像は夜のロビーです。表情豊かなフロントのおじさんは、満面の笑みを浮かべて対応してくれ、しかも英語が流暢でしたので、コミュニケーション面でも苦労せずに済みました。一方、ボーイとして働くおじさんは、晩年の横山ノックを上から押し潰したような、低身長・禿頭・太鼓腹という3拍子が揃った体型で、英語を理解している様子もなく、能面のようにどんな時でも無表情。でも、どんな仕事もそつなくこなし、動作も機敏で、ボーイとしては合格点なのです。無表情のままチョコマカ動き回る様は小動物のようでもあり、もし日本の若い女の子達が彼を見つけたら、カワイイおじさんとして持て囃すこと間違いなし。私の旅の記憶にも、強烈なキャラクターがはっきりと刻まれました。個人的にはそのキャラを活かして、是非何らかのコメディー映画に出演してほしいなぁ。
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そんなおじさんボーイに案内されて客室へ。セミダブルが2つ並ぶツインルームです。冷蔵庫・テレビ・ミニバー・エアコンなどひと通りの設備が備え付けられており、テレビはNHKワールド(英語放送)が視聴可能で、Wifiもしっかり飛んでいました。
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各客室にはベランダがあり、私が泊まった部屋からはテルマルの街を一望することができました。
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上画像は朝にベランダから景色を眺めた様子。見晴らし良好、なかなかのロケーションです。すり鉢状の地形の向こう側にはジャーミー(モスク)があり、朝5時頃には街中に轟く大音響でアザーンで強制的に目を覚まされました。ホテルとジャーミーの間は谷状になっているため遮るものがなく、アザーンがストレートに届いてしまうんですね。これもイスラム圏ならではの体験であります。
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当然ながら客室にはいくつかのランクがあるわけですが、私はバスタブが使えるランクのお部屋を選びました。なぜなら客室の水栓からヤロワの温泉が出てくるから。実際にコックを開けたところ、直に触れないほど激熱の温泉が吐出されました。水栓金具のお湯側には白い析出がこびりついており、湯気とともに弱い石膏臭と芒硝臭が漂います。バスタブにはジャグジーが備え付けられていましたので、この時は缶ビールを飲みながらジャグジーを動かし、優雅な気分で部屋風呂を楽しみました。なおバスタブが無い部屋もあるみたいです。
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部屋風呂で飲んだ缶ビールは、トルコで最もメジャーな銘柄の「エフィス」。サントリーの「金麦」みたいなデザインですが、間違いなく「エフェス」の方が先輩なんでしょうね。缶の上部には各国語でビールを意味する単語が並んでおり、アルファベットと伍しながら「ビール」という日本語もプリントされていました。
●ホテル内の貸切風呂
ホテルの地下には貸し切りの個室風呂があり、宿泊客は無料で利用できますので、フロントに利用したい旨を申し出て、入浴させてもらうことにしました。ここでも件のおじさんボーイが案内してくれます。彼に言えばバスタオルも貸してくれます。
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地下の廊下には数部屋の個室が並んでいました。どの部屋も同じ造りのようですので、この時はおじさんが通してくれた3号室を利用することにしました。脱衣室内はロイヤルブルーのタイル貼りで、腰掛けや鏡の枠などに用いられている木材が、見た目の印象を柔和にしています。
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(↑サムネイルをクリックすると分析表の画像が拡大されます)
廊下には温泉分析表が掲示されていました。データの抄出は当ページの下部に掲載しておきますが、これによれば泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉で、源泉温度は60℃もあるんですね。
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浴室内は脱衣室と同じくタイル貼りですが、浴槽は総大理石で、少なくとも2人は余裕、詰めれば3人入れちゃいそうな、ゆとりのあるキャパを有しています。大きな浴槽ですから、空の状態からお湯を張るには時間がかかりそうですが、お湯の吐出量が多いので、意外とすぐに入浴に適した嵩まで溜まってくれました。
真鍮の水栓から出てくる温泉の温度は59.8℃。分析表には60℃と表記されていましたから、ほとんど変わっていませんね。このままではさすがに熱すぎるので、適宜水で薄めながら温度調整しました。客室のカランと同様に、水栓のお湯側や吐出口は、温泉成分の析出によって白い粉状のものが付着しています。
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十分にお湯が溜まったところで、いざ入浴です。肩までしっかり入れる深さがあり、槽自体の容量も大きく、総大理石ならではの滑らかな肌触りが心地よいので、一人で湯浴みすると贅沢な気分に浸れました。貸切の個室ですから、日本と同じように一糸まとわない姿で入浴できるのも嬉しいですね。
