メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『土神と狐』宮沢賢治

2012-01-02 19:37:49 | 
土神と狐 日本の童話名作選
宮沢賢治/作 中村道雄/組み木絵(偕成社)

「人間の存在を修羅とみなした宮沢賢治が、その修羅性とそれによって生じた悲劇をあからさまに描いた、異色の童話。」

あらすじ
丘の上に立つ女性の樺の木には2人の友人があった。1人は南から来る気取った狐。1人は沼地から来る素朴で荒くれ者の土神。
狐はいつも星の話などして知識を披露し、樺を感心させ、「いつか望遠鏡を見せてあげましょう」と言うが、
「たった1人の友だちにまた嘘をついてしまった」と反省し、いつか本当のことを正直に話そうと思っている。
土神は樺が狐の話をすると憤怒する。自分は神なのだから狐ごときに嫉妬するのはおかしいと反省し、冷静になろうとする。
夏中イライラし、悩んでいた土神だったが、秋になる頃にはすっかり気分が良くなり、ふたたび樺を訪ねると、そこに狐がやって来て・・・


ひさびさ賢治の童話が読みたくなって借りてみた。
思わずホっとして笑ってしまうような素朴な物語が多い賢治だが、こんなに哀しい話も書くんだな。
よくテレビのニュースに出る男女の愛憎のもつれによる殺人事件て、こんな風なんだろうか。
あまりにも人間的な土神の苦しみ、深い悲しみが伝わってくる文章に圧倒された。

こんな激しい話を組み木という形で表現した中村さんの絵も素晴らしい。
一体どういった方法で創られるのだろう。



コメント