経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

勇敢なのか 鈍感なのか : アメリカ人

2020-02-22 08:28:16 | アメリカ
◇ インフルエンザで死者が1万2000人超す = 横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から、約330人のアメリカ人が政府差し回しの航空機で帰国した。ところが50人ほどの乗客は、元気なのに帰国しなかった。そのうちの1人は、こう話したという――「帰っても14日間は隔離される。そのあと自由になっても、いまのアメリカはもっと危ないから帰らないんだ」と。えっ、どういうこと?

そのイミを調べてみて、びっくり仰天した。アメリカでは、いまインフルエンザがコロナ肺炎をはるかに上回る猛威を振るっているのだ。アメリカ疾病対策センターの発表によると、インフルエンザの感染者数は14日時点で2200万人。死者は1万2000人を超えた。中国ではコロナ肺炎の感染者が7万人を超え、死者も2000人に達したが、それどころではない。

ところがアメリカ人に聞いてみると、新聞やテレビは中国や日本のコロナ肺炎については報道しているが、国内のインフルエンザに関するニュースはあまり見ないという。人々もマスクなどはしない。旅行制限もないし、イベントの中止もない。一般人の感覚は、インフルエンザの流行はよくあること。治療法も確立されているし、ワクチンもある。だがコロナ肺炎は治療法もワクチンもないから心配なのだ、ということらしい。

アメリカのマスコミが騒ぎ立てないせいか、日本の新聞やテレビも報道しない。日本の外務省も「1万2000人の死者が出ている」ことは情報として流したが、渡航注意報は出していない。でも人口の多さを勘案すれば、アメリカの死者数は、中国の20倍に達する。やはり、なんだか割り切れない。アメリカ人は勇敢なのか、それとも鈍感なのか。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -92.41円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

ガタつき始めた 中国 (下)

2020-02-21 08:18:46 | 中国
◇ “ゼロ成長”説も現われる = 政治の混乱は、経済にも悪影響を及ぼす。たとえば景気対策。中国のGDP成長率は米中経済戦争の影響もあって、昨年下半期には6.0%まで低下した。この水準は、習政権が公約した目標の下限。しかしコロナ肺炎の蔓延で生産や流通に支障が生じたため、この1-3月期は4%前後にまで低下するとみられている。さらに疫病の流行が長引けば、20年の成長率はゼロに近づくという観測さえ現われた。

中国政府としては、強力な景気対策の必要性を感じているはずだ。ところが中国の場合、財政支出の大半は中央政府の命令を受けた地方政府が実行する。だが地方政府の多くは、いま肺炎対策で手いっぱい。地方債を発行したり、新しい公共事業を推進する余力がない。その結果、景気対策の実施は遅れてしまう。

また中国はアメリカとの経済協議で、第1段階の合意を取り付けた。さる14日には、両国が関税の一部を引き下げている。だが中国はこの合意のなかで、大豆や豚肉などの農産物を年内に500億ドル輸入することも約束した。しかし肺炎の蔓延で流通が混乱し消費も鈍っている状態で、どこまで約束を守れるのか。

仮に約束を守れなかった場合に、トランプ大統領がどう反応するのかは予測できない。コロナ肺炎だから仕方がないと考えるかもしれないが、関税の再引き上げなど強硬な態度に出る可能性もないではない。もしそうなると、習近平主席の立場はもっと苦しくなるだろう。中国にとっても習政権にとっても、正念場である。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +78.45円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

ガタつき始めた 中国 (上)

2020-02-19 08:09:10 | 中国
◇ 政治日程がすべてガタガタに = 習近平政権は、3月5日に開幕する予定の全国人民代表大会を延期することになった。この全人代は憲法で「最高の国家権力機関」と規定され、全国から約3000人の地域代表が北京の人民大会堂に参集。冒頭に首相が施政方針演説、予算や重要法案の審議が行われる。この全人代が延期されることになったのは、言うまでもなくコロナ肺炎の蔓延が収まらないからだ。同時並行的に北京で開かれる全国政治協商会議も、延期されることになる。

規定によって、全人代は毎年1-3月中に開くことになっている。したがって中国政府としては3月中の開幕を模索するだろうが、まだ見通しは立っていない。仮に3月末の開幕となっても、4月上旬に予定される習近平国家主席の日本訪問はムリ。中止か延期に追い込まれるだろう。コロナ肺炎のせいとは言っても、こうした政治日程の混乱は大きな汚点。伝染病の初期対策に失敗した結果だという批判が広がりかねない。

