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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「万葉の時代と風土」から「呪と美と」

2021年11月08日 22時42分53秒 | 読書

   

 スカイツリーに行く電車の中で、「万葉の時代と風土 万葉読本Ⅰ」(中西進)の「呪と美と--「袖振る」をめぐって」を読み終わった。
 巻1の20、大海人と額田との贈答歌として有名な「茜さす紫野行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る」の「袖振る」についての論考である。
 私も常にこの歌を見るたびに、野守=天智という解釈で、時の権力者の前での露骨ではばかることのない慕情表現という解釈に首を傾げてきた。納得のいく解釈に巡り合えたことがない。
 この書では、この歌は春の祝祭における大勢の参加するイベントではなく、野守の不在時の贈答と見立てている。「野守は見ずや」は「天智の耳に入ってしまうのではないか」という恐れと解している。その上で最後の「六 結」で以下のようにまとめている。

「第一に「袖振る」という行為は‥呪的招魂の行為であり、広く東洋の東全体に存した古代的習俗である‥。この神にかけての行為のゆえに大海人の行動は額田を不安と興奮とに陥れたのであった。」

「第二にかかる「袖振る」歌は庶民歌に圧倒的である。‥民衆詩は、呪などというおよそ詩以前のものを基調として成立して来るものである‥(山上憶良や髙橋虫麻呂、大伴家持)らの詩の造型は、民衆詩の造型論理とあい矛盾することなく、積極的に文芸的制作の中にそれを組み入れることによってすら、なされていた。万葉集における民衆詩の生活性とそれを汲み上げる貴族詩の造型の論理を、私は強く言いたかった」
「第三に、(万葉集は)生活的呪と文芸的美とを平然と同一のことばによって表現したことになる。この無節操さ、この詩的自覚の脆弱さは、しかし一方になんと野放図な何とふてぶてしくも逞しいことではないか。‥「袖振る」を民俗学的に解するか文芸学的に解するかといった立場に置き換えてしまうことは、およそ無意味なことであって、この総体としての万葉の資質をとらえることのひとつの手がかりが「袖振る」なのだということを、私はもっとも主張したかった」

 難解だけでなく、結論がよく見えないのであるが、私としてはもう少し読み進める中で、理解を深めてみたいと思っている。先を読めばわかる、ともいえないしもう一度この節を読み返すことでわかる、とも断言できない。もう少し時間をかけて見たいものである。

 


川崎浮世絵ギャラリー「歌川国芳展」

2021年11月08日 21時18分44秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等

 スカイツリーからの帰路、17時45分過ぎに家の傍で三日月と金星が並んでいるのを見つけた。とても明るい金星=宵の明星である。本日は金星食で、その直後であったと思う。
 さらに家の傍でじっくりと見ようと思って急ぎ足で歩いた。しかし南から雨雲がどんどん広がり、家まで5分の西南の方向の眺望のよいところまで来た時には、ほぼ全天が雲に覆われ、あまつさえ、ぽつぽつと降り出してしまった。
 1時間後には雨は上がっていたが、日付が変わるころには本降りになるらしい。

 明日は学生時代の友人と川崎駅前にある、川崎浮世絵ギャラリーを訪れる予定。川崎浮世絵ギャラリーは、「公益社団法人川崎・砂子の里資料館から市が無償貸与された作品を展示。公益社団法人川崎・砂子の里資料館の浮世絵コレクションの特徴は、川崎ゆかりの浮世絵含め、所蔵数は約4000点。「斎藤文夫コレクション」と冠し、三菱一号美術館はじめ国内外の美術館に出展、高い評価を受けている。」とホームページに記載されている。
 今回の展示は、「型破りの絵師 歌川国芳 没後 160 年記念展【後期】」となっており、
「江戸時代後期の浮世絵師・歌川国芳(1797-1861)は、武将の姿や合戦の様子を描いた武者絵の第一人者として知られています。躍動感みなぎる身体描写、大胆な構図、縦横な筆致など、エネルギーにあふれる作品を次々と発表し、江戸っ子たちの心をつかみました。また、洋風画法を取り入れた風景画、風刺のきいた戯画、凛々しい役者絵、小粋な美人画など幅広いジャンルにおいても多彩な才能を発揮しました。斬新で機知に富んだ画風は同時代の他の浮世絵師とは一線を画し、現代もなお多くの人々を魅了し続けています。本展では没後 160 年を記念して、型破りな国芳の世界を 2期にわたってご紹介します。」
となっている。

 開館は一昨年2019年12月、まだ2年たっておらず、私はその存在を知らなかった。約束は午後なので雨も上がる予想になっている。しかも入館料は500円と格安。楽しみである。

 


コニカミノルタプラネタリウム「天空」

2021年11月08日 19時46分32秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等



 本日はスカイツリータウンにある「コニカミノルタプラネタリウム“天空”」で、加藤登紀子による「LIVE in the DARK」を聴いてきた。1時間ちょっとの番組。
 このプラネタリウムはライブ時は、学芸員による解説というのではなく、ライブ番組をプラネタリウムの投影をバックに行っているとのこと。元天文ファンとしては、ちょっと複雑というか、せっかくのプラネタリウムの能力が生かされていないのではないか、という気持ちが湧いてくる。ライブ番組ではなく、通常投影の時はどのようなものか、今度体験してみたい。
 しかし同時に、星空をバックにライブ出演者がどのような番組、構成を考えるか、という興味もまた大いに湧いてくる。
 疑似星空空間とはいえ、満天の星をバックに紡ぎだされた歌の構成は面白く、堪能出来た。注文をつけるとすると、せめて今晩の天の北極を中心とした正しい日周運動を背景にしてほしかった。いつの日時の星空なのかわからない空で、たまたま天頂にある星を中心にした回転運動は、ときどき逆回りになるなど、不思議で、違和感満載の星空であった。

 京浜急行で横浜から押上まで、快特で約45分。妻も私も実に1年7カ月ぶりの遠出。半ば旅行気分であった。

 14時に番組が終了し、娘のリクエストで、そらまち内の天ぷら店の天丼を注文した。丼からあふれる天ぷらのボリュームに圧倒された。美味しくてすべて食したものの、胃にもたれてしまった。大きなエビ2尾の天ぷらもさることながら、茄子と海苔の天ぷらが私にはとても美味しく出来上がっていると思った。
 帰りの電車内の暑さもあり、妻も私も少々気分が悪くなり、横浜の手前でいったん降りて涼んでから、次の電車で横浜駅まで帰った。
 年齢相応に胃袋の消化能力を考慮しないといけないと、いたく反省。夕食を食べたいと思う状況にはならない。胃薬の御世話になった。