温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

阿蘇坊中温泉 夢の湯

2014年11月23日 | 熊本県

JR豊肥本線の阿蘇駅から徒歩2~3分という好立地にある阿蘇坊中温泉「夢の湯」は、立地ばかりかお湯もなかなか良いという情報を得たので、熊本行の列車に乗るまでの時間を活用して、行ってみることにしました。線路と国道に挟まれた環境だと言うのに、周りを囲む木立のおかげか、静かで落ち着いた雰囲気です。


 

広い敷地内には50台程利用可能な駐車場の他、本棟に隣接して無料で利用できる足湯が設けられていたリ、またコインランドリーや別料金の家族風呂なども付帯しており、いろんなニーズに対応しています。


 
駐車場を通り抜けて本館のエントランスへ。
靴を脱いで館内に入り、券売機で料金を支払って、券を受付カウンターへ差し出します。ウッディーな館内は天井が高くて梁がむき出しになっており、開放感と寛ぎの空気感が共存しています。また休憩室の他、ロビーにも椅子が用意されており、湯あがりの休憩対策も問題ありません。フローリングの床を踏みしめながら浴室へ。


 
広くて明るい脱衣室には、コインロッカー(有料10円)の他に籠も並べられており、客の好みに応じて両方を使い分けることができ、使い勝手は良好です。



天井が高くて広々している開放的な内湯は、小豆色の石板タイルを中心とした暖色系のカラーコーディネート。大きな窓の直下に主浴槽が据えられ、入口付近にはサウナや水風呂、そして掛け湯槽が設けられています。入浴設備面ではスーパー銭湯によくあるラインナップと言えそうです。


 
浴室の奥の方に配置されている洗い場には、一箇所ずつ袖板で仕切られているブースが10箇所あり、それぞれにシャワー付き混合水栓とボディーソープが用意されています。なおシャンプーは無いので、必要な場合は予め受付で購入しておきましょう。この他、立って使うシャワーも2基あります。


 
主浴槽は目測で7.5m×3mといったところ。隅っこの湯口からお湯が吐出されて湯船を満たしており、洗い場側の縁にオーバーフロー用のスリットがあるものの、ほとんどのお湯は窓側の溝へ溢れ出ています。湯加減は私の体感で43℃ほど。浴槽内は温泉成分の付着によって赤く染まっており、特に縁の黒い石材はその傾向が顕著です。湯口の傍ではジェットバスが稼動しており、私にはちょっと騒々しく感じられたのですが、この手の設備を好む方もいらっしゃいますから、その是非はここでは問わないことにします。なお館内表示によれば、湯使いは掛け流しですが、ジェットバスに関しては浴槽のお湯を吸い込んでから噴射するため、その部分で循環になるという旨が表記されていました。実に真面目で誠実な書き方です。


 
露天の岩風呂は奥へ長い造りになっており、手前半分ほどが東屋で覆われています。集落の中ですから周囲は塀が立ちはだかり景色は望むべくもありませんが、敷地内の木立のおかげで、まるで森の中にいるかのような雰囲気があり、景色が無くとも気にならず、むしろ緑と静寂に抱かれながらの湯浴みはなかなか心地よいものがありました。なお露天には内湯のようなジェットバスが無いので、騒々しい設備が苦手な私は、この浴室における時間の多くを、この露天風呂で過ごしました。

露天の最奥にある湯口の岩は橙色に強く染まっており、浴槽の容量に見合ったしっかりした量のお湯が注ぎ込まれていました。露天では純然たる放流式の湯使いとなっており、槽内で供給や吸引されているような様子は無く、お湯は全量が手前側のステップより排湯されています。
外気の影響を受ける露天は、内湯よりもややぬるい41℃前後の湯加減であり、入ってしばらくの間は長湯できそうな感じでしたが、お湯が有するパワーが強いのか、数分浸かっていると体がヘロヘロに疲れてしまい、気づけば湯船から這い上がざるを得ませんでした。静かで落ち着いた雰囲気ゆえ、お湯も優しく大人しいのかと思いきや、意外にも実力派のお湯のようです。