中国におけるコロナ肺炎の現状をみると、19日時点で感染者が7万4185人。死者は2004人に達した。感染者の増加数は1日2000人を下回るようになってはきたが、まだ最悪の状態を脱したという見方は出ていない。特に湖北省や浙江省では地方議会を開くことが出来ず、全人代へ参加する準備も出来なかったという。

病気の蔓延が収まらず全人代の開催が遅れれば、中国は外交や経済の面にも政策的な遅れが生じかねない。特に経済面では、肺炎の問題が起こる前からGDP成長率の鈍化が目立っていた。これに対して、政府はどのような見通しを持っているのか。どんな対策を講じようとしているのか。全人代の延期で、この辺の情報が国民の耳に届かなくなってしまった。

                              (続きは明日)

       ≪19日の日経平均 = 上げ +206.90円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

企業業績は 濃い霧のなか

2020-02-19 08:09:10 | 利益
◇ 3月期決算の予測は困難に = 企業の12月期決算発表は、いまピークを迎えている。市場は常に先を読みたがるから、最大の関心事は最終的に3月期の決算がどうなるかだ。ところが、ことしはそれが読めない。コロナ肺炎の影響がどこまで拡大するかが不明なため、大半の企業が1-3月期の業績を予測できなくなっているからだ。肺炎の蔓延が続けば続くほど、企業の業績は濃い霧のなかで悪化して行く。市場はそれを心配している。

日経新聞が10日までに12月期の決算発表を終えた1342社について集計したところ、3月期の純利益は前年比8.4%の減益となった。昨年11月時点の予測より、減益幅が1.6ポイント拡大している。製造業は22%の減益、非製造業もわずかな減益になる見通し。これまでのピークだった18年3月期に比べると、約13%低い水準だという。

それでも、この程度なら利益の水準はまだ高い。しかしトヨタをはじめ多くの企業が、今回は3月期の見通しを明らかにしていない。言うまでもなく、コロナ肺炎が経済に及ぼす悪影響を計測できないためである。その悪影響は、①インバウンドの縮小②中国経済の鈍化③サプライ・チェーンの崩壊④世界経済全体への影響――などに現われるが、現時点ではそのどれについても予測は不可能だ。

加えて日本国内での肺炎の流行も、大きな問題になってきた。近いうちに終息のメドが付けばいいが、長引けば長引くほど影響は拡大する。とにかく株価を形成する最大の要因は、企業の収益であることに間違いはない。その収益が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。市場はこれからも、肺炎の動向を注視することになるだろう。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -329.44円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

予想を超えたマイナス成長 : 10-12月期

2020-02-18 08:09:46 | 景気
◇ 増税の影響は大きかった = 内閣府は17日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は前期比で1.6%の減少。年率に換算すると、マイナス6.3%だった。事前の民間予測を大きく上回る落ち込みで、マイナス幅は14年4-6月期以来の大きさ。消費増税の影響が大きかったのに加えて、台風や暖冬、さらには中国経済の鈍化などが重なったためと考えられる。

内訳をみると、GDPの6割を占める個人消費が年率11.5%の減少。企業の設備投資は14.1%の減少。住宅投資は10.4%の減少だった。また輸出も0.4%の減少で、GDPを構成する主要項目がすべてマイナスとなっている。ただ輸入が10.1%減少したため、外需はGDPを押し上げる要因となった。しかし輸入の減少も国内需要の低下を反映したもので、喜ばしい現象ではない。

大問題は、ことし1-3月期の経済がどうなるかだ。昨年10-12月期のGDP統計には、コロナ肺炎の影響が全く反映されていない。年明け以降、増税や台風の影響はしだいに和らぐものと考えられる。しかし中国経済の状況は、混乱の度を深めている。そして肺炎の影響は、インバウンド縮小やサプライ・チェーンの不具合などを通じて強まりつつあるのが現状だ。

冷静に観察しても、1-3月期のGDPがプラスに転じる兆候は読み取れない。だとすると、GDP成長率は昨年10-12月期に続いてV字型のマイナスになる可能性が高い。本来ならば、政府は早めに大型減税などの対策を用意すべきところだろう。だが政府にその余裕はないし、日銀も動きがとれない。どうやら、景気後退は避けられそうにない。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -164.35円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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