経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

10年間で1万2000円 : 給与の増加

2023-02-09 07:54:28 | 賃金
◇ これでは赤ん坊も増えないよ! = 厚生労働省は7日、22年の毎月勤労統計を発表した。それによると、月平均の現金給与総額は32万6157円。前年に比べて2.1%の増加だった。この増加率は31年ぶりの大きさ。コロナによる行動規制が解除され経済が正常化、このためボーナスなどの支給が増えた。しかし消費者物価が3%も上昇したことから、実質賃金は逆に0.9%の減少となってしまった。

一般労働者の給与総額は月平均42万9449円で、前年比2.3%の増加。パート労働者は10万2073円で2.6%の増加だった。パートの時間外労働が大きく伸びている。給与総額を業態別にみると、飲食サービス業が9.7%の増加で突出。運輸・郵便業も5.4%の増加だった。そうしたなかで、電気・ガス業だけが2.9%の減少となっている。

こうした22年の結果を、コロナ前の19年と比べてみよう。給与総額の月平均は31万4054円。このうち一般労働者は40万4723円、パート労働者は9万6644円だった。この3年間はコロナに痛めつけられてはいたが、それでも給与総額は3545円。うち一般労働者は4246円、パート労働者は2308円増加した。しかし物価の上昇で、実質給与はほとんど増えていない。

こんどは10年前の13年と比べてみよう。この年の4月には政府・日銀による‟異次元緩和”が始まったから、超金融緩和時代に給与がどうなったかを知ることが出来る。13年の給与総額は月平均31万4054円。うち一般労働者は40万4723円、パート労働者は9万6644円だった。したがって給与総額は、この10年間で1万2103円増えたことになる。その増加率は3.8%。この間に物価も4%近く上昇したから、実質給与はほとんど増えていない。これでは出生率も上がらない。

        ≪8日の日経平均 = 下げ -79.01円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

解りにくい アメリカ経済 (下)

2023-02-08 08:06:26 | アメリカ
◇ パウエルFRB議長にも解けないパズル = 商務省が発表した昨年12月の消費者物価は、前年比6.5%の上昇だった。6か月連続で上昇幅が縮小、市場はこれを好感して株価は上げた。ところが物価上昇が鈍化した最大の原因は、ガソリン代の値下がり。エネルギーと食料を除いたコア指数は5.7%の上昇で、まだ高い。しかもコア指数の上昇は、人件費の高騰によるところが大きい。雇用が予想以上に堅調なので、今後も高止まりしそうだ。インフレは収まると期待して、いいのかどうか。

FRBは昨年3月から、金融政策を引き締めに転じた。当時0.25%だった政策金利は、現在4.75%に上昇している。ところが債券市場では、金利の異常な状態が続く。2年もの国債の利回りが4.3%台なのに対して、本来ならそれを上回るはずの10年もの国債利回りが3.5%程度にとどまっている。これは‟逆イールド”と呼ばれ、景気後退の前触れ現象と考えられている。だが、この現象は長期にわたって続いているものの、これまで景気は後退していない。

株式市場の行動も、ある意味では異常だ。生産活動の減退や雇用状況の悪化など景気にマイナスの指標が発表されると、株価はしばしば上がる。これは景気が下降すると、FRBが引き締めの手綱を緩めるだろうと期待するためだ。ところがマイナス指標に対して、株価が下落することも少なくない。どちらに傾くかは、予測が難しい。金融を引き締めても株価が上がるようでは、FRBもなかなか手綱を緩めにくい。

経済を予測する場合、矛盾した現象に出会って判断に苦しむことは少なくない。だが、これほど多くの矛盾が同時に出現することは、きわめて珍しい。1つの矛盾を解いたとしても、逆に他の矛盾が拡大してしまう。だから全体の方角を見定めることが出来ない。おそらくパウエル議長をもってしても、これらのパズルは解けないのではないか。だからパウエル議長の発言は、いつも‟両面作戦”になる。どちらにも受け取れる内容となりがちで、これがまた問題を複雑にしていると言えるだろう。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -8.18円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

解りにくい アメリカ経済 (上)

2023-02-07 08:18:53 | アメリカ
◇ 矛盾する事柄が多すぎる = 最近のアメリカ経済には、常識では理解できない事象が多すぎる。たとえばアップルやマイクロソフトなど巨大IT5社が、そろって10-12月期決算で減益。その結果、この5社だけでも5万人の従業員を解雇した。大手だけではなく、数多くある中小のIT企業でも、同様のことが起こっているに違いない。また金融機関や小売り業でも大量の人員整理が行われている。