浴感としてはツルスベと引っ掛かりが混在しているものの、ツルスベの方が優っているように感じられます。露天で浸かっていると、肌に細かい泡付きが見られました。この源泉由来の気泡なのか、あるいは湯口における投入時の勢いに伴って混入した気泡が肌に付いただけなのか、その辺りの事情はよくわかりませんが、内湯で気泡の付着は確認できなかったので、個人的見解としては後者ではないかと睨んでいます。

お湯は薄い黄色及び橙色を有しており、露天ではほぼ透明でしたが内湯ではわずかに笹濁っているように見えました。知覚としてはご近所の内牧温泉のお湯に似ており、具体的には金気や芒硝の味と匂いが明瞭で、特に金気がはっきりしています。ただ、館内表示でも明記されていますが、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が実施されているため、塩素臭さがちょっと気になりました。

静かで落ち着いた雰囲気が居心地良く、設備も整って使い勝手も良好。塩素臭こそ残念ですが、れっきとした放流式の湯使いを実践しており、そのお湯もパワフルで体をしっかり温めてくれましたから、私は湯浴みに十分満足してお風呂から上がり、爽快な状態で熊本行きの列車に乗り込むことができました。高評価が頷ける利用価値の高いお風呂でした。


ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 51.5℃ pH6.9 330L/min 溶存物質2131mg/kg 成分総計2185mg/kg
Na+:371.7mg(56.56mval%), Mg++:91.5mg(26.34mval%), Ca++:69.8mg(12.17mval%), Fe++:0.8mg,
Cl-:155.5mg(15.25mval%), HS-:0.4mg, HCO3-:479.0mg(27.28mval%), SO4--:793.3mg(57.40mval%),
H2SiO3:111.8mg, CO2:52.8mg, H2S:0.4mg,
加水あり(泉温が高いため若干地下水を加水することがある)
加温あり(浴槽の適温維持が困難な場合に加温することがある。概ね12月~3月)
消毒あり(次亜塩素酸ナトリウム)
掛け流し・循環併用(ジェットバス使用のため循環)

JR豊肥本線・阿蘇駅より徒歩2~3分
熊本県阿蘇市黒川1538-3  地図
0967-35-5777

11:00~22:00 第1・3月曜定休
(家族風呂は14:00~22:00、年中無休)
400円(家族風呂1000円/1時間)
ロッカー(有料10円)・ボディーソープ・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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内牧温泉 内牧荘

2014年11月22日 | 熊本県
 
内牧温泉では「内牧荘」で一泊お世話になりました。阿蘇温泉病院に隣接した比較的わかりやすい立地にあり、まるで昭和40年代から時が止まってしまったかのような、古風で渋い佇まいのお宿です。



お宿の周りにはニャンコが数匹ウロウロしていました。周囲の状況から察するに、厨房から出るおこぼれに与ろうとしているようです。


 
臙脂のカーペットが敷かれたロビーには、「天然温泉かけ流し湯」の幟が立てられていました。こちらのお宿では日帰り入浴も可能で(10:00~16:00)、しかもその料金はわずか200円。自家源泉を有するお宿ならではの有り難い料金設定です。お宿のおばちゃんの案内に導かれて2階の客室へと向かいました。


 
今回通された客室は、2階の角部屋で、8畳の和室です。画像はありませんが、お部屋にはバス・トイレが付帯されており、冷蔵庫こそ無いものの、テレビやエアコンなどひと通りの備品は備え付けられています。なおお風呂に関しては温泉の大浴場で十分でしたので、お部屋のバスは使いませんでした。


 
さてお部屋でひと休みしたところで、早速お宿自慢の大浴場へと向かいましょう。お風呂には女湯1室と男湯2室があり、浴室へ向かう廊下の途中には、ドライヤーが備え付けられている洗面台が設置されています。女湯は1室しかないのに男湯が2室もあるのは、いかにも昭和的な発想ですが、ここで屁理屈を捏ねても仕方ありませんし、せっかくですから、男である私は2室とも入ってみることにしました。


