パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

夜が明ける

2025年03月25日 | 本・マンガ・テレビ・映画
3月25日(火)晴れ

娘から勧められていた本、西加奈子著「夜が明ける」読了。
ずいぶん前に借りてたが、他の本に手を出したりしててなかなか本腰入れて読み進められずにいた。
西加奈子さんは大好きな作家の一人である。
彼女のエッセイは関西人のノリと文章のうまさで、「若者の言う事は聞かない」立ち位置のワタクシが珍しく前のめりで読む。
小説も素敵な作品が多い。
娘がワタクシに「これ読んでみて」と差し出し、「あ、西加奈子だ!好きよ彼女の本」と言う母に、娘が少し微妙な顔をした。
読み終わった今、彼女の顔の意味がわかる。
簡単に「面白かったよ」とか「感動した!」とか言えるレベルでは無いものだったから。
でも、あえて軽い感じで言わせてもらえば「西加奈子天才説!」
いや、溢れる才能は存じ上げておった。
でも、今回のこれで天才確定。
そして、今後二度と「ワタクシ、小説を書いてみようかしらん」などとはほざかないとここに誓う。
だらだらわけわからん事言ってないで、早よ小説の話をしろよって感じですな。

アマゾンの書評を引っ張ってきます。

15歳の時、高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。
普通の家庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、
 共有できることなんて何一つないのに、互いにかけがえのない存在になっていった。 
大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。
 しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体も、壊していった......。
思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描きながら、人間の哀しさや弱さ、そして生きていくことの奇跡を描く。
本書は著者が初めて、日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。
 
ドキュメンタリーなら、今までもこういうケースを色々見てきた気がする。
わかるよ、わかる。辛いよね、とか、きついよね、とか思いながらそういうテレビ番組を見てきた。
つい最近の報道特集でも「望まれない妊娠」をして、一人で育てている女性をいろいろな思いで見た。
知的障害とか境界知能とかについても考えたし、後天的なものについても考えた。
貧困というものの「幅」とか「自覚」とかも最近特に考える。
娘から言われた「親の格」という言葉についても考え込んでしまう。少々の落ち込みと共に。

ワタクシが小説を好むのは、ノンフィクションでないことの安心さから入っていけるところ。
そして、フィクションなのに、そこから自分の現実社会へと広げられるところ。
この小説には魅力的な女性が二人いて、その子達の言う言葉、それはすなわち西加奈子が生み出した言葉ではあるんだけど、
でも、西加奈子から言われるんじゃなくて、女子高生の遠峰が言ったのだ、ワタクシに。
頑張り屋の強い強い女の森が、それまでワタクシが強いと思っていた主人公「俺」に「苦しかったら助けを求めろ」と言ってくれた。
あゝありがとう、あなたがいてくれて良かった。
そして、今自分が生きているこの現実社会で、いつか自分もこの女性達の立ち位置になれるように生きたいと思うのだ。
コメント
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