Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

松本竣介展(in仙台) 1

2012年08月16日 11時31分54秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 8月10日仙台を訪れたのを幸いに開催中の「生誕100年松本竣介展」を見てきた。6月から7月にかけて神奈川県立美術館葉山でも開催していたが、それは見損なった。なお、11月23日から1月14日まで世田谷美術館にても開催予定となっている。
 油彩画124点、デッサン120余点、その他膨大なスケッチや資料も展示されている。この回顧展を逃したら松本竣介の絵をこれだけ一堂に見る機会はなさそうである。






 構成は
第1章 前期 初期作品、都会、郊外、街と人、構図
第2章 後期:人物 自画像、画家の像、女性像、顔習作、少年像、    童画
第3章 後期:風景 市街風景、建物、街路、運河、鉄橋付近、工場、   Y市の橋、ニコライ堂、焼跡
第4章 展開期 人物像、新たな造形へ
と整理されている。

 私は松本竣介という画家を知ったのも最近だし、丁寧に画集を見たわけでもない。そして見たことのある絵は「画家の像」「立てる像」「並木道」「ニコライ堂」「Y市の橋」くらいだ。
 それでも前2者の背景の都市の景観と大きな人物との異様なアンバランス、後3者のその都市の静謐でいて異様にゆがめられた変形のあとをうかがわせる造形と哀愁を醸し出している小さな人間、これは決して忘れることの出来ない絵である。
 今回初めて生涯の作品の全体像を概観して、あらためてその魅力を再認識した。

 モディリアーニやルオー、クレーやミロの影響を受けた、そしてひょっとしてシャガールも念頭にあったかもしれない初期作品からも、都市それも建物に対する関心が濃厚に読み取れる。晩年というか戦後まで続く人物に対する関心もひとつの系統があるが、私にはその流れよりも、都市への松本竣介の視線に引かれる。都市の景観に対する造形的な関心がこの作者の生涯の課題だったのだろう。