温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

草津温泉 碧の湯

2015年03月15日 | 群馬県
 
2012年に草津19番目の共同浴場として誕生した「碧の湯」。既に温泉ファンの皆さんによるレポートがネット上にたくさん上がっていますので、私のその尻馬に乗ってみることにしました。道の駅に車を駐め、徒歩で分譲別荘地「草津緑苑」へ向かいます。


 
道の駅から歩いて15分ほどで、お目当ての「碧の湯」に到着です。別荘地内のロータリーそばにあるので、比較的容易に見つけられました。全体的に縮小傾向のある温泉業界にありながら、草津温泉ではネガティヴな世間の流れに抗って新たに浴場を増やしているんですから、さすが天下の温泉は底力が違うなと感心しきりなのですが、明らかに草津の他の外湯と異なる趣きのこの湯屋は、以前「あい京」という屋号で営まれていた旅館の跡であり、廃業後の建物を共同浴場として再活用したわけですね。なぜか今でも旅館のホームページが残っています。


 
建物の前には旅館時代に駐車場として使われていたスペースがありますが、現在ではバリケードが置かれて使用不可になっていますので、車でこちらを訪れる際は公共駐車場のご利用を。
玄関には利用案内が掲示されており、「一般利用時間は10時より15時と致します」と記されていますので、私のような外部の人間も利用可能であることが読み取れます。この掲示で面白いのが、禁止事項のひとつに、喫煙や飲食と並んで、場内での「高歌放吟は厳禁です」と記されている点。湯浴みして気持ちよくなると、ついつい歌いたくなる方がいるのはわかりますが、周囲は静かな別荘地ですし、風呂場は声が響きますから、敢えて注意書きのひとつとして列挙したのでしょうね。もしかしたらこの地区には、ジャイアンのリサイタル並に下手な歌声が響いた苦い経験があるのかも。


 
さすが元旅館の建物だけあり、館内は和風でゆったりしており、とても外湯とは思えません。しかも地元の方々がきっちりメンテナンスしてくださっているおかげで清潔感があります。管理人が常駐していない無人施設ですから、利用させていただく我々としても、綺麗に使いたいものですね。フローリングの廊下を進んで浴室へと向かいます。


 
脱衣室も中小規模の旅館そのもの。外観・玄関・脱衣室と、草津の共同浴場っぽくない雰囲気が続くので、本当にここで入浴して大丈夫なのかと、ちょっぴり不安を覚えてしまいました。室内には団扇が備え付けられており、湯上がりに火照った体を冷ますのに助かりました。


 
浴室の戸を開けると、万代鉱源泉らしい酸っぱい刺激臭が鼻を突いてきました。旅館時代のままの浴室には、窓下に浴槽がひとつ据えられ、壁はタイル貼りで、床は石板敷きです。浴槽のお湯は洗い場へ惜しげも無く溢れ出ており、温泉成分の付着によって、床の上はクリーム色に染まっていました。
洗い場には3人分のスペースが用意されていますが、かつてボイラーから給湯されていたと思しき配管は封栓され、現在は樹脂製の水道蛇口が2つあるのみ。シャワーなどはありません。



浴槽隅の湯口よりお湯が絶えず供給されていました。掲示されている分析表によれば、こちらに引かれているお湯は、草津ではメジャーな万代鉱源泉。無色透明で透明度が高く、口腔の粘膜を激しく収斂させる強烈な酸っぱさと塩味が感じられます。


 
浴槽はおおよそ3人サイズ。加温加水などの無い完全掛け流しですが、供給されるお湯が相当熱いために訪問時は湯船がちょっと熱く、しっかり湯もみをしたところ、加水せずとも入浴できる湯加減に落ち着いてくれました(44.1℃でした)。
強酸性のお湯ですから、湯船への入りしなは脛や腿などにピリピリとした刺激が走り、入浴中はヌルヌルを伴うスベスベ感が肌に伝わってきます。きっとケミカルピーリング的な効果も期待できるのでしょうね。でも草津屈指の凶暴さを誇る万代鉱のお湯ですので、長湯は禁物。適度なところでお風呂から上がらせてもらいました。



ちなみに2014年8月の一ヶ月間は玄関が開放され、10:00~15:00以外でも外来者の利用が可能でした。「区民の方へ 鍵を掛けないで下さい」という文字がありがたいですね。利用状況などによって判断されるのでしょうけど、この措置は今年も実施されるでしょうか。
湯畑に集まってくるような一般的な観光客はほとんどここまで来ないでしょうから、このお風呂を知るのは地元の方か、マニアックな温泉ファンのいずれかだろうと推測されます。そんな立地が幸いしてか、私が訪れた時には終始独占できました。維持管理してくださる地元の方、そしてこんな素敵な外湯を紹介してくださる温泉ファンの方に感謝申し上げます。


万代鉱
酸性-塩化物・硫酸塩温泉 96.5℃ pH1.6 掘削自噴 溶存物質3.30g/kg 成分総計3.32g/kg
H+:26.0mg(54.84mval%), Na+:101mg(9.35mval%), Mg++:57.0mg(9.97mval%), Ca++:102mg(10.84mval%), Al+++:47.1mg(11.15mval%),
F-:23.2mg, Cl-:742mg(44.41mval%), Br-:2.9mg, SO4--:836mg(36.92mval%), HSO4-:732mg(16.00mval%),
H2SiO3:501mg, HBO2:18.7mg, H2SO4:48.1mg,
加温加水循環消毒なし

群馬県吾妻郡草津町大字草津235-71

外来者の入浴時間10:00~15:00
備品類なし

私の好み:★★
コメント
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