経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2020-02-17 08:38:15 | 株価
◇ コロナ肺炎と企業業績に揺れる市場 = 株式市場は、新型肺炎の状況を伝えるニュースと企業業績の見通しを軸に上下動した。ダウ平均は先週296ドル上昇して、いぜん史上最高値の水準を維持している。一方、日経平均は先週140円の値下がり。1月23日以来、ずっと2万4000円割れが続いている。注目されるのは新型肺炎に対する受け取り方が、日本とアメリカでは異なってきたことだ。

新型肺炎に対する警戒感は、病気そのものの広がり方と、それが中国をはじめ世界経済に及ぼす悪影響の2つに向けられる。このうちアメリカでは国内の感染者がまだ10人程度なので蔓延に対する関心度は低く、経済的な影響が重視されている。しかし日本では、両方に強い警戒感が出始めた。また企業業績の見通しも、アメリカより日本の方がかなり悪い。

そんな環境のなかで日本ではきょう17日、昨年10-12月期のGDP速報が発表される。事前の民間予測ではマイナス成長となっていたが、マイナス幅が大きいと市場にもショックが走るだろう。これまで大量の資金を投入して相場を支えてきた投資家の行動に、変化を生じるかどうか。今週はその結果が、見極められることになるだろう。

今週は17日に、10-12月期のGDP速報。19日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数、12月の機械受注。21日に、1月の消費者物価と12月の全産業活動指数。アメリカでは19日に、生産者物価と住宅着工戸数。20日に、1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。21日に、1月の中古住宅販売が発表される。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

ギャンブル依存症に 保険適用なんて

2020-02-15 08:23:34 | カジノ
◇ バカ言ってんじゃねーよ! = 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は先週「20年度の診療報酬改定案」をまとめ、加藤厚労相に答申した。内容の中核は医師らの技術料を0.55%引き上げることにあったが、ここに「ギャンブル依存症の治療に公的保険を適用する」という一項も潜り込ませている。政府はこの答申を受けて4月から実施する方針だが、全く冗談じゃない。

ギャンブル依存症というのは、パチンコや競馬などのギャンブルにのめり込み、日常生活に支障が出ても止められない一種の病気。いま日本では約320万人いると言われる。この時点で公的保険の適用案が飛び出したのは、政府が推進中のIR(統合型リゾート)にカジノが開設されることと無関係ではありえない。

健康保険や国民健康保険などの公的医療保険は、加入者が病気になった場合にみんなで助け合って負担を軽くする制度。しかし高齢化の進展などでみな大赤字。国や地方自治体が、税金で赤字を埋めている。それでも赤字のため、出産費用やインフルエンザ予防接種、花粉症治療などは適用の対象になっていない。

IRの開発についての世論調査は、圧倒的に反対が多い。それでも政府が推進するのは、IRで儲かる地方自治体や関係業界からの圧力が強いからだろう。しかしカジノを作れば、ギャンブル依存症は増えるに決まっている。その病気の温床を作る一方で、病人が出たら保険金を使って治療する。なんとも不思議な考え方だ。与野党の議員が黙り込んでいるのも不思議だ。もうギャンブルに毒されてしまったのだろうか。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -140.14円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   

カード切れになった トランプ大統領

2020-02-14 08:05:48 | トランプ
◇ 市場は10兆ドルのインフラ投資に反応せず = トランプ大統領は10日、21年度(20年10月-21年9月)の予算教書を議会に送付した。歳出総額は4兆8290億ドル(約530兆円)で、前年度比0.8%の増加となっている。このなかで、インフラ投資を10年間で1兆ドル支出するという景気対策を打ち出した。高速道路や鉄道に8100億ドル、高速通信や水道に1900億ドルを振り向けている。

そのほか防衛費は5.7%の増加、メキシコ国境のカベ建設には20億ドルの支出を要求している。その一方で、社会保障費などは0.3%削減。この結果、財政赤字を5年後には半減させると約束した。野党の民主党は防衛費の削減と社会保障費の増額を主張しているから、議会の審議ではこの辺が最大の対立点になると思われる。

トランプ大統領にしてみると、10年間に1兆ドルのインフラ投資は、大統領選挙を前に繰り出した“切り札”だったに違いない。だが専門家による評価はいま一つ。今後5年間に毎年3%成長することが土台となっているために、全体の構想が甘すぎると受け取られたようだ。市場もこの予算教書をほとんど無視、好材料とは認めていない。