●内湯その1
 
まずは廊下最奥の突き当たりにある浴室から。後述するもう一つの男湯には露天風呂があるのですが、こちらは内湯のみです。脱衣室は上画像のような感じで至ってシンプル。


 
湯気の篭った浴室は見るからに年季あ入っており、モルタル塗りの壁は黒ずみが目立ち、床や浴槽などに用いられている鉄平石は、長年にわたる温泉成分の付着によって赤く染まっていました。このお風呂は何十年間使われ続けているのでしょうか。洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基設けられています。



入室時、ちょこっと開けられていた窓サッシには、なぜか石鹸が置かれていました。何の目的なんでしょう…。


 
浴槽は所謂岩風呂であり、大凡4人サイズ。硫酸塩の析出がサンゴのようなトゲトゲ状になってビッシリこびりついている湯口から、お湯が音を立てて投入され、浴槽縁よりオーバーフローしています。浴室全体の老朽化が激しく、全体的にくすんでいるので、浴槽のお湯が呈する濁りも、もしかしたら鈍りによるものではないかと誤解を招きそうですが、投入量はしっかりしており、実際に湯船に入っても鮮度感は得られましたので、お湯の濁りは単なる酸化によるものと思われます。


●内湯その2と露天風呂
 
続いて、露天風呂があるもう一つの浴室へ。
こちらは露天風呂というおまけ施設を伴っている分、脱衣室や浴室が若干小ぢんまりしているような感を受けます。また脱衣室には内湯と露天風呂へつながる2つの扉があるのですが、内湯から露天風呂へ向かうには、一旦脱衣室を経由しなければならないため、私の利用時、脱衣室の足拭きマットは残念ながらビショビショ状態でした。
室内には張り紙が掲示されており、曰く「浴槽内がヌルヌルしますが、汚れやコケ類ではなく温泉成分が付着したものです」とのこと。


 
こちらの浴室もモルタル塗りの壁と鉄平石敷きの床という組み合わせで構成されており、壁の黒ずみなどが目立つ室内は、相当草臥れているようです。浴室の窓はいまどき珍しい鉄のサッシで、室内に篭もる湯気を追い出すべく窓を開けようとしたのですが、固くて重いこの窓を動かすのは結構な力仕事でした。なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基並んでいます。


 

浴槽は3人サイズで、床同様に槽内も鉄平石貼りです。硫酸塩のトゲトゲ析出がこびりついている湯口より絶え間なくお湯が浴槽へ注がれ、縁の切り欠けより惜しげも無く溢れ出ています。浴槽はまわりは長年に及ぶ温泉成分の付着により赤茶色に染まっています。湯使いは文句なしの掛け流しでしょう。
湯加減は実に入りやすい42℃前後で、湯船に見合った量のお湯が常時投入されているため、シャキとした鮮度感が実に爽快です。お湯はほんのり赤みを帯びて笹濁っており、湯口に置かれたコップでお湯を口に含んでみますと、金気と芒硝の味および匂いが明瞭に感じられ、石膏的な感覚や重曹的苦味も伝わってきました。


 
浴室の壁にはトロン温泉云々の説明とともに「ラドン温泉による治効」と題する数値が掲示されていました。昭和30~40の温泉業界では、わけもわからず放射能のパワーを喧伝する風潮が流行ったことがあり、一部の入浴施設ではいまだに「ラドン風呂」とか「ラジウム温泉」などという文言が残っていたりしますが、この説明プレートも当時の流行に乗って掲示されたものと推測されます。いわば昭和の名残であります。今となっては、この手のものがかなりの眉唾ものであることは自明なのですが、信じる者は救われると申しましょうか、プラセボ効果による「効能」も期待できるのでしょうから、あまり深くツッコむのは寧ろ野暮かもしれませんね。


 
一旦脱衣室を経てから露天風呂にも入ってみました。露天風呂は岩風呂で、奥に細長い造りになっており、左に浴室の壁が、右に化成品の模造竹垣が、それぞれ高く聳えて視界を塞いでいるため、湯浴みしながら景色を楽しむことはできませんが、空を見上げて月や星を眺めることなら可能です。
お湯は手前側より供給され、最奥が湯尻となっています。お湯の投入量は目測で内湯と同程度なのですが、容積・表面積ともに内湯より大きく、しかも外気に熱を奪われるため、湯加減はややぬるく(40℃前後)、しかも少々鈍り気味でした。お湯は内湯の方が遥かに良好です。また、脱衣室の張り紙には、ヌルヌルは温泉成分の付着によるものと説明されていましたが、内湯ではさほどヌルヌルしていなかったものの、露天ではかなりはっきり感じられたので、このヌルヌルは屋外ゆえの事情も影響しているのではないかと想像されます。

