経済なんでも研究会

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電気ショックの 自動車産業 (下)

2021-08-27 07:44:08 | 自動車
◇ 日本メーカーが抱える複雑な悩み = 日本政府は「35年までにすべてを電動車にする」と公約した。だが。この電動車にはEVだけでなく、HVも含まれている。日本メーカーはHVの製造技術に優れているから、これを外すわけにはいかない。だから35年になっても、国内ではHVが売れる。またアメリカと中国では、制限付きだが販売できる。東南アジアなどの新興国でも大丈夫だろう。しかしEUでは売れなくなる。したがって日本メーカーは、EVとHVの二通りの工場を動かし、開発投資もしなければならない。

現状でも、日本のEVは同等のガソリン車に比べて100万円ほど高い。これからEVとHVの二兎を追いながら、海外のEV専業メーカーと闘えるのだろうか。すでに中国製の小型EVは50万円という安さ。佐川急便が7200台の購入を決めるなど、国内での競合も始まっている。高級EVはテスラ、安価な小型EVは中国製という評価が定まりつつあるなかで、日本メーカーはどんなEVを目指そうとしているのだろうか。

いくらEVが普及しても、それを走らせる電気が汚ければ地球温暖化ガスは減らせない。この問題に対処するため、EUは「国境炭素税」の導入を検討している。たとえば鉄鋼やアルミなど、汚い電気で造られた製品の輸入に税金をかけるわけだ。日本は発電の大半を石炭火力によっているから、自動車もこれに引っかかる可能性が高い。政府の脱炭素政策が進展しないと、この問題は解決しない。

EVには蓄電池が欠かせない。いかに安価で効率のいい蓄電池を開発できるか。今後のEV競争は、ここに尽きると言えるだろう。日本の電池技術は世界のトップ・ランク。次世代電池の開発で常にトップを走るためには、産官学で構成する司令塔が必要ではないか。政府は電池関連産業を戦略産業と位置づけたが、何となく勢いが感じられない。危機感がないと、日本は自動車産業をも失いかねない。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +17.49円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫     

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