なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ175 安全と心配

2018年09月09日 04時50分11秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第175回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

9月9日、日曜日です。

西日本豪雨、台風21号に続き、北海道で大きな地震がありました。
風力発電の多い北海道ですが、何故か強制停止させたようです。こういう時こそ必要とされる電力のように感じますが電力系統の問題で力が発揮できなかったようで、残念なことでした。
ライフライン、特に電気と水の確保は国と自治体が責任をもってもらわないといけません。
亡くなられた方、ご家族、不便に耐えていらっしゃる方々に心よりお見舞い申し上げます。

シャンティ国際ボランティア会南相馬事務所で、1人寄り添い活動を続ける古賀スタッフから、毎朝日報が送信されてきます。
9月5日の日報では、原発事故の汚染水いわゆるトリチウム水処理問題に関して触れていました。
海洋放出の公聴会が開かれ、住民から反対発言が相次いだ。「安全というなら、東京湾に流せばいい」という怒りの声があったと。
そうでしょうね。
「福島だからしょうがない」みたいな空気がこの国全体に漂っているような気がします。
その水が「人体にほとんど影響はない」と言われても、例えばそれが自分の県の海だとしたら、放出に賛成する人はまずいないでしょう。
「オリンピックの時に東京の打ち水に使えばいい」という意見もあったとか。
その考えいいですね。
安全な水なのですから、暑さ対策に苦労している訳だし、どれだけ撒いても水道料金には影響ないし、一気に解決するじゃないですか。JOCに進言したらいいと思いますよ。
でもそんなことはしないでしょね。安全じゃないから。
正確に言えば、トリチウムは事故前も全国の原発から海に放出されていて、ある程度の量ならば海水に希釈されて健康に影響はないというのが政府と東電の説明のようです。
だからといって、長期間放出され蓄積されたトリチウムが将来的にどんな影響を及ぼすのか不明のままで、福島の海ならいいということにはならないでしょう。
貯蔵されている汚染水をトリチウム水にして基準値の量を守って全て放出するには、30年から40年かかると試算されていますが、政府東電は7年で放出できると説明しているとのこと。
更には、放出する水にはトリチウム以外の核種も混ざっていることが判明し、公聴会は大いに紛糾したようです。
まあ、もともと、東京の電気を作る原発を何故福島に作らなければならなかったのかというところから「安全だけど心配」という計算があったわけで、心配だけど「安全ですよ」と言って福島県民に納得させてきたわけですよね。
心配だからこそ「心配料」みたいにお金をじゃぶじゃぶつぎ込んでマヒさせて心配を忘れさせてきたのですよ。
ところが心配していたように事故は起こりました。やっぱり原発は福島でよかったね。そう思っている人はたくさんいるのではないですか。
それが東京を守るためだった、東京のために福島を犠牲にしてしまったと、少しでも責任を感じてる東京人はいるでしょうか。
それに加えて、安全に心配がある、打ち水にもできない水を、福島の海に流すこともやむなし、というような発想と発言が出ること自体、どれほど福島県民を傷つけているか。
漁業関係者は怒って当然です。
大変な問題なのです。
汚染水は増え続けています。溶け落ちた燃料デブリを冷やし続けなければならないのですから。
もう貯蔵タンクの置き場にも限界が近づいています。
その他の方法として、地中注入と水蒸気放出、地下埋設という案を政府東電は出していますが、いずれも現実味はなく、海洋放出誘導のための当て馬にすぎないようです。
ある専門家は、石油備蓄タンクのような大型のタンクに保管していくのが一番安全で安上がりだと提案しています。240年経てば雨水と同じ濃度になり海洋放出できると。
とにかく、原発事故はまだ解決したわけではありません。
なのに、この問題を福島の問題として閉じ込めて、オリンピックで目くらまししているうちに、いつの間にか海洋放出されて、子孫と福島県民に犠牲を押しつけてしまうことを強く懸念しています。
これまでの災害や事故から学び、過ちを繰り返さないような対策を講じなければ、犠牲を無駄にしてしまうことになります。
現政権が掲げる「経済最優先」政策が、命よりも未来よりも、とりあえずの経済が優先されると言っているように聞こえてしかたありません。
「次世代の人が振り返った時に、東北の、福島の人たちのあの苦しみがあったからこそ、日本が世界から尊敬される国になった、という転換点にしてほしいものです。そうでなければ、今の我々のつらさはあまにもむなしい」と語った菅野飯舘村長の言葉を思い出します。
松林寺では今も、朝課で「東日本大震災被災地早期復興、原発事故早期終息、被災者各々身心安寧」を毎朝祈っています。


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。