メランコリア

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『空海』(1984)

2009-11-03 13:12:00 | 映画
『空海』(1984)
監督:佐藤純彌
出演:北大路欣也、小川真由美、西郷輝彦、丹波哲郎、西村晃、中村嘉葎雄、加藤剛、森繁久彌 ほか

「“弘法大師御入定1500年御遠忌記念映画”として製作。総製作費は、当時としては破格とも言える12億円という巨費を投じ、中国大陸への一大ロケーションの敢行、当時のままの遣唐使船を建造し、撮影するという想像を絶する映像が繰り広げられる。」

まんが『日本の歴史』を読んだ後で観ると、なるほどとっても分かりやすかった。
映像だとより詳細までじっくり味わえるし。
北大路欣也は適役。苦行の末に悟り得た表情にいたるまで見事。
薬子役の小川真由美が色・欲を象徴するような怪演でコワイ!!!
ラストは四国四十四箇所巡りの様子もあった。

story
真魚(まお)は幼少から天才児で、讃岐の郡司・佐伯にとっては一族を背負って立つものと期待していたが、
突然、大学を辞めて修行の旅に出る。険しい山に登り、そこから飛び降りたりして「生きるとはなにか」を問う。
御厨人窟(みくろど、高知県室戸市)で修行をしている時、口に明星が飛び込んできて悟りを開く。
21年ぶりに再開された遣唐使として命からがら唐にたどり着き、梵語を習得した後、
密教の第七祖である唐長安青龍寺の恵果和尚を訪ね、何十年もかかるという密教のすべてを伝授してもらう。
帰国すると桓武天皇が崩御し、平城天皇が即位、その後は嵯峨天皇が即位した。
平城上皇の愛妾の藤原薬子や、その兄である藤原仲成らが処罰された「薬子の変」が起きる。
同じく遣唐使として経典を持ち帰った最澄は、一時期密教を学ぶため空海に弟子入りするが、
「密教も天台宗の一部」という立場を貫き別れを告げる。その時愛弟子は空海に弟子入りしたいと申し出る。
たびたび決壊していた地に堤を作って満濃池(まんのういけ)としたり、疫病の村人を助けたりして布教に励み、
高野山で入滅。


「生まれ、生まれ、生まれ、生まれて 生のはじめに暗く、
 死に、死に、死に、死んで 死の終わりに冥(くら)し」


天災すらもまた自然、地球が生きている証であり、「その雨風を止めようと思うな、雨風となれ」と教える。
そして宗教ではタブーとして抑制されてきた「性」もまた、ニンゲンが生物としてある以上、自然なことだと教えた。
飢饉や重労働、疫病などになすすべもなく「早く死んでラクになりたい」と訴える村人に
「この世で極楽を感じなくては、死んでも極楽などない。生きて仏となることだ」と説く。

昔のように衣食住になに不自由のない暮らしの現代でもいまだ「なぜ生きるのか」は永遠の問い。
みんな日々を生きるために、心から信じ、揺るぎないものを求めて彷徨い続けているのかもしれない。


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