本日も頭は暑さでお疲れ状態。読書に自信がなく、「水木しげる厳選集 異」(ヤマザキマリ編、ちくま文庫)をリュックに入れた。(申し訳ない言いかたで、著者の水木しげる氏には失礼します。)
とはいえ、選択は間違っていなかったと思う。頭のなかが少し涼やかにおさまった。読んだのは「きつねの座布団の巻」(1975年)、「屁道」(1969年)、「猫の町」(1967年)。いづれも私は初めて読むのだが、1960年代後半というのを実によく反映している、と感じる作品である。
たぬきの睾丸に描いた顔の妖怪など、多分当時も大人には顰蹙ものだったのだろうが、週刊の少年漫画雑誌掲載ということに笑いが止まらなかった。
「屁道」もオナラの達人めざして茶道・武道と同じく「道」にしてしまう仙人や哲学者もどきの老人が登場する。ナンセンス漫画的だが大人の「まじめさ」を虚仮にした辛辣さが匂う。これも週刊の少年漫画雑誌掲載。
「猫の町」は逆に大人向けの漫画雑誌掲載だが、前2作よりもほのぼのとした大人の童話的な要素が強い。大人向けの作品のほうは辛辣さがなく、救いが見えている。
一人で入った2軒目の喫茶店でアイスコーヒーの氷が融けるまで、こんなことを考えて、楽しんでいた。