お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、石膏と芒硝の味や匂いがやんわりと感じられます。サラスベとひかかる浴感が混在しており、腕でお湯を掻くと、弱いながらもトロミが伝わってきました。一見すると癖の無さそうなお湯ですが、温まりパワーが大変強く、湯上がりは汗がちっとも引きません。部屋に備え付けられていたバスローブを羽織ったのですが、大量発汗のためにビショビショになってしまったほどです。外観からは想像できない実力派のお湯でした。
●温泉街で食事
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風呂から上がってひと呼吸おいたところで、夕食をとるため夜の温泉街を散策です。ホテル前の坂道に沿って、飲食店や土産店など観光客向けのお店がたくさん並んでおり、各店舗を見て回っているうち、アラビア文字やサウジアラビアの国旗が店先で目立っていることに気づきました。この街はそちらの方面からのお客さんに好まれているのでしょう。たしかに各ホテルのロビーでは、ご主人と行動をともにする、真っ黒なアバヤを纏った奥様の姿をよく見かけました。
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どのお店を選ぼうか迷っているうち、店先からお兄さんに声をかけられたので、呼び声につられてそのレストランへ入ることにしました。メニューとしてはごく一般的なトルコ料理がラインナップされていたので、その中でも無難と思われたイスケンダル・ケバプを注文したのですが、目の前に出されたものはメニューの写真とは別物で、盛り付けが単調で味にもいまいち深みが無く、ブルサにある元祖の店で本物のイスケンダル・ケバプを食べている私としては、いまひとつ物足りない食事になってしまいました。ま、この街を訪れた目的は温泉入浴であり、既にその目的は達せられているのですから、それで十分満足しているんですけどね。
次回記事では、翌朝に利用したテルマル(ヤロワ)温泉のハマムについて取り上げます。
以下は「テルマル・パルク・オテル」に関する諸データです
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 60℃ pH7.56 成分総計1401.590mg/kg
Na+:250.591mg(57.206mval%), Ca++:155.310mg(40.755mval%),
Cl-:77.484mg(11.405mval%), SO4--:775.000mg(84.246mval%), HCO3-:42.700mg(3.652mval%),
H2SiO3:84.604mg, HBO2:2.028mg,
(2002年1月29日分析)
GPS座標:N40.605514, E29.174772,
ホームページ
日帰り入浴が可能がどうかは不明
私の好み:★★+0.5
●ブルサからヤロワのテルマル温泉へ移動
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巨大なブルサのバスターミナルでは、余多のバス会社が窓口を開いており、どこを尋ねたらよいものか見当がつきません…。
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そんなこともあろうかと、先日当ブログでも取り上げたトルコのバス時刻検索サイト"Neredennereye.com"、およびトルコ西部に強いネットワークを持つキャミルコチ(Kâmil Koç)の公式サイトを前夜のうちに調べておいたところ、ブルサからヤロワへ行くバスの本数は多いのですが、どういうわけか、私が移動したい時間帯(16時~17時)だけ妙なブランクがあり、たとえばキャミルコチの場合は18時まで次の便が無く、Neredennereye.comで時刻検索ができるような他の大手会社も、やはり上手い具合に乗り継ぐことができません。2時間近い待ち時間を覚悟しかけた時、キャミルコチの隣の窓口を見たら、ヤロワ(YALOVA)と大きく記されているバス会社を発見。その窓口で次のバスの時刻を尋ねたところ、何と15分後にヤロワへ行くバスが発車するとのこと。まさに渡りに船のグッドタイミング。中小資本の会社なので、いささかの不安は拭えませんが、ま、何とかなるだろうと即時にチケットを購入しました。運賃は14リラ。
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白いボディーに"Yalova"と緑字で記された"Yalova Seyahat"社のバスに乗車です。フロントガラスには「フェリー経由イスタンブール行」と表示されていましたので、おそらくヤロワの埠頭からバスごとフェリーに乗り、海上をショートカットしてイスタンブールまで行くのでしょう。
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大手のバス会社と違って車内サービスはペットボトルのミネラルウォーターだけですが、他社より早く到着できるんですから文句は言えません。ヘッドホン付きの車内モニターも装備しており、居住性も問題ありません。
定刻通りに出発したバスは幹線道路D575号を北上します。途中ゲムリク(Gemlik)という街を通過中に、車窓からチラッと海を望むことができました。
