本日「あの戦争と日本人」(半藤一利、文春文庫)を読み終えた。感想は「私の視点とはずいぶん違うな」というところにしておこうと思う。
20代のころ、「明治維新以降の近代化とは別の「近代化の構想」の可能性とは何か」という議論を仲間としていた時期があった。「尊王攘夷論、明治維新にさかのぼって「別の近代化」を構想できなかった幕末思想の再検証を」と偉そうに息まいていたころをふと思い出した。それが半藤一利を読んでいて常に頭の中に浮かんでは消えた。
私はその議論は途中で放り出してしまって、自分では解決できないまま生きてきた。私は意外と未だにここにこだわっている自分を再発見した。
「国家」というものの感性的な把握に大いなる深い溝が私と半藤一利の間にはあるのだろうと感じた。
一方で、いまがまさに「戦前」の様相を呈していることはこの本からもあらためて実感した次第である。また、あとがきで「本書の第1章でふれたように、攘夷の精神は死なず、ということなのでしょうか。時代がどう進歩しようが、日本人の胸の内を一尺掘れば攘夷の精神が芽を出す。はたして攘夷こそが国民的アイデンティティーなのでしようか。」という一文は心に残しておきたい。
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