経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2016-12-19 07:46:57 | 日記
◇ そろそろ綱引きが始まる = 株高ムードは先週も持続した。ただダウ平均株価は2万ドル寸前の高水準。FRBの利上げが現実のものとなったこともあって、上昇のテンポには急ブレーキがかかった。週間では87ドルの値上がり。一方、日経平均は9日間の連騰。7日連続でことしの新高値を更新した。アメリカの利上げで、ドル高・円安が加速したためである。週間では405円の値上がり。

FRBは14日のFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の0.25%引き上げを決定した。同時に来年は3回の利上げになる、との予想も発表している。市場は今回の利上げについては十二分に織り込み済みだったが、来年3回という予想にはびっくり。このためニューヨーク市場では株価が下げ、ドルが急騰する結果を招いている。

ダウ平均はあと160ドルで2万ドルの大台へ。日経平均はあと100円で1万9500円へ。今週はともに達成するという見方も強い。さらに円安が続けば、日経平均は2万円を目指せるという楽観論も。その一方では、高値警戒から日米の株価はいったん調整するという慎重論も高まっている。今週はその綱引きが始まりそうだ。

今週は19日に、11月の貿易統計。21日に、10月の全産業活動指数と11月の外国人観光客数。アメリカでは21日に、11月の中古住宅販売。22日に、7-9月期のGDP確報値、10月のFHFA住宅価格、11月のカンファレンス・ボード景気先行指数。23日に、11月の新築住宅販売が発表される。

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


早まるな! ビール値下げは4年あと

2016-12-16 07:12:10 | 日記
◇ 10年計画の酒税改正 = 街頭でマイクを向けられた若いサラリーマン風の男性が「これからは心おきなくビールを飲めそうです」と、にこやかに笑っていた。ビール減税が決まったことへの感想を聞かれたのだろう。このテレビ画面を見て、発泡酒で我慢してきたビール党は快哉を叫んだに違いない。だが、この喜びは早とちり。実際にビールの値段が安くなるのは、20年10月から。まだ4年も先のことである。

政府・与党が決めた酒税の改正案は、複雑かつ息の長い内容になった。現在の税金は350㍉㍑当たりでみると、ビールが77円。第3のビールが28円、発泡酒が46.99円となっている。これをまず20年10月から、ビールを70円に引き下げる。逆に第3のビールは37.8円に引き上げ、発泡酒は据え置く。さらに23年10月にはビールを下げ、第3のビールは上げて、発泡酒と同じ46.99円に統一する。そして最後は26年10月に、すべてを54.25円に引き上げて完了。

だからビールの値段が下がるのは4年後の20年10月から。しかも350㍉㍑で7円しか下がらない。また日本酒は現在の税額42円を38.5円に下げ、ワインは28円から31.5円に引き上げる。これも20年10月から。さらに23年10月には、日本酒もワインも35円の税額に統一される。

なぜ、こんなに複雑で長期間の改正になったのだろう。財務省は「第3のビールや発泡酒は、海外では全く売れない。だからビールの値段を下げて、国際的にも競争力のある製品の開発を支援する」と説明している。また長い期間をかけるのは「メーカーへの影響を緩和するため」だという。それは結構かもしれないが、おかげで消費者に与えるインパクトも薄れてしまった。

      ≪15日の日経平均 = 上げ +20.18円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


将来不安を拭えない 企業

2016-12-15 08:04:13 | 日記
◇ 日銀短観では判らないその理由 = 日銀が14日発表した12月の企業短期経済観測調査によると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス10だった。前回9月調査よりも4ポイント改善している。この指数が改善したのは1年半ぶりのこと。トランプ次期大統領の登場により、株価や資源価格が反発。アメリカの金利が上昇して、円の対ドル相場が大きく下落したことが、企業の業況判断を押し上げたと考えられている。

ところが現状判断は改善したものの、先行き見通しについては依然として弱気のまま。大企業・製造業の3か月後の見通しは、プラス8で現在よりも2ポイント悪化する判断になっている。たとえば16年度を通じた経常利益の見通しも、前年度比18.9%の減益。15年度の5.3%減益よりも利益が縮小すると予想している。