ところが1月の雇用統計では、非農業雇用者が51万7000人も増加した。これは予想の3倍という信じられない数字。失業率も3.4%と54年ぶりの水準に低下した。コロナ規制が解除されて宿泊や飲食サービスの雇用が増大したためだというが、IT技術者の多くがサービス業に移行したとは考えにくい。いったい、アメリカの雇用状況は強いのか弱いのか。

商務省が発表した昨年10-12月期のGDP速報によると、実質成長率は年率で2.9%だった。コロナ規制の解除もあって、2四半期連続のプラス成長。アメリカの景気は底堅いという見方が強まった。しかし中身をみると、GDPを押し上げた半分の要因は在庫の増加。それだけモノが売れなくなってきているので、景気には注意信号が灯ったという見方も出ている。

FRBによる金融引き締めの効果が表われて、景気は間もなく後退期に入る。しかし後退の深さは浅いと予測する専門家は、少なくない。ところがIMF(国際通貨基金)は23年の世界経済見通しで、アメリカの成長率を1.0%から1.4%に上方修正した。この2つの観測は、どうも矛盾しているように思われる。はたして、どちらが正しいのか。まだまだ、ある。

                         (続きは明日)

        ≪6日の日経平均 = 上げ +184.19円≫
  
        ≪7日の日経平均は 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2023-02-06 07:32:00 | 株価
◇ 意外に動かなかった株価 = ダウ平均は先週52ドルの値下がり。終り値は3万4000ドルを割り込んだ。FRBによる利上げや予想を上回る1月の雇用統計が発表されたにもかかわらず、株価の動きは小幅にとどまった。もっともパウエル議長が会見した1日は、議長の「あと数回の利上げを議論することになる」という発言で500ドル以上も下落。そのあと「物価の伸びが鈍化するプロセスが始まった」という発言で、大きく反発したりしている。

日経平均は先週127円の値上がり。4週連続の上昇で、終り値は2万7500円台に戻している。1月中は1232円の上昇だったが、その勢いを持続した。IMF(国際通貨基金)が23年の世界経済見通しを発表、先進国のなかで日本の成長予測がいちばん高かったことを好感している。ただ、この水準まで上がると確定売りが出てくる。‟節分天井”の可能性も大きい。

ショッキングなニュースは、アップルやマイクロソフトなど巨大IT企業5社がそろって減益となったこと。それでも株価は下がらない。市場では「昨年の下落分を取り返している」と説明されているが、これではパウエル議長も安心して手綱を緩めるわけにはいかないだろう。やはり「利上げはあと1回ではなく、2回以上」という見方が強まってしまった。

今週は7日に、12月の毎月勤労統計、家計調査、景気動向指数。8日に、1月の景気ウオッチャー調査。10日に、1月の企業物価。アメリカでは7日に、12月の貿易統計。10日に、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお7日に、バイデン大統領の一般教書演説。

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (149)

2023-02-04 07:42:32 | なし
◇ 体制はコロナ前に戻るけれど = 世界の感染者は累計6億7200万人、この1週間で129万人増加した。この増加数は前週より29万人少ない。増加数の縮小は3週連続。死亡者は676万4823人で、週間1万3070人の増加だった。この増加数は前週より1156人少ない。同じく増加数の縮小は3週連続。感染者の増加数縮小は、多くの国が全数把握を止めてしまった影響が大きい。しかし死亡者も縮小しているので、全体として改善傾向にあると考えていいだろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計110万9687人。この1週間で3163人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。この上位10か国のうちでは、ロシアの死亡者だけが前週を上回って増加した。

日本の感染者は累計3266万6832人、この1週間で33万6111人増加した。この増加数は前週より14万3266人少なく、昨年10月下旬以来の低水準。死亡者は6万9098人で、週間2001人増加した。この増加数は前週より375人少ない。感染者、死亡者ともに縮小傾向にある。このため‟第8波”はピークを過ぎたという見方も強まっている。

アメリカ政府は、コロナ対策のために発令していた国家非常事態宣言を5月11日に解除すると発表した。日本政府は5月8日に、コロナの扱いを季節性インフルエンザ並みに格下げすると発表した。これにより日米両国は、法的な体制を完全にコロナ前に戻すことになる。ただ忘れてはいけないのは、コロナは依然として残るという事実。国も自治体も国民も、ウィズ・コロナの生活体制づくりに努力しなければならない。

        ≪3日の日経平均 = 上げ +107.41円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

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