経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2016-12-26 08:52:23 | 日記
◇ 5年連騰で越年へ = 日米の株式市場は先週、予想通りの綱引きで終わった。トランプ効果に期待する強気派と高値の警戒派が拮抗して、株価は小幅な値動きに。ダウ平均は週間90ドルの上昇。日経平均も27円の値上がりにとどまった。特にニューヨーク市場は、クリスマス休暇の前ということもあって出来高もかなり縮小している。

そうしたなかでも、投資家の姿勢は確実に変化してきた。ニューヨークでも東京でも、業種の選別が厳しくなってきている。たとえばトランプ次期大統領のインフラ投資や減税で、本当に利益が上がる業種は何なのか。円安で儲かる業種は何なのか。こうした傾向が強まると、次は個別の銘柄を選別する姿勢が強まってくるだろう。

選別が強まると振り落とされる銘柄も増えるから、平均株価はさらに動きにくくなる。今週は2016年最後の週だが、こんな膠着状態が続くのではないか。ただダウ平均は2万ドルまであと67ドル。大台に乗せて新年を迎える可能性は高い。日経平均も5年連騰の記録を残して越年するだろう。

今週は26日に、11月の企業向けサービス価格。27日に、11月の労働力調査、家計調査、消費者物価、住宅着工戸数。28日に、11月の鉱工業生産、商業動態統計。アメリカでは27日に、10月のSPケース・シラー住宅価格と12月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、11月の中古住宅販売が発表される。30日は大納会。  

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

「労働生産性」 の 不思議

2016-12-22 07:56:20 | 景気
◇ 高ければいいのか? = 日本生産性本部の調査によると、就業1時間あたりでみた15年の労働生産性は42.1ドル。OECD(経済協力開発機構)加盟35か国のうち20位だった。労働生産性というのは、労働者が一定の時間働いた結果どのくらいのモノやサービスを生み出したかを示す指標。かつて日本の生産性は世界でもトップ・クラスだったが、1980年ごろからは低位でずっと伸び悩んでいる。

たとえば10-12年のデータをもとに日米の生産性を比較してみると、アメリカを100としたときの日本のサービス業は49.9。ほぼ半分の水準にとどまっている。業種別では飲食・宿泊業が34.0、卸・小売業が38.4とかなり低い。また製造業の生産性は69.7。やはりアメリカの7割程度しかない。アメリカを上回ったのは機械と化学だけだった。

一般に生産性が低いと、成長率も鈍くなると考えられている。たしかに同じ価値のある製品やサービスを生み出すのに、必要な時間が短ければそれに越したことはない。だが大きな疑問も生じてくる。たとえば製造業の場合、同じ価値のある製品でも競争が激しければ売り値は上がらない。すると生産性は下がってしまう。反対にインフレで価格が上がれば、生産性は上がる。

サービス業では、もっと微妙な問題に行き当たる。たとえば、いま流行の“おもてなし”。ゆっくり時間をかけて客と対応すれば、生産性は下がってしまうだろう。その分を料金に反映させられればいいが、消費者側としては安い方がありがたい。この世界と生産性の向上とは、必ずしも折り合わないのではないか。経済学者の見解を聞きたいものである。

      ≪21日の日経平均 = 下げ -50.04円≫

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ


トランプ経済政策に先手 : FRB (下)

2016-12-21 08:34:21 | 日記
◇ まずは理事の人事でさや当て? = FRBの金融政策は、FOMC(公開市場委員会)によって決定される。現在のメンバーは議長を含めて10人。先週のFOMCでは、政策金利の引き上げが10人全員の賛成によって決定された。たしかにアメリカ経済は好調を持続しているが、こんなことは珍しい。来たるべきトランプ政権との対決に備えて、結束を固めたように見えないこともない。

FOMCのメンバーは本来12人。現在はメンバーとなるべきFRBの理事2人が欠員となっている。この欠員はトランプ大統領によって指名されるから、利上げに反対の人物を送り込んでくる公算がきわめて高い。いまのメンバー10人は、こうした事態に備えて結束を固めたのではないだろうか。

イエレン議長は、利上げに際して「これは経済に対する信任投票だ」と断言した。具体的には来年のアメリカ経済が過熱気味となり、FRBが3回も利上げを実施するようなら、イエレン議長の勝ちに。景気の回復が続かず、利上げどころではないという状態に陥れば負けになる。信任投票の結果は、雇用や物価など景気動向が握っているわけだ。

ここで気になるのは、ドル高の行くえだろう。金利上昇でドル高が進めば、アメリカの輸出は抑制され、物価は上がる。また新興国の経済が圧迫され、このことがアメリカ経済にも悪影響を及ぼす。こうした状態に陥れば、利上げどころではなくなってFRBには批判が集中するかもしれない。トランプ対イエレンの勝負は、ドル相場が決めることになりそうだ。

     ≪20日の日経平均 = 上げ +102.93円≫

     ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


トランプ経済政策に先手 : FRB (上)

2016-12-20 08:28:17 | 日記
◇ イエレン議長の挑戦状 = アメリカの中央銀行であるFRBは先週14日、政策金利の0.25%引き上げを決定した。同時に来年の利上げは3回になりそうだ、という予想も公表している。そのあと記者会見したイエレン議長の発言は、オブラートに包んだ言い方ではあったものの、まるでトランプ次期政権に対する挑戦状のよう。FRBとトランプ政権の関係は、緊張感に満ちた状態でスタートしそうだ。

FRBが1年ぶりの利上げに踏み切った理由を、イエレン議長は「雇用や物価の動向からみて、アメリカ経済の好調は持続すると判断したからだ」と説明している。ところがトランプ次期政権は、5兆ドルにのぼるインフラ投資と減税でさらに経済を刺激しようと考えている。となると、こんどはインフレが心配。だから来年も3回程度の利上げが必要になってきた。この点についてイエレン議長は「財政による景気刺激策は不必要」と明快に答えている。要するに「トランプ政府は余計なことをするな」というわけだ。

イエレン議長は利上げについて「これは経済への信任投票だ」とも述べている。一般的には、利上げの正当性を強調した表現と受け取られているようだ。しかし大型の財政支出で景気を刺激したいトランプ政策と、経済の過熱を心配するFRBの政策と、どちらが正しいのか。結果をみてみろ、と言っているようにも感じられる。

ビジネスマンであるトランプ氏は、もともと高金利を望まない。このため昨年12月から金利を引き上げ始めたFRBの姿勢は、気に入らない。選挙戦中も「イエレン氏は民主党寄り」とか「イエレン氏の再任は見送る」とか、ちらちら不満感を漏らしていた。この点について、イエレン議長は会見のなかで「私はFRBの独立性の強い信奉者だ。任期は全うする」と、トランプ政権の政治介入に先制攻撃を加えている。

                            (続きは明日)

      ≪19日の日経平均 = 下げ -9.55円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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