2011年8月20日(土)、八戸市是川遺跡の「中居遺跡」内にある八戸市縄文学習館のボランティアの案内で、「是川遺跡記年碑」を見に行ってきました。是川遺跡の歩み、重要性、そして顕彰に努め、情報を発信した最初の人々を知るには、、この石碑建立の経緯と碑文の内容を読めば自ずと明らかになるだろうからです。
是川遺跡の縄文学習館(青森県八戸市大字是川字中居)から西へ400mほどの一王寺山と呼ばれる裾に、「是川遺跡」の4文字が刻まれた石碑が建っている。文字の左側に小さく揮毫者の名があり、「本山彦一書」とある。さらに碑の下側に碑文の銅版がはめ込まれている。
建てられたのは1932(昭和7)年11月22日。場所は、遺跡全体、すなわち中居、一王寺、堀田の3遺跡が一望でき、南に階上岳の威容が間近に見える景勝の地である。
(上)縄文学習館(分館)に隣接して新しく建てられ、2011年7月10日に開館したばかりの八戸市埋蔵文化財センター・是川縄文館(八戸市大字是川字横山1)が見えます。
(上)是川遺跡記念碑:「是川遺跡」の4文字を揮毫したのは、当時80歳、元大阪毎日新聞社の社長で関西実業界の有力者であった本山彦一という人。考古学に興味を持ち、経済的に恵まれない研究者らのパトロン的存在でもあったという。
(上)この石碑の下側にはめ込まれている銅版の碑文は、是川遺跡を発掘調査した当時、歴史学者として著名であった喜田貞吉氏が書き、それを地元の小井川潤次郎氏が墨書し、それを銅版に刻んだものである。
碑文の内容と大論争:この碑文の内容は、当時の考古学や歴史学界の大論争が予測されるものであった。それは、是川遺跡出土品が絡んでのことで、是川遺跡が全国的に知られることになる大きな要因になった。 論争は1936(昭和11)年「ミネルヴァ」という学術雑誌上で繰り返し行われた。石碑が建てられてから4年後のことである。
論争の概略:論争の問題は、碑文の中の次の一節「優秀ナル多数ノ植物性遺物ヲ発掘シテ従来知ラレザリシ当時ノ文化ノ一面ヲ学界ニ紹介シ又堀田ノ遺蹟ヨリハ古銭ヲ発見シテ是ガ絶対年代ヲ推定スルノ好資料ヲ提供セリ」というもので、2つの問題が提起されている。1つは、中居遺跡から出土した赤漆塗りの土器や、飾り太刀等に代表される植物性の漆製品のことで、高度な漆工芸技術は縄文時代には存在するはずがない。従って縄文土器は、東北では鎌倉時代まで使用されたものではないかという考えを示したのである。もう1つは、堀田遺跡から縄文土器に入った古銭(中国の宋銭)が発見されたのもその理由としている。いわゆる、縄文時代の終わりを鎌倉時代まで下げようという主張である。これが後年、論争の元になったのである。
この説に真っ向から反論したのが、やはり、是川の一王寺遺跡を発掘調査した新進気鋭の山内清男氏である。縄文土器は東北でも関東、中部、近畿地方でも終末は同じ頃であると主張した。いわゆる縄文時代の下限の問題である。結局は山内氏の説が勝利したわけであるが、この論争の中で是川遺跡はさらに注目されるようになった。
是川遺跡の情報発信の歩みからすれば、第一歩は史前学研究所を主宰していた大山柏(おおやまかしわ)博士が1930(昭和6)年に国際学会で是川遺跡とその出土品を紹介したことであり、第二歩は、この碑建立と「ミネルヴァ」論争ということになると思う。
[以上、企画集団ぷりずむ:発行、隔月刊「あおもり草子」2005年2月1日発行(通巻158号)”是川遺跡記念碑をめぐって・栗村知弘(八戸縄文保存協会会長)”より]
カキノキ科 ディオスピロス(カキノキ)属 Diospyros:アジア、南アメリカ、北アメリカ、南ヨーロッパに広く475種が分布する落葉・常緑高木で、果樹として栽培される。熱帯、亜熱帯に特に多く分布し、良用としない種も多い。
カキ(柿)カキノキ科 ディオスピロス(カキノキ)属 Diospyros kaki
日本で栽培されているカキ(柿)は、経済栽培はもちろん、家庭果樹としても重要な種類である。古くから日本全国で多くの品種が栽培されているが、これらの品種は日本に野生するヤマガキvar.sylvestrisから育成されたもの。大別して甘柿と渋柿とに分かれ、甘柿は福島県以北では寒さのため渋が抜けず栽培されない。
品種で主要なものは甘柿の’次郎’cv.Jirou、’富有’cv.Fuyu、’西村早生’cv.Nishimura-wase、渋柿では’平核無(ひらたねなし)’cv.Hiratanenashi、’大蜂屋(おおはちや)’cv.Pohachiyaなど。観賞用にシダレガキcvPendula、庭木、盆栽用にマメガキDiospyros lotusなどがある。
栽培:一般に肥えた水はけのよい、日当たりのよい場所で栽培すると収穫が高い。果実は、新梢の先端とそのすぐ下の2~3芽が夏以降に花芽となり、翌年に開花、結実する。病虫害は多いが、特に6月頃のヘタムシによる落果とイラガの幼虫による葉の食害で、薬剤散布が必要。冬の剪定も重要で、弱枝、今年結実した枝、徒長枝などを切り取り、樹冠に日を入れないと隔年結実となる。繁殖は実生、接木。花期は5月頃、果期は秋。
[山と渓谷社発行「山渓カラー名鑑・園芸植物」より]