伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

トワイライト1~3

2009-02-25 23:17:39 | 物語・ファンタジー・SF
 「雨と霧の街」フォークスの高校に転校してきた運動神経ゼロの17歳少女イザベラ・スワン(ベラ)が、超美形の吸血鬼エドワード・カレンと、出会ってすぐに相思相愛となり、様々な危険をエドワードに救われながら切り抜けていく恋愛青春ファンタジー。
 原作第1巻の“Twilight”が日本語版では3冊に分けられて「1.愛した人はバンパイア」「2.血は哀しみの味」「3.闇の吸血鬼一族」になっています。続巻も原作の1冊が日本語版では3~4冊に分けられています。
 吸血鬼が、昼間も行動できて、晴天の場合には結晶のようにきらめくので目につくから外に出られないだけとか、一日中眠らない/眠れない、さらには呼吸もする必要がない、片手で自動車も持ち上げる怪力で、瞬間移動並みの超俊足という斬新な設定。歳をとらないとか異常なまでに白い肌はありがちですが、怪力っていうのはふつう吸血鬼のイメージではないと思うのですが・・・
 運動神経ゼロで人づきあいが苦手なベラが、超美形のエドワードに惹かれ夢中になるのは、特に説明がなくてもいいんですが、エドワードがベラなしでは生きていけないというほどまでにベラに惹かれた理由は、最後まで読んでも不明。他人の考えが読める超能力を持つエドワードがなぜかベラの考えはわからなかったとか、匂いに惹かれたってそれだけ。この匂いってフェロモン?
 少女漫画で、特段の取り柄のないドジな少女がなぜかハンサムな好青年に愛されるというパターンの、要するに平凡な読者の夢想/幻想/妄想を形にして共有することで商売しようという路線の作品が根強くありますが、なんかそういう感じが匂います。そういう需要は日本だけじゃなくてアメリカにもあるんですね。
 エドワードが言う、ベラがトラブルを招く磁石で半径15キロ以内にある危険なものは避けようもなくベラを見つけ出す(1巻258頁)ということも、その後全然説明なし。
 結局のところベラはなぜか超美形の吸血鬼エドワードに初めて会ったときからどうしようもないほど愛され、他方次から次にトラブルに巻き込まれるという、ストーリーの進行上都合のいい設定がなされているだけで、その謎解きはあるかのようにほのめかされながら最後までありません。
 日本語版では1巻から3巻が原作で1冊であることは説明されてなくて(「第1期」だって・・・)、1巻の最初にあるプロローグが3巻のラスト前につながっているというかなり不自然で読者に不親切な構成になっています(原作だとプロローグがその1冊のラスト前につながっているという自然なパターンですが)。
 ファンタジー系の青春ロマンス小説として悪くはないとは思いますが、そういうあたりなんか読後感に不満が残ります。


原題:Twilight
ステファニー・メイヤー 訳:小原亜美
ヴィレッジブックス
1.愛した人はヴァンパイア 2005年8月10日発行
2.血は哀しみの味 2005年8月20日発行
3.闇の吸血鬼一族 2005年9月20日発行
原書も2005年
コメント
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