溝口純が死んだ父から受け継いで再開した純喫茶「純」と、カウンセラーの椎木さおりと精神科医の椎木旬の夫婦で経営する心療内科椎木メンタルクリニックを舞台に、母子家庭で母の仕送りを受けながら東京の女子大に入学したものの周りのキラキラした同級生に気後れして不登校になっている篠原澪、教材制作会社のデザイン室に勤務し仕事の締め切りが守れず上司のデザインを見て平気でダメ出ししながら雑誌社にイラストを売り込む植村直也、食品メーカーの営業でチームリーダーを務めながらダメ男に貢ぐ有馬麻美、設計事務所を辞めて専業主婦になり不妊医療をして38歳で子どもを産んだが子どもに愛情が湧かず世間から見れば協力的な夫や義母に反発し続ける春日美菜、そしてさおりのうつ病から精神科医を志した椎木旬、幼い子(芽依)を置いて夫の元を飛び出した溝口純のエピソードを綴る短編連作。
心療内科をベースに、誰しも心を病むことはある、そこからゆっくり立ち直ればいいし、やりなおせるよというメッセージを伝える作品です。
「ふがいない僕は空を見た」(映画を先に見て、その原作として)以来、わりと気にして読んでいる(直木賞受賞作は短編集ということで読んでませんけど)のですが、尖ったというか癖のあるところが落ちて丸くなりずいぶんとすんなりと心に染みるものを書くようになったのだなと感じるのは、私だけでしょうか。
窪美澄 株式会社KADOKAWA 2023年4月11日発行
「野性時代」
心療内科をベースに、誰しも心を病むことはある、そこからゆっくり立ち直ればいいし、やりなおせるよというメッセージを伝える作品です。
「ふがいない僕は空を見た」(映画を先に見て、その原作として)以来、わりと気にして読んでいる(直木賞受賞作は短編集ということで読んでませんけど)のですが、尖ったというか癖のあるところが落ちて丸くなりずいぶんとすんなりと心に染みるものを書くようになったのだなと感じるのは、私だけでしょうか。
窪美澄 株式会社KADOKAWA 2023年4月11日発行
「野性時代」