せっかく宿泊したので、この露天風呂に翌朝再び入ろうと、朝7:30頃に向かったのですが、豈図らんや、絶好の朝風呂時間にもかかわらず、お湯を抜いて清掃の真っ最中だったので、残念ながら朝風呂は内湯のみに留めました。お風呂のみならずお宿全体としても、そしてマンパワー面でも老朽化が進んでおり、宿泊中にはそのことを実感せざるを得ない場面に何度も遭遇してしまうため、お客さんによっては好き嫌いが分かれるかもしれません。
でも掛け流しの温泉は正真正銘の本物であり、お風呂から上がっても、しばらくは火照りが取れず、体の芯から温まっていつまでも湯冷めしませんでした。200円で日帰り入浴できますから、銭湯代わりにこちらのお風呂を利用するもよし、リーズナブルに宿代を上げたい場合に泊まるもよし、旅人のお財布に優しい、昭和の薫りが漂う味わい深いお宿でした。


ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-硫酸塩温泉 42.6℃ pH7.2 161L/min(動力揚湯) 溶存物質2.01g/kg 成分総計2.02g/kg
Na+:315.9mg(49.19mval%), Mg++:87.3mg(25.74mval%), Ca++:117.5mg(20.98mval%), Fe++:0.3mg,
Cl-:150.6mg(15.11mval%), Br-:0.3mg, HS-:0.3mg, S2O3--:0.2mg, SO4--:965.4mg(71.48mval%), HCO3-:219.6mg(12.80mval%),
H2SiO3:98.4mg, CO2:12.1mg, H2S:0.2mg,

JR豊肥本線・阿蘇駅より産交バスの内牧温泉方面行で「阿蘇温泉病院前」下車徒歩1分
熊本県阿蘇市大字内牧1159-2  地図
0967-32-0252
ホームページ

日帰り入浴時間10:00~16:00
200円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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内牧温泉 七福温泉

2014年11月21日 | 熊本県

内牧温泉を東西に横切る黒川。内牧の中心市街はこの北側に広がっているのですが、温泉は川の南北を問わず分布しており、川沿いにもいくつかの施設が営業しています。


 
今回はその中でも温泉ファンから熱い支持を受けている、堤防下の温泉公衆浴場「七福温泉」にて入湯してまいりました。宝泉橋付近に立つ黄色い看板が目印です。土手の道から浴場がある下の方へスロープを下ってゆきます。


 
男女別の入口を入ると、すぐに無人の番台があり、そのカウンター上に立てられている金属製の四角い筒へ湯銭を納めます。建物はウナギの寝床の如く奥へ細長い造りになっており、全体的にコンパクトなのですが、お湯の良さゆえか、狭いお風呂はいつ行っても多くのお客さんで賑わっているんだそうです。私が訪問したのは夕暮れ時だったのですが、ちょうど大相撲の開催時期だったため、湯上がりの常連さんたちが、室内に設けられたテレビに映しだされているNHKの相撲中継に釘付けになりながら、勝敗の行方に一喜一憂していました。
脱衣室の棚には、子供用の小さなお風呂マットがたくさん収められているのですが、これって何に使うのでしょう?(この謎については後述します)


 
狭くて細長い浴室は、下半分は水色タイル張り、上半分はクリーム色塗装のモルタル塗り。限られた空間に銭湯として必要最低限の設備がギュっと詰め込まれているような感じです。浴槽は4~5人サイズで、縁には赤い御影石が用いられています。そしてこの縁や切欠から湯船のお湯が絶えることなくじゃんじゃん溢れ出ており、湯船に人が入るとザバーっと豪快にオーバーフローして、浴室内は軽い洪水状態になりました。



