安倍政権が黒川弘務(当時東京高検検事長)を検事総長にするために黒川の定年後も勤務を延長することを閣議決定し、それを後付けで正当化するために目論んだ検察庁法改正案を提出したことで世間の注目を集めた(結果的には黒川弘務の賭け麻雀が暴露されて目論見は潰えた)事件に至る検察幹部人事をめぐる安倍政権と検察庁の暗闘・駆け引きを描いたノンフィクション。
その対象事項とタイトルから受ける印象とは裏腹に、この本のスタンスは、(安倍はさておき)菅義偉は悪くない、黒川弘務はいい人で安倍政権に便宜は図っていない、むしろ黒川の検事総長就任を潰すために早期の勇退を拒み検事総長に居座り続けた稲田伸夫にこそ問題があったというものです。菅義偉については、日本学術会議の候補者中の6名の任命拒否はまずかった(ここだけは批判的:26~27ページ)けれども、それ以外の人事(官僚の人事)は内閣が任命するのが当然という書き方で、検察幹部の人事も菅が主導したものではなく、杉田官房副長官の意向や法務省側の意向によるもののように書いています。
著者は、毎日新聞社会部記者、朝日新聞社会部記者を経てフリージャーナリストとなっています。読売新聞や産経新聞ではなく、また政治部でもない記者が、こういう見方の本を書くことは、私には驚きでした。そして、この本が出版されたのは菅政権発足直後で、菅義偉が現役の総理大臣の時期です。官僚の人事を壟断することで権力を維持し強めてきた菅義偉をこのテーマで批判追及せずに、実は菅は悪くなかったなどと賛助賛美するのでは、現在の権力者に媚びを売るものと見え、ジャーナリストとしての姿勢に大きな疑問符を付けざるを得ません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_ang3.gif)
村山治 文藝春秋 2020年11月25日発行
その対象事項とタイトルから受ける印象とは裏腹に、この本のスタンスは、(安倍はさておき)菅義偉は悪くない、黒川弘務はいい人で安倍政権に便宜は図っていない、むしろ黒川の検事総長就任を潰すために早期の勇退を拒み検事総長に居座り続けた稲田伸夫にこそ問題があったというものです。菅義偉については、日本学術会議の候補者中の6名の任命拒否はまずかった(ここだけは批判的:26~27ページ)けれども、それ以外の人事(官僚の人事)は内閣が任命するのが当然という書き方で、検察幹部の人事も菅が主導したものではなく、杉田官房副長官の意向や法務省側の意向によるもののように書いています。
著者は、毎日新聞社会部記者、朝日新聞社会部記者を経てフリージャーナリストとなっています。読売新聞や産経新聞ではなく、また政治部でもない記者が、こういう見方の本を書くことは、私には驚きでした。そして、この本が出版されたのは菅政権発足直後で、菅義偉が現役の総理大臣の時期です。官僚の人事を壟断することで権力を維持し強めてきた菅義偉をこのテーマで批判追及せずに、実は菅は悪くなかったなどと賛助賛美するのでは、現在の権力者に媚びを売るものと見え、ジャーナリストとしての姿勢に大きな疑問符を付けざるを得ません。
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村山治 文藝春秋 2020年11月25日発行
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