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やどかり和尚の考えたこと

サンデーサンライズ505 雪に耐える

2025年02月09日 05時00分00秒 | サンデーサンライズ

三ちゃんのサンデーサンライズ。第505回。令和7年2月9日、日曜日。

 

今季最大の寒波がやって来てドカッと降りました。

一晩に50㎝ほど積もるとなかなかのものです。他所では6時間に85㎝積もった所もあるとのことでその大変さが想像されます。

春になれば消えるとは言え、一時期でも大量に積もればその処理に難儀することは雪国でなければ分からないことでしょう。

ただ、雪に慣れていない地域に降られるのもそれはそれで大変だと思います。

テレビ報道を見ながら雪国の人は「それぐらいの雪で」と鼻で笑うことがありますが、大変なのは雪の量ではなくて慣れていないということなのですから、苦労はそれぞれなのだということです。

雪による事故も多発しますから、お互いに十分気をつけましょう。

 

何にしても他人の苦労というものはなかなか分からないものです。

他人の体の痛みも、どこが、どんな風に、どれだけ痛いのかは実際は分かりません。

痛みに強い人もいれば弱い人もいる、それぐらいでと言われても痛いと感じるのはその人ですから、誰かと比べて大したことないと判断されるべきものではありません。

昔あるテレビドラマで観たシーンを覚えています。ケガか何かで病院に入院している孫娘を見舞ったおばあちゃん、確かミヤコ蝶々だったと思いますが、「痛かったか、それは良かったなあ」と言う。

孫が「こんなに痛いのに何で良かったの?」と聞くと、おばあちゃんが「これからの長い人生には痛いことや辛いことがぎょうさんある。その時に、私はあの痛みに堪えられたんだから大丈夫、乗り超えられる、と思えるやろ」と教えるシーンです。

妙に納得した記憶があります。

他人の痛みは分からないけれど、自分の痛みは記憶として残り自分の中で比べることはできますね。

また、痛い思いをしたからこそ、他人の痛みを想像することもできます。「あの人の痛みは自分のあの時の痛みよりもっと痛いだろうか」と想像することができるものです。痛い思いも決して無駄ではありません。

 

永平寺で坐り詰めの坐禅をしていた時、朝から晩まで何日も坐っていると、もう足が痛いというよりも体全体で痛みを感じるようになってきます。

その時に頭に浮かんだのは「カンボジア難民の当時の痛みはこんなものだったろうか」という問いでした。

もちろん痛みの種類は違います。

食べ物がなくて餓死していく人、ケガや感染症で死んでいく人、強制労働で体が痛めつけられる人、暴行を受ける人、拷問を受ける人、目の前で親を殺される子どもたち。

どれほど血の涙を流しただろうか、どれほど体も心も痛かっただろうか。

それを想像すると、今のこんな痛みなどと比べようもないに違いないと、歯を食いしばり「痛みよ、もっとやって来い!」と奮起したことでした。

痛い経験をしたことのない人には、痛みそのものを想像することができません。

他人の痛さや辛さは分からないことではあるけれど、想像できて共感することができます。

その能力を我々は備えています。

脳内にミラーニューロンという細胞があり、それが共感や慈悲の元となると言われています。

なので、痛みを知る人ほど他人に優しくなりましょう。

自分と同じ痛みを味わわせたいと思うのは智慧のない考えです。

相手が痛い思いをしたからといって自分の痛みが軽減されるわけではないのです。

お釈迦様は「恨みは恨みによって解消されない」と教えました。

周りの楽しそうな人を見ると「何で自分ばかりこんな目に遭うんだ」と思ってしまいがちですが、よくよく見れば、誰しもそれぞれの悩みを抱え、苦労を乗り越えてきた人ばかりです。

自分の辛さや痛みを分かってくれる人も必ずいるはずです。

「禍福はあざなえる縄の如し」とは古いことわざですが、良いことや悪いことは縄目が表になったり裏になったりするように、現れたり消えたりするものだという意味です。

今楽しそうに見える周りの人にも辛い時期があったでしょうし、今辛い思いをしている自分にも楽しい時があったじゃないですか。

自分が辛い時は相手の楽しさが憎らしく見え、自分が楽しい時は相手の辛さに気がつかないものです。

みんなそうなのですから、「何で自分ばかり」と思うのは間違いです。

今の痛さ辛さは慈悲を養うエネルギーだと受け止めてジッと耐えていきましょう。

ということで、この大雪も自分を鍛えてくれる恵みの栄養ですから頑張って除雪しましょう。でも大変だよね。気をつけてね。

 

今週の一言

「耐えなければならないときは耐えた方がいい」

 

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

 

 

 


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