繰り返しになってしまいますが、とにかく室内空間が限られており、その中に4~5人サイズの浴槽を設けているため、残ったスペースに配置された洗い場はかなり狭隘です。私の訪問時はとても混雑しており、洗い場は常時埋まっていたのですが、湯船とあまりに接近しすぎているため石鹸の泡が湯船に入り込んじゃうし、洗い場に人が陣取ると歩くスペースが無くなってしまって、湯船の中に入って室内を移動せざるを得ないような有り様でした。夕方以降は混雑が続くようですから、こちらの浴場を利用する場合は、なるべく早い時間が良いかと思われます。

この洗い場で特徴的なのは、上画像のような吐出口でしょう。室内には水道の蛇口が一つあるばかりで、一般的な水栓は設けられていないのですが、その代わりに温泉のパイプが壁に沿って配管されており、途中で分岐が3つ設けられていて、各分岐の先には木の栓が差し込まれています。洗い場で体を洗う場合には、この栓を抜いてお湯を使うようになっているわけです。なお、この栓にはケロリン桶が被せられています。

ちなみに脱衣室の棚に収められていた小さなお風呂マットは、洗い場使用時にお尻の下に敷くためのものです。普通お風呂では腰掛けを使いますが、そんなものを置いたら余計に狭くなってしまうのでしょうね。こちらでは腰掛け代わりにマットを使っているわけです。



上述のパイプの末端は湯船の湯口につながっており、ドバドバと大量のお湯が注がれています。湯船のお湯はほぼ無色透明で、館内説明によればお湯は飲めるそうですから、実際に口に含んで飲泉してみたところ、味覚面では薄塩味・芒硝味・石膏甘味が感じられ、匂いは特に感じられませんでした。湯船に浸かると、ツルスベと引っ掛かりが混在する浴感が得られ、豊富な投入量のおかげで抜群の鮮度感が楽しめました。

施設は小さいけれども、お湯の良さは秀逸な、地元の方々に愛される味わいのある温泉銭湯でした。


ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-硫酸塩温泉 42.5℃ pH7.2 100L/min(動力揚湯) 溶存物質2.51g/kg 成分総計2.52g/kg
Na+:324.8mg(42.08mval%), Mg++:126.1mg(30.91mval%), Ca++:151.6mg(22.54mval%),
Cl-:190.4mg(14.87mval%), Br-:0.4mg, S2O3--:0.3mg, SO4--:1225.1mg(70.63mval%), HCO3-:315.0mg(14.29mval%),
H2SiO3:115.9mg, CO2:13.2mg,

JR豊肥本線・阿蘇駅より産交バスの内牧温泉方面行で「宝泉橋」バス停下車徒歩1~2分
熊本県阿蘇市内牧1132  地図
「あそおんせんネット」(阿蘇温泉観光旅館協同組合)(サイト内に町湯の案内あり)

13:00~22:00 不定休
150円
備品類なし

私の好み:★★+0.5
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内牧温泉 旅館大観荘

2014年11月20日 | 熊本県
 
引き続き阿蘇・内牧温泉を湯めぐりします。今回訪れたのは、内牧の中心部、東西に伸びる商店街の通りに面する、比較的大きな規模の旅館「大観荘」です。今回は宿泊ではなく日帰り入浴で利用させていただきました。いかにも昭和の温泉旅館らしい、鉄筋3階建ての古い建物であり、近年に大規模改修された形跡も見当たりませんので、これまで古い状態のまま、メンテナンスや清掃によって何とか乗り切ってきたのだと思われます。
私が訪問したお昼時、フロントで入浴をお願いすべく声を掛けたのですが全く応答なく、仕方なく携帯電話で連絡を入れたところ、フロントのすぐ奥の部屋からおばちゃんが現れたのでした。シエスタの真っ最中だったのかな…。


 
浴室はロビーから右手へ伸びる廊下を進んだ突き当たりにあり、男女別の内湯が1室ずつで、露天風呂は無いようです。廊下には昭和33年の古い温泉分析表が掲示されているのですが、そこに記されている泉質名を見てビックリ。「含石骨」と書かれているではありませんか。石化した骨が温泉に溶け込んでいる、オカルトな温泉なのでしょうか。ま、そんな重箱の隅を突くようなツッコミはどうでも良いのですけどね(言わずもがな、正しくは石膏ですね)。


