伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

天山の巫女ソニン2 海の孔雀

2007-04-02 08:52:57 | 物語・ファンタジー・SF
 ソニンと沙維の国の第7王子が隣国江南の第2王子に招かれて江南の王宮に滞在し、江南の民の生活を知るうちに、江南の王宮の陰謀に巻き込まれ、それを解決するお話。
 沙維の王子が隣国江南の民の生活を見て庶民の生活の苦しみを知り成長していく様子がちょっといい感じ。ミンはその前に自国の庶民のことを知れ(247ページ)と辛口ですが。
 陰謀に巻き込まれた被害者の王子が相手を毒殺しようとするのにソニンが言った「あなたが弱いなんて認めない。弱い者ならどんな手段を使ってもいいなんて、私は認めたくない」(212頁)は、ちょっと考えさせられます。
 ただ、自分の生きる目的を他人に決めてもらうソニンの生き方(239~241頁)には疑問を持ちます。最後にはそれを自分で選んだと評価している(254頁)のがまた悲しく思えます。


菅野雪虫 講談社 2007年2月26日発行
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天山の巫女ソニン1 黄金の燕

2007-04-02 08:10:46 | 物語・ファンタジー・SF
 生まれてすぐから巫女として12年天山で修行をしたが素質がないと里に戻された12歳の少女ソニンが、口のきけない第7王子の侍女とされ、王宮の陰謀に巻き込まれて王子らに毒を盛ったと疑われながら王子らを助けるために奔走するというストーリーのファンタジー。
 私としては、ソニン自身より貧しい農家の家族や近所の貧民の娘ミンのキャラクターに惹かれました。父親がソニンに語る「お前はこれから王子にお仕えするけど、決してお前は王子じゃないんだよ。偉い人に使われるとカン違いしてしまう奴が多いものさ。」(97頁)「お前が王子より下だということじゃ決してない。どうしても聞けない命令や、嫌な仕事を仰せつかったら、いつでもここへ帰っておいで」(97頁)「役目はそれに向いた者がやればいい。いくら水や肥料をやっても、土に合わない作物は育たないものです。」(150頁)とか、普通の農民のセンスとは思えません。戦についても結局は貧しい人びとが犠牲にされるという視点が強く出されていて、庶民の弁護士としては共感度大です。


菅野雪虫 講談社 2006年6月15日発行
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