経済なんでも研究会

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お次は 第3次補正予算 (上)

2020-10-08 08:04:26 | 予算
◇ 景気・コロナ対策を急ぐ菅内閣 = 霞が関では、いま21年度予算案づくりの真っ最中。ところが政府は、その前に20年度の第3次補正予算を作成する方針だ。年末までに編成し、来年1月の通常国会に提出。年度内に執行する。そうしないと、コロナ不況に対する財政支出が途切れてしまう危険があるからだ。しかし、これによって財政支出の規模は異常に膨れ上がり、それを賄うための国債発行額も急増する。

20年度予算の規模は102兆6580億円。ところがコロナの発生で、すでに補正予算を2度にわたって編成した。第1次補正予算は25兆6914億円、第2次補正予算は31兆9114億円と、いずれも巨額。この2回の補正予算で、本予算の半分を超すという異常な状態だ。しかも財源のすべてを国債発行で賄っている。それでも足りずに、第3次補正となるわけだ。

第3次補正の規模は、5-10兆円程度とみられる。4月になれば21年度の本予算が使えるようになるから、この程度で済むだろう。使途は中小企業や生活困窮者への支援が中心になるとみられる。仮に10兆円とすると、20年度は補正予算だけで67兆6000億円。本予算と合わせると170兆円に達する計算になる。

21年度予算の概算要求は、9月30日に締め切った。その総額は105兆円を超えている。しかもコロナの展望が不明なため、金額を明示できなかった項目も多い。したがって、予算の規模は110兆円にのぼるかもしれない。景気が悪いために21年度は税収も振るわないだろう。そこでも国債の発行額は増えることになる。

                              (続きは明日)

       ≪7日の日経平均 = 下げ -10.91円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

「GO TO トラベル」の効果 3兆円以上

2020-10-07 08:01:23 | 景気
◇ 不公平感は増大した = 秋の行楽シーズン本番。GO TO トラベル・キャンペーンは10月から東京都が参入したこともあって、利用者が順調に伸びているようだ。観光庁による正式な集計の発表はまだない。しかし政府の予算1兆3500億円を使い切れば、単純計算で旅行支出は2兆7000億円に。その他の付随支出も含めて、3兆円は上回るだろう。ただし事業者側にも消費者側にも、不公平感が高まっている。

この政策は、主として観光地の宿泊業とその周辺企業を支援するために立案された。政府が国内の宿泊・日帰り旅行者に対して、代金の35%を補助。さらに代金の15%分を、旅行先で使えるクーポンの形で支給する。ただ宿泊は上限が2万円、日帰りは1万円となっている。また回数の制限はない。

たしかに、この政策によって観光地を訪れる旅行客は大幅に増えた。このため多くの宿泊業者が、恩恵を実感して喜んでいる。しかし恩恵を受けたのは、主として規模の大きい旅館やホテル。民宿など規模の小さい宿泊業には、客足が戻ってこない。というのも旅行客からすれば、たとえば4万円の宿泊代なら2万円が補助される。5000円の宿泊代では、2500円しか得しないからだ。

消費者の側にも、不公平感を生じている。旅行に行ける人はいい。しかし体の弱い人、介護者を抱えている人、さらにはコロナで職を失い旅行どころではない人。こうした弱者にとっては、GO TO も高嶺の花。GO TO イベントやGO TO イートも同様だ。ここでも格差の問題が生じていることを、見逃してはならない。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +121.59円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

ウオール街は やっぱりトランプ買い?

2020-10-06 07:37:18 | 株価
◇ 大統領の入院で判ったこと = ジョー・バイデン氏が民主党の大統領候補に決まった8月中旬。ウオール街では「貧乏神の登場」という評判が圧倒的に高かった。選挙綱領に、法人税の引き上げ・富裕層への増税・金融規制の強化・有価証券取り引き税の引き上げ――市場が嫌う項目がずらりと並んでいたからである。一方のトランプ現大統領は、最長の景気回復と史上最高の株価を実現した。だから「トランプは買い、バイデンは売り」だった。

ところが秋になると、この評価は大きくぐらついてきた。トランプ政権のコロナ対策に対する批判もあったが、なによりも民主党の積極財政主義に注目が集まる。増税は4兆ドルに及ぶが、景気やコロナ対策で7兆ドルの財政支出を公約。たとえば追加の景気対策として2兆4000億ドルの支出法案を議会に提出した。一方の共和党は財政再建論が強く、5000億ドルの追加支出しか求めていない。