 
館内の他箇所と同様に脱衣室も草臥れていますが、清掃は行き届いていますので、問題なく利用できました。室内には籐の籠が積まれている他、貴重品を保管するロッカーも設置されていますが、このロッカーは有料(100円)です。洗面台は室内の左右に分かれて計2台設けられています。窓外のすぐ目の前には、ブロック塀に囲まれた大きなタンクが立っており、やや殺風景かも。


 
ガタピシの古い木戸をスライドさせて浴室へ。この浴室も昭和の面影を強く残しているのですが、窓から入り込む陽光のおかげで、古臭さや湿っぽさはそんなに気になりません。洗い場は室内の左右に分かれて配置されており、計6基のシャワー付き混合水栓が設置されています。また、鉄平石敷きの床は真ん中が盛り上がっており、後述する浴槽のお湯のオーバーフローが、左右の洗い場へ分かれて流下するようになっています。


 
石板の蓋が半開き状態で被せられている湯口から、お湯が大量に供給されています。この湯口における吐出時点で、お湯の温度は約43℃でした。上述の古い分析表では、湧出状況として「自然湧出(鑿泉)」と記されており、現在もなお自然湧出のままであるかは不明ですが、少なくとも鑿泉、つまり掘削した井戸から温泉が湧出していることは間違いなさそうです。この源泉井の問題なのでしょうか、お湯に混じって上がってくる砂で底がジャリジャリしており、特に湯口付近は目視できるほどたくさん溜まっていました。源泉のままお湯を湯船に供給することは結構なのですが、砂は決して有り難いものではありませんので、湯船へ注ぐ手前の段階でストレーナー等を設けたほうが宜しいかと思われます(さもないと「清掃不行届」と誤解するお客さんもいらっしゃるでしょう)。


 
浴槽は10人近く入れそうな容量を有しており、底面は洗い場と同じく鉄平石敷きで、縁には御影石が用いられていますが、長年に及んで金気を含むお湯が流れているためか、浴槽縁の石材は赤く染まっています。なお湯口で43℃あったお湯は、湯船では40℃まで下がっていました。私の訪問時、お湯は加温されていなかったようですが、もし通年加温無しですと、夏場でしたらぬるめで気持ち良いのですが、冬だとちょっと肌寒く感じてしまうかもしれません。


 
湯使いは完全掛け流しと推測されます。お湯の投入量が多いため、湯船からふんだんに溢れ出ており、波立ちながら床を流れ去ってゆくお湯を見ていると、こちらの気持ちまで爽快になります。
お湯は薄い黄色と若干の赤みを帯びながら笹濁りを呈し、芒硝と金気の味と匂いが感じられます。ビジュアル的には金気の強そうなお湯ですが、私の体感としては金気よりも芒硝感の方が優っていたように思われました。湯中ではスベスベ浴感とキシキシ浴感がせめぎ合っていますが、スベスベの方がやや勝っており、投入量の多さのお陰で良好な鮮度感も得られました。

容赦なくお宿を蝕む老朽化にマンパワーが追い付いていないような印象を受けますが、昭和の香りが漂うお風呂で、掛け流しのぬる湯にじっくり長湯するのも、なかなか乙な時間の過ごし方ではないかと思います。


ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-硫酸塩温泉 47.2℃ pH7.2 
Na+:268.8mg(38.65mval%), Ca++:168.8mg(27.85mval%), Mg++:94.6mg(25.72mval%), Fe++:14.5mg(1.72mval%),
Cl-:159.8mg(14.90mval%), SO4--:986.4mg(67.91mval%), HCO3-:317.2mg(17.19mval%),
H2SiO3:130.6mg,
(昭和33年4月11日)

JR豊肥本線・阿蘇駅より産交バスの内牧温泉方面行で「内牧」下車、徒歩1~2分(150m)
熊本県阿蘇市内牧246  地図
0967-32-0999
ホームページ

日帰り入浴時間9:00~20:00
400円
ロッカー(有料100円)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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内牧温泉 雲海薬師温泉

