経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2020-02-10 08:33:53 | 株価
◇ はしゃぎ過ぎの株式市場 = 日米の株価は、予想を大きく超えて反発した。ダウ平均は先週846ドルの値上がり。新型肺炎による下落分を完全に取り戻して史上最高値を更新したが、最終日には反落した。ただ新型肺炎による被害は世界に拡大中。さしたる好材料も出なかったのに、株価は急騰した。その根底には、トランプ大統領が選挙を前に景気対策を打ち出すだろうという期待。FRBも利下げに傾くだろうという期待があったと解説されている。

最終日には1月の雇用統計が発表され、非農業雇用者の増加数は22万5000人。事前の予測を大きく上回った。ところが株価は反落した。高値を警戒した利益確定売りが出たことは確かだが、雇用の好調で景気対策や利下げに対する期待が薄れたことも値下がりの一因になったという。つまりニューヨーク市場は、金融緩和に頼る“カネ余り”相場の様相を濃くしているようだ。

日経平均は先週623円の値上がり。こちらも具体的な好材料に欠けたまま、ニューヨークの活況に引きずられた。新型肺炎の蔓延が止まらないなかで、こうした一見はしゃぎ過ぎの相場は、どこまで続くのだろうか。どこかで実体経済の悪さとの乖離に気付くことになるだろうが、なにしろカネの投資先に困っている投資家が多いから、もう少しは続くのかもしれない。

今週は10日に、1月の景気ウォッチャー調査。13日に、1月の企業物価。14日に、12月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。14日に、1月の小売り売上高と工業生産、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

最初の善兆か?? : 新型肺炎

2020-02-08 08:30:35 | 中国
◇ 中国で疑いある人の増加が鈍った = 新型コロナ・ウイルス肺炎の蔓延は、いぜんとして勢いが衰えない。日本国内の感染者数は6日時点で45人。1週間で30人増えている。東京湾に停泊中のクルーズ船には3700人近くの乗客・乗員が閉じ込められており、武漢市からは第4次の帰国チャーター便も帰ってきた。感染者の人数は、まだまだ増加しそうだ。

中国本土での感染者拡大も止まらない。国家衛生健康委員会の発表によると、感染者数は6日時点で3万1161人で、3万人を突破。死亡者も636人に増えている。このうち発生源となった武漢市の感染者数は、4日時点で8351人。全国の約3分の1を占めている。特に武漢市では死亡率が高く、関係者の間で問題になっているという。

中国以外の国・地域の感染者は、6日時点で27か国、合計254人となっている。内訳では、日本の45人が最も多い。このため太平洋の島国ミクロネシアは、日本からの入国を規制すると発表した。日本に次いで感染者が多いのは、シンガポール、タイ、香港、韓国など。香港とフィリピンで、それぞれ1人ずつの死者が出ている。

そんななかで注目されたのは、中国で「疑わしい人」の増加数が縮小し始めたこと。国家衛生健康委員会の発表によると、4日だけで「新たに感染が疑われる人」は3971人増えた。しかし2日と3日には5000人以上増えていたのが、3000人台の増加に収まったという。これが終息の兆しなのかどうかは判らないが、真っ暗闇のなかのかすかな光明ではある。この数字が順調に縮小して行くことを祈りたい。

       ≪7日の日経平均 = 下げ -45.61円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

景気は 後退局面に突入した! (下)

2020-02-07 07:33:38 | 景気
◇ 景気対策基金を創ったらいかが = 「政府の景気に対する認識は甘い」と批判したら、安倍首相は「そんなことはない。対策もちゃんと講じている」と反論するに違いない。19年度の補正予算と20年度の本予算で、災害復旧から消費増税による需要減少、さらにはオリンピック後の景気対策まで、十分な手当てが済んでいると説明するはずだ。どうも安倍首相は官僚が作ったこの説明を信じ切っているようだが、ほんとうに大丈夫なのだろうか。

政府の説明によると、これらの景気対策による総事業規模は26兆円にのぼるという。だが、これが怪しい。というのも19年度の財政支出総額は、補正予算を含めると105兆1000億円だった。これに対して今回の対策による支出総額は105兆8500億円で、わずかに7500億円しか増えていない。これで景気を押し上げる効果があるのだろうか。