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ブルサからぴったり1時間でヤロワのバスターミナルに到着です。このバスターミナルはフェリー埠頭に隣接しており、バスを降りると潮の香がふわっと鼻をくすぐってきました。バスターミナルからフェリー埠頭にかけての一帯は人混みでごった返しており、当地が交通の要衝であることを実感させてくれます。ヤロワの温泉街はこのバスターミナル(埠頭)から南西へ15kmほど入ったテルマルという街にあるのですが、既にとっぷり日が暮れており、なるべく早めに宿に着きたかったので、ヤロワの街では寄り道せずに、すぐにテルマル行きのミニバスに乗り込みました。
夕刻の帰宅時間帯だからかミニバスは大変混雑しており、にもかかわらず街の途中で次々にお客を拾うものだから、最終的にはドアを閉めることですら難儀するほどギュウギュウ詰めになる始末。そんな状態でも老人にはすすんで席を譲ろうとし、運賃の受け渡しや停留所に関する伝言もお客さん同士で協力しあうのですから、その公共心には敬服の念を抱かざるを得ません。
●ホテルにチェックイン
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途中渋滞に巻き込まれたため、50分弱かかってバスはようやくテルマルへと辿り着きました(日中ならば30分ほど)。上述のようにヤロワ温泉はブルサの中心部から15kmも離れたテルマルという別の街に位置しているため、街の名前をとってテルマル温泉と称されることもあります。温泉名に関してヤロワとテルマルのどちらを選択すべきか、初訪問の私には判別できませんので、以下、当ブログでは両方を併記させていただき、文章的にクドくなったらヤロワ温泉のみを表記することにします。
ミニバス乗車時に運転手へホテル名を告げておいたところ、ホテルの目の前で降ろしてくれました。トルコのミニバスは融通が効くので助かります。ここがその晩お世話になった「テルマル・パルク・オテル(Termal Park Otel)」です。英語で表記し直せば"Thermal Park Hotelとなるはず。文字通り緑豊かな公園の傍にある温泉ホテルです。バス下車後に外観を撮ったのですが、暗い中ではちっとも状況がわかりませんから…
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翌朝改めてホテルの外観を撮影しました。温泉街の真ん中を貫く坂道の途中に位置する、4階建てのホテルです。安宿でも高級ホテルでもない、中間価格帯のごくごく普通なホテルです。
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上画像は夜のロビーです。表情豊かなフロントのおじさんは、満面の笑みを浮かべて対応してくれ、しかも英語が流暢でしたので、コミュニケーション面でも苦労せずに済みました。一方、ボーイとして働くおじさんは、晩年の横山ノックを上から押し潰したような、低身長・禿頭・太鼓腹という3拍子が揃った体型で、英語を理解している様子もなく、能面のようにどんな時でも無表情。でも、どんな仕事もそつなくこなし、動作も機敏で、ボーイとしては合格点なのです。無表情のままチョコマカ動き回る様は小動物のようでもあり、もし日本の若い女の子達が彼を見つけたら、カワイイおじさんとして持て囃すこと間違いなし。私の旅の記憶にも、強烈なキャラクターがはっきりと刻まれました。個人的にはそのキャラを活かして、是非何らかのコメディー映画に出演してほしいなぁ。
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そんなおじさんボーイに案内されて客室へ。セミダブルが2つ並ぶツインルームです。冷蔵庫・テレビ・ミニバー・エアコンなどひと通りの設備が備え付けられており、テレビはNHKワールド(英語放送)が視聴可能で、Wifiもしっかり飛んでいました。
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各客室にはベランダがあり、私が泊まった部屋からはテルマルの街を一望することができました。
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上画像は朝にベランダから景色を眺めた様子。見晴らし良好、なかなかのロケーションです。すり鉢状の地形の向こう側にはジャーミー(モスク)があり、朝5時頃には街中に轟く大音響でアザーンで強制的に目を覚まされました。ホテルとジャーミーの間は谷状になっているため遮るものがなく、アザーンがストレートに届いてしまうんですね。これもイスラム圏ならではの体験であります。
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当然ながら客室にはいくつかのランクがあるわけですが、私はバスタブが使えるランクのお部屋を選びました。なぜなら客室の水栓からヤロワの温泉が出てくるから。実際にコックを開けたところ、直に触れないほど激熱の温泉が吐出されました。水栓金具のお湯側には白い析出がこびりついており、湯気とともに弱い石膏臭と芒硝臭が漂います。バスタブにはジャグジーが備え付けられていましたので、この時は缶ビールを飲みながらジャグジーを動かし、優雅な気分で部屋風呂を楽しみました。なおバスタブが無い部屋もあるみたいです。
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部屋風呂で飲んだ缶ビールは、トルコで最もメジャーな銘柄の「エフィス」。サントリーの「金麦」みたいなデザインですが、間違いなく「エフェス」の方が先輩なんでしょうね。缶の上部には各国語でビールを意味する単語が並んでおり、アルファベットと伍しながら「ビール」という日本語もプリントされていました。
