伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2

2023-09-02 21:58:12 | 小説
 「泣くな研修医」の続編(シリーズ第2巻)で、27歳になり医師3年目の雨野隆治の様子を描いています。
 この巻から後輩として研修医の西桜寺凛子が登場し、コミュニケーション能力と飲み込みの速さ・吸収力で雨野を凌駕し、雨野の危機意識が煽られる展開になります。
 このシリーズでは、一部の患者を除いて、登場人物に悪意の人物がいないのですが、この第2巻では例外的に、雨野が苦手な意地悪な看護師佐久間が登場します。もっとも、佐久間が登場するのは1つの手術だけで、その後は既刊の第5巻まで見ても出てきませんから、シリーズ全体としては基本、悪い人が出てこない清々しい読み物となっています。
 第1巻で登場する主要な患者の1人、交通事故で腹部を損傷して腸が飛び出した状態で搬送されてきた子どもの山下拓磨の年齢が、第1巻では5歳と明記されている(第1巻37ページ等)のに、第2巻では3歳児になってる(第2巻17ページ)のは、どうよと思いました。そして、雨野が勤務する病院名が、第1巻では「牛ノ町病院」(第1巻228ページ、233ページ)だったのに、第2巻では「牛之町病院」(第2巻12ページ等)になっています。第3巻でも(第3巻5ページ等)、第4巻でも(第4巻6ページ等)、第5巻でも(第5巻278ページ等)また「牛ノ町病院」になっていますので、第2巻は気の迷いだったのでしょうけれど…えっ、あっ、うるさい読者ですね、私。


中山祐次郞 幻冬舎文庫 2020年4月1日発行
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泣くな研修医

2023-09-02 00:15:41 | 小説
 子どもの頃に兄を亡くし医師となって鹿児島市内でさつま揚げ屋を営む両親の元を離れて東京の下町にある総合病院牛ノ町病院で研修を始めたばかりの25歳の研修医雨野隆治が、4年先輩の後期研修医佐藤玲、外科医の岩井らの指導の下、消化器外科、救急外来などの仕事をこなす様子を描いた小説。
 研修医、そして外科医の激務というか、過労死がよく話題になる労働の実情が実感されます。単に長時間であるだけでなく、緊張感とストレスが強い仕事であることもまた実感できます。
 弁護士も、人の人生を左右しかねない判断を求められ、行うことが少なくなく、1年目であっても自分の責任で答え、行わなければならないという場面を経験するのですが、弁護士の場合は、通常はある程度の時間というか、裁判なら基本月単位レベルのむしろゆったりとした時間で対応すれば足りるのに対し、医師の場合、とりわけ救急の場面では人の命がかかった判断を極めて短時間に即決することを迫られる、場合によれば1年目の研修医がほとんど知識経験なくそれを迫られるというのですから、本当に大変だと思います(しかも、私たちの業界が訴訟リスクの圧力で、判断ミスを責め立てるのですし…)。
 ほとんど技術も知識もない研修医の立場から先輩の診療・手術を見るというスタイルで、業界外の読者が医師の世界、病気と手術について垣間見ることができるようになっています(それでも専門用語が飛び交い、よくわからないところが多々ありますが)。


中山祐次郞 幻冬舎文庫 2020年4月1日発行(単行本は2019年2月)
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