団地には以前は萩が多く植えられていたが、今は少なくなった。白萩ばかりになってしまった。しかし一斉に咲くと見事である。また散った花びらも美しい。今年はまだ蕾も出ていない。5年前も美しく咲いていた。
★萩咲いて風を生む白風溜める赤 庄司 猛
★みちのくに生まれて老いて萩を愛づ 佐藤鬼房
★白萩のつめたく夕日こぼしけり 上村占魚
★白萩やこれよりさきはけものみち 大木あまり
俳句では白萩を読んだ句のほうが多いようだ。白萩は少し固く、冷たい感じ。赤い萩のほうが温かく包み込むような感じがする。色の所為であろう。
第2句の萩はどちらの色だろうか。どちらとも決めかねている。赤も白も、陸奥の宮城野原の萩は残された歌からはどちらとも言えない。特に決める必要はないのだが、時々どちらだろうと楽しむことがある。
・宮城野のもとあらの小萩つゆを重み風をまつごと君をこそまて (古今集 よみ人しらず)
・宮城野を思ひ出でつつ植えしけるもとあらの小萩花咲きにけり (能因)
・萩が枝の露ためず吹く秋風に牡鹿鳴くなり宮城野の原 (西行)
・うつりあへぬ花の千種にみだれつつ風の上なる宮城野の露 (定家)