●ホテル内の貸切風呂
ホテルの地下には貸し切りの個室風呂があり、宿泊客は無料で利用できますので、フロントに利用したい旨を申し出て、入浴させてもらうことにしました。ここでも件のおじさんボーイが案内してくれます。彼に言えばバスタオルも貸してくれます。
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地下の廊下には数部屋の個室が並んでいました。どの部屋も同じ造りのようですので、この時はおじさんが通してくれた3号室を利用することにしました。脱衣室内はロイヤルブルーのタイル貼りで、腰掛けや鏡の枠などに用いられている木材が、見た目の印象を柔和にしています。
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(↑サムネイルをクリックすると分析表の画像が拡大されます)
廊下には温泉分析表が掲示されていました。データの抄出は当ページの下部に掲載しておきますが、これによれば泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉で、源泉温度は60℃もあるんですね。
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浴室内は脱衣室と同じくタイル貼りですが、浴槽は総大理石で、少なくとも2人は余裕、詰めれば3人入れちゃいそうな、ゆとりのあるキャパを有しています。大きな浴槽ですから、空の状態からお湯を張るには時間がかかりそうですが、お湯の吐出量が多いので、意外とすぐに入浴に適した嵩まで溜まってくれました。
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真鍮の水栓から出てくる温泉の温度は59.8℃。分析表には60℃と表記されていましたから、ほとんど変わっていませんね。このままではさすがに熱すぎるので、適宜水で薄めながら温度調整しました。客室のカランと同様に、水栓のお湯側や吐出口は、温泉成分の析出によって白い粉状のものが付着しています。
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十分にお湯が溜まったところで、いざ入浴です。肩までしっかり入れる深さがあり、槽自体の容量も大きく、総大理石ならではの滑らかな肌触りが心地よいので、一人で湯浴みすると贅沢な気分に浸れました。貸切の個室ですから、日本と同じように一糸まとわない姿で入浴できるのも嬉しいですね。
お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、石膏と芒硝の味や匂いがやんわりと感じられます。サラスベとひかかる浴感が混在しており、腕でお湯を掻くと、弱いながらもトロミが伝わってきました。一見すると癖の無さそうなお湯ですが、温まりパワーが大変強く、湯上がりは汗がちっとも引きません。部屋に備え付けられていたバスローブを羽織ったのですが、大量発汗のためにビショビショになってしまったほどです。外観からは想像できない実力派のお湯でした。
●温泉街で食事
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風呂から上がってひと呼吸おいたところで、夕食をとるため夜の温泉街を散策です。ホテル前の坂道に沿って、飲食店や土産店など観光客向けのお店がたくさん並んでおり、各店舗を見て回っているうち、アラビア文字やサウジアラビアの国旗が店先で目立っていることに気づきました。この街はそちらの方面からのお客さんに好まれているのでしょう。たしかに各ホテルのロビーでは、ご主人と行動をともにする、真っ黒なアバヤを纏った奥様の姿をよく見かけました。
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どのお店を選ぼうか迷っているうち、店先からお兄さんに声をかけられたので、呼び声につられてそのレストランへ入ることにしました。メニューとしてはごく一般的なトルコ料理がラインナップされていたので、その中でも無難と思われたイスケンダル・ケバプを注文したのですが、目の前に出されたものはメニューの写真とは別物で、盛り付けが単調で味にもいまいち深みが無く、ブルサにある元祖の店で本物のイスケンダル・ケバプを食べている私としては、いまひとつ物足りない食事になってしまいました。ま、この街を訪れた目的は温泉入浴であり、既にその目的は達せられているのですから、それで十分満足しているんですけどね。
次回記事では、翌朝に利用したテルマル(ヤロワ)温泉のハマムについて取り上げます。
以下は「テルマル・パルク・オテル」に関する諸データです
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 60℃ pH7.56 成分総計1401.590mg/kg
Na+:250.591mg(57.206mval%), Ca++:155.310mg(40.755mval%),
Cl-:77.484mg(11.405mval%), SO4--:775.000mg(84.246mval%), HCO3-:42.700mg(3.652mval%),
H2SiO3:84.604mg, HBO2:2.028mg,
(2002年1月29日分析)
GPS座標:N40.605514, E29.174772,
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日帰り入浴が可能がどうかは不明
私の好み:★★+0.5