初の在日中国人芥川賞作家の受賞前小説(これも候補作でしたが)。
働き者で洋服を売る露店商やデザイナーとして成功しながら、ハンサムなヒモ夫にたかられて離婚して逃げ、ついには日本人と見合い結婚して日本国籍を取得し、現在は日本の農村からの中国人花嫁捜し見合いツァーの世話役をしているワンちゃんの半生を描いた小説。
能力がありながら、外見だけの男との結婚に失敗して財産をすべて捨てるハメになった中国人女性が、日本で日本人のおじさんと中国人の若い女性の見合い結婚の仲介をするというあたり、屈折した思いがあると思うのですが、そこはあまり綴られていません。
中国での家族を捨て、日本の農村に来ても無口な夫とは喧嘩もしないものの心が通わず、義弟は不気味で、心が通う姑は病死して日本でもよりどころを失うワンちゃんの思いが、せつない。たくましい生活力と、根無し草的なやるせなさのアンバランスが印象的です。

楊逸 文藝春秋 2008年1月10日発行
文學界新人賞
働き者で洋服を売る露店商やデザイナーとして成功しながら、ハンサムなヒモ夫にたかられて離婚して逃げ、ついには日本人と見合い結婚して日本国籍を取得し、現在は日本の農村からの中国人花嫁捜し見合いツァーの世話役をしているワンちゃんの半生を描いた小説。
能力がありながら、外見だけの男との結婚に失敗して財産をすべて捨てるハメになった中国人女性が、日本で日本人のおじさんと中国人の若い女性の見合い結婚の仲介をするというあたり、屈折した思いがあると思うのですが、そこはあまり綴られていません。
中国での家族を捨て、日本の農村に来ても無口な夫とは喧嘩もしないものの心が通わず、義弟は不気味で、心が通う姑は病死して日本でもよりどころを失うワンちゃんの思いが、せつない。たくましい生活力と、根無し草的なやるせなさのアンバランスが印象的です。

楊逸 文藝春秋 2008年1月10日発行
文學界新人賞