温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の川温泉 大黒屋旅館

2016年08月28日 | 北海道
 
前回記事で取り上げた湯の川温泉「旅館新松」を出てから、もう1軒お風呂をハシゴしようと温泉街をウロウロしていたところ、旅館の駐車場に立つ日帰り温泉の幟が目に入ってきたので、それに導かれて「大黒屋旅館」を訪うことにしました。


 
ロビーでは坊主頭のマスコットがお出迎え。フロント前に設置されている券売機で湯銭を支払います。日帰り入浴に関しては、回数券も販売しているほど積極的に受け入れているようです。明るく対応してくださるスタッフさんに入浴券を手渡し、コの字型に曲がる感じで廊下を進んで、通路の最奥にある浴場へと向かいます。


 
4畳ほどのコンパクトな脱衣室を抜けて浴室へ。お風呂は男女別の内湯が1室ずつで露天風呂はありません。一般的な旅館の大浴場と比較するとコンパクトな部類に含まれるであろうこの浴室には浴槽がひとつ、そして壁に沿ってL字型にシャワー付きカランが計8基並んでいました。カランに関しては設置感覚がちょっと狭いように思われ、実際に私がシャワーを浴びている時も、隣客との干渉が気になってしまいました。なおカランから出てくるお湯は真湯です。


 

全面タイル張りの浴槽は上画像のような形状をしており、最も長い辺で5m×2m強といったところ。直に触れないほど激熱のお湯を注いでいるパイプの口には晒しの布が巻かれて、湯の花などの固形物を濾し取っているのですが、その湯口まわりにはアイボリー色の石灰がこんもりと付着しており、まるでサンゴ礁のような細かなトゲトゲを形成していました。また浴槽側面の湯面ライン上にも石灰のこびりつきによる庇状の突起ができていました。
お湯はこのパイプのほか、槽内の穴からも適温のお湯が投入されていましたので、アツアツの源泉を投入しつつ、温度調整済みのお湯も並行供給して、入りやすい湯加減を維持しているのでしょう。


 
浴槽の縁は元々黒い御影石だったかと推測されるのですが、上述のような石灰のこびりつきが著しいため、元の素材が判別できないほどアイボリー色に厚くコーティングされており、あまりの厚さゆえ部分的にトラバーチン化して、ミルフィーユのような層をなしている箇所もありました。
浴槽に張られたお湯は底から立ち上がっているオーバーフロー管より排湯されているのですが、その直下にも吸込口があり、同時並行で湯船のお湯を吸い込んでいました。上述のように槽内から適温湯が投入されているので、後者の吸込口は循環用と推測されます。つまり、生源泉を投入しつつ、放流式と循環式を併用している湯使いと思われます。源泉のままですと熱すぎてしまうので、入浴に適した温度にするため、そのような措置が取られているのでしょう。

お湯は薄く靄が掛かったような淡い濁りを呈していますが、ほぼ無色透明と表現して差し支えない見た目をしており、お湯を口に含むと非常にしょっぱく、しかも苦汁の味も含まれていました。匂いに関してはあまり感じられませんでしたが、僅かに石膏臭と磯の香りが嗅ぎ取れたように記憶しています。湯口や浴槽まわりにこんもりと石灰をこびりつかせるようなお湯ですから、湯中ではカルシウムのしわざによって引っかかる浴感が強いのかと思いきや、実際には食塩泉らしいツルスベの方がはっきりと現れており、私の体感で表現するとツルスベ:引っかかり=7:3といった割合でツルスベの方が勝っていました。湯船は(私の体感で)42〜3℃という温度に調整されているのですが、さすが濃い食塩泉ですから温熱パワーは力強く、大して熱くないのにすぐに体が火照って長湯することができません。湯上がり後もしばらくは汗が止まらず、真冬だというのに脱衣室にあった扇風機を回して、体をクールダウンさせたのでした(私が訪れたのは2015年12月です)。でもその温熱パワーのおかげで、外へ出てもちっとも寒くなく、本来ならば身が縮こまるような風が吹いてもヘッチャラでした。湯の川温泉の熱の湯は、しばれる冬の北海道にとって強い味方ですね。



さて、湯の川温泉で2軒の湯めぐりを終えた私は、路面電車で函館駅へ戻り、再びJRに乗ってその晩のうちに本州へと渡ったのでした。以下、次回記事へ続く。


湯川3丁目1号井~4号井源泉混合
ナトリウム-塩化物温泉 64.1℃ pH6.8 溶存物質8.829g/kg 成分総計8.968g/kg
Na+:2199mg(65.73mval%), Mg++:316.2mg(17.88mval%), Ca++:401.4mg(13.76mval%),
Cl-:4073mg(79.57mval%), HS-:0.1mg, SO4--:754.6mg(10.88mval%), HCO3-:833.7mg(9.46mval%),
H2SiO3:81.4mg, HBO2:22.9mg, CO2:139.4mg, H2S:0.1mg,
(平成25年3月11日)

函館市電・湯の川駅より徒歩4~5分(約300m)
北海道函館市湯川町3-25-10  地図
0138-59-2743
ホームページ

日帰り入浴6:00~24:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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