空振りとなった形のインフラ投資。トランプ大統領は選挙前に、まだ何枚かの“切り札”を使いたいところ。しかし中国は新型肺炎で、揺さぶりをかけにくい。中東情勢で強腰に出ても、選挙の票にはなりにくい。カナダやメキシコ、日本との貿易交渉も終わってしまった。どうやらカード切れになったらしい。あとはFRBに圧力をかけて、金融を緩和させるか。トランプ大統領の新しいカード探しが始まろうとしている。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -33.48円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

時代遅れの 賃金統計

2020-02-13 07:58:15 | 賃金
◇ 給与は20年前より3万円も減った = 厚生労働省が発表した19年の毎月勤労統計によると、労働者1人当たりの平均賃金である現金給与総額は月平均で32万2689円だった。前年に比べると0.3%の減少、給与が前年より減ったのは6年ぶり。このうち正社員は42万5288円で0.3%の増加だったが、パートは9万9758円で前年と変わらなかった。それでも全体の給与総額が減少したのは、賃金の低いパートの人数が増えたためである。

安倍首相は経済界に対して、たびたび賃金の引き上げを要請してきた。勤労者の所得が増えれば消費が増大し、景気が良くなるからである。しかし、なかなか実現はしない。もっと長い目でみると、給与の水準はむしろ下がっている。たとえば10年前の現金給与総額は31万5294円で、昨年よりはやや低い。だが20年前は35万3679円で、昨年を3万円以上も上回っていた。

毎月勤労統計というのは、厚労省が常用雇用者が5人以上いる全国3万3000の事業所を対象に毎月行っている大掛かりな調査。最近はパートタイムで働く労働者が急増。19年の調査では、労働者全体の31.53%を占めている。このため全体の平均賃金は、どうしても下がってしまう。この点は時代の流れを反映していると言えるだろう。

だが毎月勤労統計には、大きな欠陥がある。それは労働者の年齢構造を、全く反映していないことだ。いま団塊の世代が定年に達し、少子化で学卒者も減る傾向にある。すると正規雇用者の平均年齢は下がるが、そのことが統計には現われてこない。たとえば39-41歳の平均賃金を算出して前年と比べれば、生活水準に密着した賃金動向が判明する。現在の統計では賃金の水準が低く出過ぎて、いたずらに節約志向をあおっているのではないか。安倍さん、どう思いますか。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +175.23円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

漂流する 豪華クルーズ船

2020-02-12 08:51:42 | なし
◇ 少なくとも5-6隻が行き先不明 = 豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に着いてから10日。まだ船内には3600人の乗客・乗員が、閉じ込められたままだ。続いて日本に寄港しようとしていた「ウエステルダム」は、日本政府が石垣島への入港を拒否。現在は寄港を認めてくれる国を探して、台湾の沖合を南下中だという。武漢市で突如として発生した新型肺炎は、クルーズ船の乗客・乗員、運営会社に思わぬ悲劇をもたらしている。

ことし1月以降に中国を訪れたクルーズ船は21隻。そのうち11隻が、福岡・長崎・那覇など日本の港に停泊した。これら11隻の乗客は合計で約5万人。そのほとんどが国内ツアーに参加したとみられるが、新型肺炎の感染は報告されていない。そこへ「ダイヤモンド・プリンセス」の事件が発生。日本政府はその後、中国に寄港したクルーズ船の日本国内への入港は認めない方針だ。

日本だけではない。台湾・韓国・フィリピン・ベトナムなども、一斉に中国に立ち寄ったクルーズ船への対応を厳しくした。ミクロネシアなどは、日本へ寄港した船の入港も拒否している。このためイタリア船籍の「コスタ・セレーナ」と「コスタ・ベネチア」の2隻は、いま次の寄港地を求めて東シナ海を回遊中。アメリカの「シーボーン・オペレイション」は2日に香港を発ったあと、いまだにベトナム沖を航行しているという。

このように入港を許可してくれる国を探して“さまよっている”クルーズ船は、現状で5-6隻。新型肺炎の感染が広がれば、この数はさらに増える可能性がある。楽しい船旅を夢見て出発した乗客たちは、とんだ悲劇に襲われたものである。またクルーズ船に対する信頼感も、いつになったら回復できるのだろう。豪華クルーズ船業界も、漂流し始めたようだ。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -142.00円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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