そこで提案がある。景気対策基金を創ったらどうだろう。たとえば予算とは別に、財務省に20兆円程度の基金を創設しておく。もちろん新しい法律を作って、国会の承認も得ておく。財源は特別国債の発行しかないだろう。そして仮に景気がはっきりと下降に転じた場合、政府は国会の同意を得て、この基金から必要な金額を早急に支出できるようにする。

新型肺炎はいつ終息するか、現状では見当がつかない。もし短期で終息すれば、基金を使う必要はない。長引いて景気が悪化すれば、適宜に発動する。こういう仕組みを作っておけば、景気対策が手遅れになる危険性を小さくすることが可能だろう。また企業や個人も、心理的に安心できる。長い目でみれば、財政支出の総額も少なくて済むのではないか。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +554.03円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

景気は 後退局面に突入した! (中)

2020-02-06 08:16:19 | 景気
◇ 甘すぎる政府の景気判断 = 欧米諸国では、GDP成長率が2四半期連続でマイナスに陥ると「景気後退」と判定する国が多い。だが日本では内閣府が毎月発表する景気動向指数を、景気の局面を判断する基準にしている。しかも専門家による判定会議は数か月後に開かれるので、結論はきわめて遅い。その景気動向指数は昨年10月と11月には低下。あす7日には1月分の発表があるが、おそらく低下が続くだろう。

さらに奇妙なのは、政府がこれとは別に「月例経済報告」という公式見解を公表していることだ。原案は閣議に提出され、了承を得て発表される。この月例報告はずっと「景気は回復している」という見解に固執しており、1月分の報告でも「景気は緩やかに回復」という基調判断だった。ところがGDP成長率も景気動向指数も、さらには月例経済報告の原案も作っているのは内閣府だから、話はややこしい。

安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が、ほんとうに「景気は緩やかに回復中」と考えているのかどうか。もし政府が「回復は終わった」と言えば、心理的に悪影響を及ぼすと懸念しているのかもしれない。また「直ちに景気対策を」の声が上がるのを警戒してのことだろうか。真相はどうも判らない。

しかし政府の認識が甘く、景気対策に失敗した例は数多い。景気が下降局面に入ったとき、早めに手を打てば対策の規模も小さくて済む。だが対応が遅れれば遅れるほど、コストは大きくなってしまう。かつては金融面からの支援もあったが、いまは日銀が動けなくなっている。甘すぎる政府の景気判断には、危険が付きまとうと知るべきだろう。

                              (続きは明日)

       ≪5日の日経平均 = 上げ +234.97円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

景気は 後退局面に突入した! (上)

2020-02-05 08:15:14 | 景気
◇ 成長率は2期連続マイナスへ = 日本経済が景気後退期に突入したことは、間違いなさそうだ。まず昨年10-12月期の実質成長率が、マイナスになったことは確実。内閣府は17日にGDP速報を公表するが、その前に発表された民間調査機関の予測平均値はなんとマイナス4%という低さ。すでに発表されたアメリカはプラス2.1%、EUもプラス0.4%だった。そんななかで、日本だけがマイナス成長に落ち込む。

マイナス成長に落ち込んだ原因は、中国をはじめとする世界経済の減速、それに消費増税と大型台風の影響が加わった。経済産業省が31日に発表した10-12月期の鉱工業生産は、前期比で4.0%の大幅な低下。商業動態統計でも、小売り売上高は前年比3.8%の減少となっている。また財務省が発表した法人企業景気予測調査をみると、19年の経常利益は6.3%の減益になる見込みだ。

断わっておくが、以上は昨年10-12月期の状況である。そこへことしになって、新型肺炎の問題が発生した。中国からの訪日客が激減し、デパートや専門店の売れ行きが落ち込んでいることは、毎日のように報道されている。さらに中国国内では旅行規制などで大混乱。生産工場の休業も長引いており、世界に対する製品や部品の供給にも支障が出始めた。

新型肺炎の流行はまだ衰えをみせないから、こうした状況は持続すると覚悟しなければならない。輸出や生産は回復せず、消費の盛り上がりも期待できない。すると1-3月期のGDP成長率は、マイナスになる可能性がきわめて大きい。欧米流に言うと、2期連続のマイナス成長は「景気後退」である。

                          (続きは明日)

       ≪4日の日経平均 = 上げ +112.65円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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