2014年11月19日 | 熊本県
 
前回に引き続き今回も内牧温泉の「町湯」を取り上げてまいります。今回記事では、以前拙ブログで取り上げたことのある「新穂湯」の隣に位置する「雲海薬師温泉」にスポットライトを当てることにします。温泉街で旅館が隣り合っていることはよくありますが、公衆浴場が隣り合っている温泉地なんて、他に例があるでしょうか。温泉資源に恵まれた内牧温泉ならではの光景ですね。



いかにも共同浴場らしい、渋く小ぢんまりとした佇まいです。湯屋前に立てられた札には「内牧温泉発祥の湯」と記されています。内牧温泉には多くの入浴施設がありますが、その中でもここが発祥の湯となれば、外すわけにはいきません。


 
湯屋に向かって左側に男女別の入り口があります。一応両入り口の間には番台らしき小窓がありますが、基本的には無人状態で営業しているらしく、セルフでこの小窓を開け、内側にある角盆に湯銭を置いてから浴室へ入ります。


 
脱衣室も街中の共同浴場らしい佇まいで、備品としては板の間に括り付けの棚があるばかりのシンプルなレイアウトですが、壁には掲示されている多様な張り紙が、生活感を醸しだしていました。


 
浴室も簡素な造りで、室内には浴槽1つと洗い場があるばかりです。扉を開けた途端に温泉由来の金気臭が鼻を突いてくるのですが、匂いのみならず、温泉成分の付着によって床を中心にして全体的に赤く染まっているように見えます。洗い場にはカランが3基並んでおり、うち1つはシャワー付きです。なおカランから吐出されるお湯は温泉です。


 
目測で浴槽は2.5×3.5メートルで、おおよそ3~4人サイズ。右隅の石積み湯口から源泉のお湯が音を轟かせながら浴槽へ注がれ、浴槽縁の切欠から惜しげも無く捨てられています。金気を含む温泉成分により、浴室内は赤く染まっているのですが、特に浴槽まわりは、お湯と空気が接触して常に酸化が行われるためか、赤色を通り越して黒く渋い色合いになっていました。


 
湯船のお湯は薄っすら赤みを帯びつつ、ほんのり貝汁濁りを呈しています。湧出時には無色透明なのでしょうけど、空気に触れることによってこのような色や濁りが発生するものと思われます。湯口にはコップが置かれていたので、これで実際に飲泉してみますと、鉄をはじめとする様々な種類がミックスされた金気、そして芒硝の味と匂いが感じられ、湯口ではわずかにタマゴ臭も得られました。

湯口から落とされるお湯の勢いにより、湯面は常に波立っています。浴槽の容量に対して投入量が多いため、お湯の鮮度感は頗る良好。また湯船から溢れ出て捨てられるお湯も大量で、ドバドバ捨てられるお湯を眺めているだけでも、豪快な気分になれました。湯加減も42℃前後という丁度良い塩梅です。湯船に浸かるとキシキシと引っかかる浴感が伝わるとともに、数分浸かり続けていると、肌に細かな気泡が付着しました。

町湯ですから飾り気はありませんが、質実剛健と申しましょうか、そこに注がれる温泉の湯量は豊富で、その質も素晴らしく、お湯と向き合ってじっくり味わうにはもってこいの、ハイクオリティなお風呂でした。


ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-硫酸塩温泉 42.5℃ pH7.34 溶存物質1861mg/kg 成分総計1905mg/kg
Na+:289.0mg(50.81mval%), Mg++:71.0mg(23.53mval%), Ca++:102.0mg(20.51mval%),
Fe++:1.4mg,
Cl-:139.5mg(15.79mval%), HS-:0.4mg, SO4--:804.0mg(67.07mval%), HCO3-:259.6mg(17.03mal%),
H2SiO3:140.6mg, CO2:44.0mg, H2S-:0.4mg,
(平成5年8月13日)

JR豊肥本線・阿蘇駅より産交バスの杖立行、もしくは宮地駅より内牧行で「阿蘇新町」バス停下車、徒歩1分
熊本県阿蘇市内牧39  地図

9:00~21:00 不定休
200円
備品類なし

私の好み:★★★
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