弁護士400名余の大手法律事務所山田川村・津々井法律事務所のコーポレートチームに属する28歳の弁護士美馬玉子が、チームのボスの津々井弁護士の指示で顧客の内部通報窓口に来た、経理部の女性従業員がこれまで転職の度に会社を倒産させてきた、不正行為をして潰して回っているんじゃないかという通報について、1年先輩の剣持麗子とともに調査を進めるというミステリー小説。
傲慢でキレやすいが能力はある弁護士を、内心で嫌いやっかむ凡庸な弁護士が、凡庸ながらに努力するという展開で、この作品を読ませるとともに、デビュー作「元彼の遺言状」の主人公の剣持麗子を、そのキャラを変えることなくふつうの弁護士の目から取っ付きにくいが実はいいところもあると評価させることで、読者までもが鼻持ちならないやつという評価から親しみを感じられるように誘導して、シリーズとしても好感度を上げるという、作者の作家としての巧みさを感じました。
他方で、企業側の弁護士の業務面での描写の説得力が、闇の勢力を敵として設定することで(正確には、その部分についてリアリティのある描写がないことで)削がれてしまっている感があるのが残念に思えました。
新川帆立 宝島社文庫 2022年10月20日発行(単行本は2021年10月)
傲慢でキレやすいが能力はある弁護士を、内心で嫌いやっかむ凡庸な弁護士が、凡庸ながらに努力するという展開で、この作品を読ませるとともに、デビュー作「元彼の遺言状」の主人公の剣持麗子を、そのキャラを変えることなくふつうの弁護士の目から取っ付きにくいが実はいいところもあると評価させることで、読者までもが鼻持ちならないやつという評価から親しみを感じられるように誘導して、シリーズとしても好感度を上げるという、作者の作家としての巧みさを感じました。
他方で、企業側の弁護士の業務面での描写の説得力が、闇の勢力を敵として設定することで(正確には、その部分についてリアリティのある描写がないことで)削がれてしまっている感があるのが残念に思えました。
新川帆立 宝島社文庫 2022年10月20日発行(単行本は2021年10月)
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