福島市の中心部からすぐの飯坂温泉駅の二つ福島駅よりに医王寺前という駅がある。徒歩15分で医王寺。826年空海作の薬師如来像を祀り、草堂を建てたことに始まると伝え、平安時代末、信夫荘司佐藤一族が菩提寺とした。佐藤基治は信仰心が厚く、居城とする大鳥城から眼下に望む薬師堂を改築し、伽藍を多数建立し境内を整えたとされてい。
源義経を助けた佐藤継信・忠信兄弟などの佐藤一族の菩提寺という。失った兄弟の老母のために婦人が二人の武者姿をして慰めた故事が残る。
松尾芭蕉は佐藤兄弟をしのび「笈も太刀も五月にかざれ紙幟」と詠んだ。句碑は1800年に大阪の俳人大伴大江丸の筆によるもの。
薬師堂の背後の板碑群は、佐藤一族の墓碑を擁する墓域であり、中央に基冶夫妻、右側に継信・忠信の墓碑といわれる石塔がある。凝灰岩の奥州型板碑を主に大小60数基が並んでいる。石塔が削り取られているのは、熱病の際に削って飲むと治るという伝えがあり、継信・忠信のような勇猛な武士にあやかりたいという信仰があったとのことだ。