温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

赤井川カルデラ温泉 赤井川村構造改善センター

2016年08月09日 | 北海道
残暑お見舞い申し上げます。
この蒸し暑い中、わざわざ熱い温泉なんて入りたくないと仰る方もいらっしゃるかと思いますが、今回記事からはしばらく半年前の冬に訪れた北海道の温泉を、雪景色とともに紹介させていただきますので、画像に写る雪景色をご覧になることで一服の涼を感じていただければ幸いです。
まずは小樽や余市の南方に位置する赤井川村から巡ることにしましょう。

 
赤井川村の中心部は、環状のカルデラに囲まれた円形の盆地になっています。そのカルデラを形成した火山は現在活動していませんが、かつての名残なのかボーリングによって地中から温泉が湧き出ているようです。村役場の裏手にある「赤井川村構造改善センター」には温泉浴場が併設されており、その名も「赤井川カルデラ温泉」と称します。温泉浴場を設けたところで村の構造がどのように改善されるかわかりませんが、カルデラ温泉というユニークな名前に心惹かれた私は、どんなお湯と出会えるのか、行ってみることにしました。


 
玄関入って右手に受付、左手に座敷、奥に食堂があり、入浴や食事などを通じて村民が集える場となっているようです。冬の農閑期にはその機能を存分に発揮することでしょう。また、玄関ホールでは農産物などの食料品が販売されており、生活面も支えているようでした。受付前に設置されている券売機で料金を支払い、受付の右斜め前に掛けられている暖簾をくぐって浴場へと向かいます。


 
この「赤井川カルデラ温泉」は2014年にリニューアルされており、従来の浴場に加えて新浴室が増設されました。まずは従来の浴場(以下、本館浴場)から見て行くことにします。
本館浴場は大きなガラス窓と高くそびえる岩の壁が印象的で、その壁の下に岩や石で縁取られた主浴槽が設けられています。窓の面積が大きく採られている割には、室内はさほど明るくないのですが、これは後述する露天風呂のスペースを確保するため、本館浴場をセットバックさせているためかと思われます。
浴室の脱衣室側には洗い場が配置され、計10基のシャワー付きカランが並んでいました。なお洗い場に備え付けられているアメニティーは石鹸だけですので、ボディソープやシャンプーなどが必要な方は持参することをおすすめします。


 
うずたかく積み上げられた岩の上から、50℃近い熱いお湯が滝のように浴槽へザバザバと落とされており、湯船からは惜しげもなくお湯が溢れ出ていました。浴槽を縁取る岩は浴槽自体をも大小に分割しており、小さな方は若干浅くなっているのですが、湯加減は大小で差はなく、私の体感で42〜3℃といったところでした。


 
本館浴場のガラス窓の外側には露天風呂がお湯を湛えていました。降雪地ゆえに頭上は屋根で覆われており、また周囲は目隠しのために塀で囲まれていますが、塀と入浴ゾーンの間には庭のようなバッファが広く確保されているため閉塞感はなく、塀の下に積もった雪を眺めながら雪見風呂を楽しませてもらいました。欲を言えば、建物を支える太い柱が邪魔で艶消しなのですが、こればかりは構造上致し方ありません。


 

本館浴場の内湯と同様にこちらも岩風呂であり、岩積みの上からお湯が落とされていますが、その大きさははるかにコンパクトで、寸法は目測でおおよそ2m×3m、5〜6人サイズといったところでしょうか。なお内湯はタイル貼りでしたが、こちらは底面に鉄平石が採用されており、より本格的な岩風呂としての風情を醸し出しています。湯加減は内湯より若干42℃前後ですが、外気の影響を受けるにもかかわらずこの温度が保たれているのは投入量の多さのおかげであり、見ているだけで豪快な気持ちになるほど、浴槽縁の上をお湯がどんどん溢れ出ていました。


 
最後に、本館浴場に隣接している新浴室にも入ってみました。横に長い窓に面して浴槽が据えられ、その手前側の左右に洗い場を配し、さらにはサウナや水風呂なども設けて、利用者の多様なニーズに応えています。壁に木材を用いることによって、岩風呂の本館浴場とは違った柔和でぬくもりのあるイメージを作り出そうとしていますが、新しいお風呂なのに天井が低いので、明らかに後から増設した感が強く、開放感としては本館浴場の方が勝っているかもしてません。


 
浴槽は4m×3mの四角形で、14〜15人は入れそうなキャパがあります。槽内こそタイル張りですが縁には木材が用いられ、壁とともに和の温泉らしい風情を漂わせていました。ただこの新浴室のお風呂は、なぜか一般的な浴槽よりも全体的に浅く作られているため、若干寝そべるような姿勢にならないと肩まで湯に浸かれません。また、御影石の湯口から注がれるお湯は本館浴場や露天風呂と同じお湯ですが、湯加減は41℃程度に抑えられていました。このため、常連さんは深くて入り応えのある以前からの本館浴場を好む傾向にあり、せっかく増設したこのお風呂にはあまり利用されていないようでした。屁理屈を言えば、この新浴室のように、胸上程度の嵩のお風呂でぬるめのお湯に浸かるのが健康のためには良いのでしょうけど、メインの利用者層である地元のお年寄りにとって、そのようなお風呂では入った気になれないのでしょうね。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で、湯の花などは見られずクリアに澄んでいます。温度調整のために加水されていますが、各浴槽とも放流式の湯使いであり、投入量が多いのでしっかりとオーバーフローしていました。お湯を口に含むと、薄い塩味と弱い芒硝感が確認でき、そしてその2つに隠れるようにして微かな石膏感も伝わってきました。湯中では食塩泉的なツルスベと硫酸塩泉的な引っかかりが混在する浴感が得られたのですが、加水の影響でお湯が持つそもそもの個性がいくらか弱まっているような気がします。でも湯上がりは温泉ならではの温浴効果が発揮され、体の芯からホコホコし続けました。一見すると真湯と大差ないように想えてしまうのですが、よくよく感じてみると流石温泉だと納得できる、通好みの温泉でした。


ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.8℃ pH8.5 湧出量未記載(動力揚湯) 溶存物質1.450g/kg 成分総計1.450g/kg
Na+:380.0mg(74.26mval%), Ca++:112.3mg(25.16mval%),
Cl-:372.8mg(49.65mval%), HS-:0.3mg, SO4--:454.0mg(44.60mval%), HCO3-:53.1mg, CO3--:10.0mg,
H2SiO3:56.3mg,
(平成20年7月8日)
加水あり(源泉温度が高いため水道水を加えている)

北海道余市郡赤井川村字赤井川71番地2  地図
0135-34-6441
ホームページ

10:00〜21:00(受付20:30まで) 月曜定休(祝日の場合は翌日)
400円
ロッカー(100円リターン式)・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
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