伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

図解で早わかり 人事労務・社会保険から経理、契約事務まで 最新 会社の事務と手続きがわかる事典

2023-09-09 21:45:24 | 実用書・ビジネス書
 会社の総務部(人事・労務・経理等)が行う事務について、項目分けして説明した本。
 幅広い事務の基本的なことが説明されていて、会社の総務の仕事が思ったよりもいろいろとあって大変なんだなと思いました。
 私の専門分野の労働法関係では、著者の法律知識に疑問を感じました。例えば「有期契約労働者を期間途中で解雇するときは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、解雇権の濫用として無効となります」(95ページ)と書かれていますが、これは期限の定めのない労働者(無期契約労働者)の解雇の有効性(解雇権濫用)の基準(労働契約法第16条)で、有期契約労働者の期間途中での解雇の場合は「やむを得ない事由がある場合」でなければ無効となります(労働契約法第17条第1項)。この「やむを得ない事由」は無期契約労働者の解雇権濫用よりも狭い、つまり解雇のハードルはより高いものとされています。パートタイマーと正社員の処遇についての記述(98ページ)も、「通常の労働者と同視すべき短時間・有期労働者」(パート・有期法第9条:差別的取扱禁止)とそうでない場合(パート・有期法第8条:不合理な差別の禁止)の区別を理解して書かれているのか疑問に思えます。
 また、誤植、変換ミス、法律用語の使用法に違和感を持つ点や誤り、設例の不整合や同一項目内での無用に思える繰り返しなどが、ものすごく多いとまではいいませんが、けっこう目に付きました。


林智之、武田守 三修社 2023年6月30日発行

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘... | トップ | 麦の海に沈む果実 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

実用書・ビジネス書」カテゴリの最新記事