伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

やめるな外科医 泣くな研修医4

2023-09-03 22:37:58 | 小説
 「泣くな研修医」シリーズ第4巻。30歳になった医師6年目の雨野隆治の日々を描いています。
 ほぼ第3巻と同様の環境(指導医岩井、先輩医師佐藤玲、後輩の研修医西桜寺凛子とともに日常の診療・手術をこなしつつ、第1巻の合コンで知り合ったはるかと交際し、第3巻で登場した21歳の胃がん患者向日葵の容態を気にし続けている)で、さまざまな面で悩む雨野がテーマになっています。
 手術になれてきて、困難な手術をやり遂げ誇らしく思ったところで、思わぬ失敗をして落胆する姿、慢心からの暗転が象徴的です。本人は、手技のレベルが上がる一方で自分が患者の人間としての生活や人生への共感を忘れているのではないかと反省しているのですが、そこへその技術も未熟と思い知らされるというのは強烈です。やっぱり大変な仕事だなと思います。


中山祐次郞 幻冬舎文庫 2022年4月10日発行

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走れ外科医 泣くな研修医3

2023-09-03 00:07:54 | 小説
 「泣くな研修医」シリーズ第3巻。医師になり5年「後期研修医」2年目の雨野隆治の姿を描いています。
 第1巻と第2巻はすべて雨野隆治を視点人物としていましたが、この巻では、ところどころ佐藤玲、西桜寺凛子を視点人物とするパートが登場し、同じ場面を別の視点で振り返る場面が登場します。私には、それはそれでいいと思えたのですが、第4巻はまた雨野隆治のみを視点人物とする語りに戻していますので、作者としては手応えがなかったということでしょうか。
 ステージⅣの胃がんで肝臓に転移、CTを撮ったらさらに腹膜播種、肺転移も発覚という21歳の患者向日葵が、やりたいことリストの1位に富士登山を挙げ、それを実現する様子が描かれています(3つのうち残りのスカイダイビングと屋久杉を見るはどうなったか不明ですが)。現役の医師の作者がこういう作品を書いているのだから、こういうことも可能なんでしょうか。そうだとすれば、患者には励みになりますが…作品の中でいえば、それに付き添うのなら、雨野医師、ヘッドライト忘れたとか、栄養補給用のお菓子が足りなかったとか、注射器と静脈注射用のブドウ糖を持ってこなかったとか以前に、前夜に午前3時まで酒飲んでる(322ページ)って、何だよ(仮に健康でも富士登山舐めてる)と思います。


中山祐次郞 幻冬舎文庫 2021年3月10日発行

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