トランプかバイデンかで、ウオール街は迷い始めたように思われた。そうしたなかで9月29日夜、両候補のテレビ討論会が開かれる。悪口の応酬で内容はさんざんだったが、CBSテレビが「バイデン48%、トランプ41%」という世論調査の結果を報じると、市場は一斉に売りに走った。これでウオール街は、やはり「バイデン売り」に戻ったという感じが強まっていた。

さらにトランプ大統領がコロナ発病。真夜中だったにもかかわらず、ダウ平均の先物は500ドル以上も急落した。しかし30日の市場では「大統領は軽症」のニュースが伝わり、株価は下げ幅を大きく縮小している。これでウオール街の「トランプ買い」は。ほぼ確定したとみていいだろう。したがって当面の株価は、トランプ氏の病状に左右されることになる。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +282.24円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-10-05 07:56:14 | 株価
◇ 仰天の連続で始まった10月の市場 = 株式市場は10月に入ったとたん、立て続けにびっくり仰天の出来事に遭遇した。まず1日、東京証券取引所でシステム障害が発生。株式などの取り引きが終日ストップした。1999年に取り引きを全面システム化してから、初めての異常事態。世界第3位の東京株式市場に対する信頼を、大きく揺るがす事件だった。

あくる2日、東証のシステムは完全に復旧した。ところが午後2時すぎになると、トランプ大統領がコロナに罹患したというニュース速報。朝方は一安心していた市場に緊張が走り、株価は急落した。システム障害による取り引きの終日停止、現職大統領のコロナ発病。全く予想しなかった出来事が続いて、20年度の下半期はスタートした。

ダウ平均は先週509ドルの値上がり。日経平均は175円の値下がりだった。ニューヨーク市場は時差の関係で、トランプ大統領が軽症だという報道が伝わり、下げ幅を縮小したことが大きい。東証の事故に関する後遺症はあまりないと考えられるが、今週はトランプ氏の病状に注目が集まることは必至。株価を動かす最大の要因になるかもしれない。

今週は7日に、8月の景気動向指数。8日に、9月の景気ウオッチャー調査。9日に、8月の家計調査と毎月勤労統計。アメリカでは5日に、9月のISM非製造業景況指数。6日に、8月の貿易統計が発表される。なお7日に、アメリカで副大統領のテレビ討論会が行われる予定。

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (30)

2020-10-03 08:04:57 | なし
◇ 世界の死亡者が100万人を突破 = 米ジョン・ホプキンス大学の集計によると、世界のコロナ・ウイルスによる死亡者は9月29日の時点で100万人を超えた。感染者数は3327万人に達している。死亡者は20日間で10万人増えているから、1日当たり約5000人の人が亡くなっている計算だ。パンデミック(世界的大流行)の勢いは、全く衰える気配を見せていない。

日本時間2日午前0時の集計でみた国別の状況。アメリカは感染者が723万人、死亡者は20万6971人に達した。ブラジルは感染者481万人、死亡者は14万3952人。インドは感染者631万人、死亡者は9万8678人となっている。アメリカとブラジルは1週間の死亡者数が約5000人と約6000人で高止まりしているが、インドの死亡者は7500人も増えた。

ヨーロッパ主要国は、1週間の死亡者数がすべて3ケタに増加。なかでもスペインは757人、フランスは497人と増加傾向にある。死亡者の累計では、イギリスが4万人台。イタリア・フランス・スペインが3万人台。またイランとロシアが2万人台、南アフリカが1万人台となっている。ロシアはワクチンの投与を始めたが、まだ効果は表れていない。

日本の感染者は8万5038人、1週間で3736人増えた。死亡者の累計は1596人で、1週間に46人増加している。お隣の韓国でも感染者が増加し始めたが、1週間の増加数は548人、死亡者は22人の増加にとどまっている。その韓国は地域的に規制を強化しているが、日本は10月から規制を一気に緩和した。10月末から11月にかけて、その差がどんな形で表われるのか。少々心配だ。

       ≪2日の日経平均 = 下げ -155.22円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】     

Zenback

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