伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ハリー・ポッターと呪いの子

2019-11-16 22:53:41 | 物語・ファンタジー・SF
 ハリー・ポッターシリーズ7巻終了後のハリー・ポッターに反抗する次男アルバス・セブルス・ポッターの冒険を描いた舞台脚本。
 「ハリー・ポッターと死の秘宝」のラストシーンから物語が始まり、11歳になってホグワーツに入学するアルバス・セブルス・ポッターが、あろうことか、ドラコ・マルフォイの子スコーピウス・マルフォイと親友になりスリザリンに組み分けされます。息子の言動に心を痛めるハリーとハリーに反感を持つアルバスの親子関係を描きつつ、アルバスがハリーのせいで息子が殺されたと恨みを持つ老人エイモス・ディゴリーに触発され、逆転時計(タイムターナー)を奪って歴史を変えるために「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の三校対抗試合に潜入してセドリックを妨害したことから歴史が変わって大混乱にという展開を見せます。ハリー・ポッターファンには、シリーズの振り返り(主として「ハリー・ポッターと賢者の石」と「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」ですが)と、ここでの「たられば」で結末がこうも変わるのか、三校対抗試合が重大なターニングポイントだったのかという気づきとわくわく感があり、幸福な付録になっています。しかし、演劇用の脚本という性格上、ビジュアルを意識した展開で、どうしても小説のようなディテールの積み上げがなく、また見せ場が「炎のゴブレット」の三校対抗試合ということもあってかアルバスの第4学年でことが起こる設定のため序盤となるアルバス(とスコーピウス)のホグワーツでの3年間がスカスカで、小説としてのシリーズの読後のような満足感は得られません。小説としてのシリーズの続編というよりは、映画の続編/スピン・オフ作品と位置づけて読むべきでしょう。


原題:Harry Potter and the Cursed Child , Parts One and Two
J.K.ローリング、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーン 訳:松岡佑子
静山社 2016年11月11日発行 (原書も2016年)
コメント
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