伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

怪人二十面相・伝 PartⅡ

2009-02-13 00:16:42 | 小説
 気球での脱出の際に気球が爆発してその後行方不明の怪人二十面相・武井丈吉の跡を継いで2代目怪人二十面相となるべく修行する遠藤平吉と、2代目明智小五郎となった小林少年の確執、2代目怪人二十面相のデビュー戦となる「青銅の魔人」による時計奪取を描いた小説。
 あくまでも怪人二十面相の立場から、劇場犯罪へのこだわりと、ばかばかしさと師匠の後を継ぎ師匠と母を思う平吉の人情味が描かれています。前作同様、明智小五郎は功名心と名誉欲の塊の狡猾な人物として描かれています。
 前作よりも怪人二十面相としての部分に目が行き、庶民目線の部分が少し後退したかなという感じがします。
 映画「K-20」の原作ですが、遠藤平吉が怪人二十面相が使った秘伝のノートで修行をするとか、泥棒長屋に住むとか、怪人二十面相の予告状を明智が出したとかいうエピソードと明智が悪役であることは映画と共通しているものの、怪人二十面相の正体や遠藤平吉の目的、登場人物の位置づけや役割などの物語の根幹部分が大きく変更されていて、「映像化にあたっては、原作の骨子を尊重し」(解説277頁)って、嘘でしょうとひっくり返りました。


北村想 小学館文庫 2008年10月12日発行 (新潮社の単行本は1991年)

怪人二十面相・伝については2008年12月28日の記事で紹介しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする