伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

彼女の知らない彼女

2009-02-06 22:02:09 | 物語・ファンタジー・SF
 オリンピック2連覇のかかった日本マラソン界の星蓮見夏希が代表選考最終レースの名古屋国際を前に疲労骨折し、困り果てたコーチ村上が飲んだくれていたところに、パラレルワールドを行き来できる装置を発明したというマッド・サイエンティスト井尻博士が現れ、パラレルワールドからマラソン選手にならなかった蓮見夏子を連れてきて4ヵ月で鍛え上げて名古屋国際女子マラソンを走らせるという、パラレルワールドファンタジー+スポーツ根性もの。
 前半は、いかにものマッドサイエンティストに、パラレルワールドトラベラーが117クーペ(いすず)と、バック・トゥ・ザ・フューチャーをさらにパロディ化したと思われる、荒唐無稽というか、それを指摘するのもバカバカしい話が続きます。その後は、ひたすらスポーツ根性物。それも全くこれまで訓練したことのない素人が天才的素質を見出されて短期間の集中訓練でめきめき頭角を現していくという、ありがちなスポーツ根性夢物語の展開です。
 前半はほとんどジョークの展開ですが、後半はジョークが入る余裕がほとんどありません。どうせ荒唐無稽なんだから後半ももっとジョークを入れた方が楽しめると思いますが。
 バカバカしいけど楽しめりゃいいじゃないのと思えれば、まぁありかなという作品です。


里見蘭 新潮社 2008年11月20日発行
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恋と恋のあいだ

2009-02-06 21:27:27 | 小説
 フォトグラファーの早季子、大学院生の悠、インテリアコーディネーターの遼子の3人の女性のつきあっていた恋人との関係から新たな恋への決断を、3人を絡ませながら描いた小説。
 短編連作で、早季子、悠、遼子の順に2巡させて6話で構成し、前半3話はそれぞれが前からつきあってきた恋人との関係ないしそこから新たな恋への予感のようなところでの思いを描き、後半3話でそれぞれが新たな恋へと踏み出していくその流れ・揺れ・思いを描いています。
 3人が、そして3組が、少しずつ異なるものの、いずれもわりとさっぱりとしたサバサバした人となりや関係として描かれていることが、読後感をよくしています。
 どこか日本語っぽくない文体も、爽やか系の視点というか描き方にはフィットしているのだと思います。こういう文体。修飾語が後からついてくる。例えば「母の眠り。薬の作用で、深く、やすらかな。」(178頁)。最初はところどころ違和感を持つのですが、話の感覚がライトなので、読んでいるうちに馴染んでしまいました。


野中柊 集英社 2008年12月20日発行
コメント (1)
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