このような「現状はいいが、先行きは心配だ」という傾向。大企業・製造業だけでなく、非製造業や中堅・中小企業にも蔓延している。だから設備投資の意欲も乏しい。たとえば全規模・全産業の設備投資計画は、16年度が前年度比わずか1.8%の増加。15年度の実績5.0%増を下回っている。これでは景気の回復につながらない。

事業計画の前提になっている想定為替レートをみると、大企業・製造業の場合で1ドル=104.90円だった。半年前の6月調査では111.41円だったから、企業はかなり円高に備えている。そこへトランプ効果で大幅な円安に。企業はもっと将来を明るくみていいはずだ。にもかかわらず将来不安を拭えないのは何故か。どうせ大掛かりな調査をしているのだから、日銀短観はその理由まで聞いてほしいものだ。

      ≪14日の日経平均 = 上げ +3.09円≫
    
      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ



減税300万世帯 ; 増税100万世帯

2016-12-14 08:16:37 | 日記
◇ 中途半端な配偶者控除の見直し = 日本では1997年を境に、専業主婦世帯よりも共稼ぎ世帯の方が多くなった。それだけ女性の社会進出が進んだわけだが、現行制度には大きなカベがある。というのも妻の年収が103万円を超えると、夫が38万円の配偶者控除を受けられなくなってしまう。だから女性たちは103万円以上は働かないようにする。世に言う“103万円のカベ”である。

政府・与党は来年度の税制改正で、この問題を是正することになった。まず103万円のカベを150万円にカサ上げする。また年収150万円-201万円の間は9段階に分けて、夫の控除額を縮小する。その代り夫の収入が1220万円を超えると、控除は適用されなくなる。こうした改正で、約300万世帯が減税に、約100万世帯が増税になるという。増税総額も減税総額も1500億円で、国の税収に増減はない。

これでパート主婦たちは、安心して年収150万円までは働ける。と思ったが、実はそうでもない。彼女たちの年収が106万円に達すると、社会保険料の支払い義務が生じるからだ。一気に150万円近くまで働ける人はいいが、時間的な制約などで収入をそう伸ばせない人は考え込んでしまうだろう。なんとも中途半端な改正に終わったものだ。

実はこうした記述には、基本的な間違いがある。「妻の収入」とか「夫の年収」とか書いてきたが、これは正しくない。世の中には妻が家計の主たる担い手で、夫がパート勤めをしている家庭もあるからだ。この問題がパート主婦から発生したこと、税制改正の中身をできるだけ易しく伝えるために、新聞各紙も「妻の収入」調で書いている。だが実際は男女平等。そのことを解説した新聞はなかった。

      ≪13日の日経平均 = 上げ +95.49円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ



トランプ vs 産油国連合 の決闘

2016-12-13 07:57:42 | 日記
◇ 非OPEC諸国も減産に同意 = OPEC(石油輸出国機構)の加盟国とロシアなどの非加盟国は先週末ウィーンで会合、原油の協調減産で合意した。すでにOPECは来年1月から、加盟国全体で日量120万バレルの減産を決めている。今回の決定では、非加盟国も全体で日量60万バレルを削減することになった。したがってOPECと非加盟国を合わせると、原油生産は来年から日量180万バレル減少することになる。

この決定を受けて今週の市場では、原油の国際価格が上昇している。たとえばニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)は、先週末の1バレル=51ドル台から52ドル台に上昇した。日量180万バレルの減産が実現すれば、世界の石油需給はかなり引き締まる。そこで投機マネーが先物買いに集中、相場を押し上げた。

だが原油価格が60ドルを超えて上昇する、という見方は少ない。OPEC加盟国や非加盟国がすべて合意を順守できるかにも、やや疑問がある。それ以上に大きく立ちはだかるカベは、アメリカのシェール産業だ。原油の国際価格はOPECの減産合意によって、12月に入ってから10ドルほど上昇した。このためシェールの生産量が急増。先週は日量569万バレルまで盛り返している。

折しもアメリカでは、トランプ次期大統領が登場した。エネルギー政策については、アメリカの石油・石炭生産を増やすと公言している。シェールに対しても、オバマ政権が環境保護のために実施した掘削に対するさまざまな規制措置を撤廃すると言っている。したがって価格が60ドルに近づけば、シェールの生産量は飛躍的に増加するという見方が強い。そうなれば、価格は上がりにくい。形のうえでは、産油国連合とトランプ次期政権の対決という構図になった。

      ≪12日の日経平均 = 上げ +158.66円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ



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