見渡す限りの棚田が続くこの山岳地帯には、徒歩で登るしかありません。観光客は、山の上のほうに立ち並ぶホテルへ向う場合、かなり大変な登りを覚悟しなければならないわけです。そこで車の登ってこられる最終地である麓の駐車場には、人力の籠がいくつか待っていました。観光客を乗せた椅子を、前後ふたりで担ぐという原始的なものです。山の上の集落があるところまで小一時間といったところだったでしょうか。値段は3000円ほどであったと思います。
その労力に対してその金額は、わが資金力から考えれば大変安い気がしました。わたしなら3万円でも人を担ぎたくない…というか30万円でも無理なんですけどw 現地の人々にとっては大切で大きな収入源でしょう。訪れる観光客はそれほど多くはない様子だったので、是非乗ってほしかったと思います。断れればがっくりだったはず。しかも私は比較的軽量。
人夫たちは特に若くもなく、みな力持ちには見えませんでした。ここに暮らす少数民族は、みな背丈が150cmぐらいの大変小柄な人々です。やせていて皺が深い。日本では不幸にも成長期を戦中戦後の食糧難の時代に過ごした人々に、このような体格の人が多いですね。すでに世を去った私の父親の姿を思い出させるのです。そんな人々に、大名気分でふんぞり返り、籠を担がせることができましょうか。
歩いて長い道のりを登っていると、籠が観光客を乗せていました。そこにはひどく太った白人(つい米国人ではないかと思ってしまう)が座っていました。なんと100kg超級です。重い荷物を担いで山道を登るのは慣れているでしょうが、小柄でやせた人夫たちの細い肩には担ぎ棒がめり込み、顔は青ざめ、擦り切れたシャツは水で浸したように汗がびっしょりでした。こころのなかで「お前は30万円払えよ」と思いました。
わたしは乗ればよかったのでしょうか w(゜゜)w
少しずつ登ってゆきます。
複雑な形の棚田ですから、歩くごとに景色が変わってゆきます。
下から雲が流れてきていて、それもまた次々に風景を変えてゆくのです(^^)b