合格した短大の入学金を母が入金しないで愛人に貢いでしまい短大に行けなくなった18歳の山下理佐が、母の愛人から怒鳴られ閉め出された小4の妹山下律とともに、住み込みで働けるところを探してたどり着いた、そば屋がそば粉をひくために使っている水車小屋で、石臼が空回りして傷むのを避けるために見張りをしている言葉をしゃべるヨウムのネネと過ごした日々(1981年)から、10年ごとにネネと理佐、律、そば屋の夫婦らに新たな登場人物を交えながら2011年の大震災と原発事故、2021年のコロナ禍までの時の移り変わりを描いた小説。
当初は単にオウム返しに言われた言葉を覚えて繰り返しているだけで意味がわかっているかどうかは不明という扱いだったネネの言葉が、次第にどう考えても意味わかって言ってるねとなってきて、少しシビアに始まったシリアスで現実的なお話が、現実から少し離れたふわっとしたヒューマンというかほのぼの系に変化していく感じです。
人が世話をしないと生き続けられないネネを中軸において描くことで、世話をする/すべき大人の側での動物や子どもとの関わりと責任、子どもの側の成長と自立といったことを考えさせる作品になっているのだと思いました。
津村記久子 毎日新聞出版 2023年3月5日発行
毎日新聞連載
2024年本屋大賞第2位
当初は単にオウム返しに言われた言葉を覚えて繰り返しているだけで意味がわかっているかどうかは不明という扱いだったネネの言葉が、次第にどう考えても意味わかって言ってるねとなってきて、少しシビアに始まったシリアスで現実的なお話が、現実から少し離れたふわっとしたヒューマンというかほのぼの系に変化していく感じです。
人が世話をしないと生き続けられないネネを中軸において描くことで、世話をする/すべき大人の側での動物や子どもとの関わりと責任、子どもの側の成長と自立といったことを考えさせる作品になっているのだと思いました。
津村記久子 毎日新聞出版 2023年3月5日発行
毎日新聞連載
2024年本屋大賞第2位
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