年末になりテレビやニュースでは今年一年を様々な面で振り返り、また来年の予測や願いなどを立てる番組や特集記事がいつものように流れています。この年末年始は何といっても政権交代とデフレ不況の深刻化ということが話題の中心でしょう。
今朝のNHK番組でもお年玉を契機にして、子供達にお金の使い方を教えようという、或る地方教育の取り組みを採り上げていました。国家財政と同じく無駄使いを無くし、有効なお金の使い方をしましょうという内容は良いのですが、それは或る意味で節約という生活傾向に繋がり、ますます消費が縮小しデフレを助長することにもなるのが経済の難しいところでしょうか。バブルの時のように本当に無駄遣いをしていた時こそ有効な教育で、デフレ不況真っただ中でする金銭教育にはもっと遠謀深慮が必要なのではないかと想いました。
経済学者やエコノミストが日本の不況の克服法についていろんな提言をしています。金融政策と財政出動をミックスしての対策が主なものですが、増田悦祐さんのようにそんなものにはエリートと同じで何の効果も期待できないとしながら、大衆の力と都市再開発の中に経済効率と我が国のアドバンテージを見出そうとする方もいます。
澤上篤人さんは「さわかみファンド」(1997年)を起ち上げられている長期投資のプロフェッショナルですが、1400兆円といわれる日本の個人資産の運用と、国家経済の成長を重ね合わせた「国家ファンド」を提言しています。株投資といえば投資銀行やデイトレーダーのような、短期投資による利鞘稼ぎ的な認識が一般化していましたが、優良企業支援という実体経済の成長とシンクロさせた長期投資の考えには、我が国に残された政策的な希望を大いに感じさせるものがあります。
【追記】タイミング良く民主党のGDP3%成長戦略が発表されました。内容的には環境や観光・医療・介護などこれまで普通に言われていることばかりで、目新しい要素が余りなかったですが、実際はそれらをどのような財源で支援していくかということが問われます。財政的な事業仕分けだけでは難しい面が予想されますので、その時には長期投資の考え方や国家ファンドなどに注目が集まるかも知れません。
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