本日は気分転換で横浜駅近くの喫茶店で30分ほどの短い読書タイム。雨月物語の「吉備津の釜」を読み終え、さらに「浄土思想」の第6章「二十世紀の新たな物語」を少々。
雨月物語の「吉備津の釜」という物語については昔から認識が無かった。はじめて本文に触れた。
裏切りと憎悪の男女の世界、鬼と化す執念というのは現代の私たちからはなかなか理解できない。しかし物語としては秀逸に思える。さまざまな伝承が下敷きにあり変容して語られるので、解説を読んでもピンと来ないものもあるが、それを知らずとも十分に読み応えのある筋立てである。
女の側からは理解できない男の性が描かれ、女の情念が男を殺してしまう。男も女も救いはない。
次は長い「蛇性の淫」。こちらは男の側からは理解できない女の情念により、男が回生する物語。結末に救いはあるが、男は情念を捨てることになる。