「水木しげるの妖怪 百鬼夜行」展を横浜のそごう美術館にて見てきた。楽しく見ることが出来た。
原画が多数展示されていた。そのどれもが当初の想像以上に背景や構図に凝っており、色彩の感覚も優れたものだと感じた。
いくつか惹かれたポストカードを購入した。みてすぐにわかると思うが、和洋の名画を換骨奪胎、水木自身のイメージの妖怪に即して描いている。
歌川国芳の「相馬の古内裏」は妖怪そのものであるが、ルドンの「キュクプロス」を思い出したり、不染鉄の伊豆大島を描いた作品群や川瀬巴水の夜景からの影響、北斎や広重に通じる情景などもあるように感じた。
また「海坊主」の絵では、船は波に翻弄されているというよりも海坊主を見て恐れおののく船乗りの気分が乗り移っているようだ。
さらに色彩がとても新鮮である。派手な色彩はないが、どの配色も妖怪が浮かび上がるように考慮されていると感じた。
アクション重視のアニメのような奇抜さや押し出しの強い人物描写ではないが、妖怪もそれに脅かされる人物も実に生き生きとしている。点描として描かれる人物も多くの物語を語っているように描かれている。演出過剰なアニメーションや劇画とは違う躍動感に浸ることができる。
創造する力というのは、吸収する力、受け止める力だと感じた時間を過ごすことが出来たと思う。