メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『日本の神話えほん 1 あまのいわや』 ふしみ みさを/文 岩崎書店

2021-11-25 13:14:22 | 
2020年初版

以前、ボローニャの絵本展に行った時
グッズ売り場にこの絵本が置いてあり

日本の神話にも興味があるし
それをこうしたわかりやすい形で
改めて本にする試みが素晴らしいと思い
読みたいと思っていた

前回行った板橋区立中央図書館にも
2冊の表紙が飾られていて
やっぱり気になったため
近くの図書館で借りてみた

板橋区立中央図書館(11.11


色使いがカラフルで
とてもシンプルな線で描かれている

今ちょうど板橋区立美術館で
ポール・コックスの展覧会が開かれている


つくる・つながる・ポール・コックス展


そういえば以前行った時のチケットが
彼のデザインだったと今わかった


ボローニャ国際絵本原画展2015@板橋区立美術館



こうして改めて『古事記』を読み解くのも面白い
世界の成り立ちの神話は不思議と共通点が多くて興味深い



【内容抜粋メモ】
イザナギという神様に3人の子供がいた
アマテラス、ツクヨミ、スサノオ






天照は天の国、ツクヨミは夜の国
スサノオは海を収めるのだと言いつけるが

スサノオはとてもわがままな乱暴者で
毎日子供のように泣きわめいているため
山は揺れ、草木は枯れ、世界はすっかり荒れ果ててしまう







なぜ仕事をせずに泣いてばかりいるのだ

私は亡くなった母上に会いたくて仕方がないのです

なんとわがままな
今すぐここを出て行くがいい

スサノオは父の国を追い出されてしまう

母のもとに行く前に姉上にお別れをしてこよう

その様子に驚いて、高天の原を乗っ取りに来たのだろうと思い
アマテラスは男のように髪を結いなおし戦の姿になって立ちはだかる

スサノオは理由を話したが天照は信じない

ならばこうしょう
姉上と私でそれぞれ生まれた子を比べれば
どちらが正しいかわかるはずです

スサノオの剣を天の水で清めてから三つに折り
噛み砕き、吹き出すと3人の女神が生まれる









天照の髪の玉飾りも天の水ですすいで清めてから
噛み砕き吹き出すと男の神が5人生まれる






私の子供は優しい女の神ばかりだから
私に悪い心はない

疑うなんてかわいそうなことをしてしまった
とアマテラスは心を痛める

勝ち誇ったスサノオは天照の大切な田んぼを蹴散らし
神聖な神殿に糞をする(!

けれどもアマテラスは弟をかばう

スサノオはますます乱暴になり
機織り場に皮を剥いた馬をいきなり投げ込み
機織りの乙女たちは逃げ惑い
道具が突き刺さって一人死んでしまう







天照は何も言わず外に出て
天の岩屋という洞窟に入り
大岩の戸を閉じてしまう







天も地も真っ暗になり
悪い神様が騒ぎ立て
世界は災いに満ち溢れる







高天の原の神々は集まって長いこと相談する


知恵の神、思金がいろいろ指示を出す
鶏を100羽連れてきて
さかきの木に玉飾りと鏡をつけ
力自慢の手力男は岩戸の脇に隠れて待ち構える








ひょうきんな女神アメノウズメが
空っぽのたるに飛び乗り踊り出す

着物が乱れても踊りに夢中で
ますます激しくへんてこな踊りを踊ると神々は笑い転げる
鶏も鳴き続ける







一体何事でしょう
私がここにこもって天と地も闇になり困ってるはずなのに

あなた様より貴い神がいらしたのです







戸を開けて鏡に映った自分の顔を見て
思わず身を乗り出したところに

タヂカラオが手を掴んで外に連れ出す
背中に縄をつけてみんなで引っ張る
こうして天も地も眩い光を取り戻したのです







スサノオは罰として持ち物を取り上げられ
ヒゲと手足の爪を切られた後
高天の原を追い出されたのでした

(手足の爪を切られると弱くなるのかな?w



<詳しい説明>

この世の始まり

天の国高天の原に中心の神アメノミナカヌシが現れ
最後に男の神イザナギと女神イザナミが生まれた

天の神々に命じられて
妻とともに日本の国土を作り
たくさんの神々を生んだ

イザナミは火の神を産んだために死んで黄泉の国に住む
妻を追って黄泉の国に行き戻ってきた時

体を清めるため左目を洗って生まれたのが天照
右目を洗って生まれたのが月読
鼻を洗って生まれたのが須佐之男

アメノウズメは芸能の神


***


スサノオが行こうとすると怒って止めた父イザナギも
妻に会いたくて黄泉の国に行ってるんじゃん

そういうところが人間ぽいよね
神を模してヒトを作ったって解釈もあるし

古事記は学校で軽く触れるだけだから
こうした有名な部分だけしか知らないけれども
本当はもっともっと深くて壮大な物語なんだよね

「国作りの話を詳しく教えないなんておかしい」って言っている人もいた
そう言われてみればそうだな

さすがに古い文献で読むのは骨が折れるだろうから
こうして分かりやすい絵本で
エッセンスだけでも抽出してくれるのはありがたい

まだ2冊しか出てないようだけれども
今後もずっとシリーズ化してほしい



コメント

『日本の神話えほん 2 やまたのおろち』 ふしみ みさを/文 岩崎書店

2021-11-25 13:14:21 | 
これもまた古事記のなかでとても知られている物語の一つ
2020年 初版のとても新しい絵本






出雲の国:今の島根県の東部

肥の川:
島根県の東部を流れる大きな斐伊川のこと
昔から度々川の水が溢れる災害が起きている

地図に示す斐伊川の流れは奈良時代のもの
今は流れが変わって湖に注ぐようになった

須賀:島根県雲南市大東町須賀のこと


ポール・コックス/絵
1959年 パリ生 独学でアートを学び
絵画、絵本、グラフィックデザイン、舞台美術などさまざまな分野で活躍


伏見操/文
1970年 埼玉県生まれ
ラジオ番組制作会社勤務を経て
フランス語、英語を中心とした子どもの本の翻訳家に
主な訳書『10代の哲学さんぽ』シリーズなど




すっきりとした明るい色の使い方
シンプルな線や構図は浮世絵版画のよう
色々な場面をとてもわかりやすくイラスト化している

横に長い絵巻物のような本の形も
大きな広い視点で楽しめていいと思った

この他にも古事記にはまだまだ色んな物語があるだろうから
よく知られていない話もこうして分かりやすく
絵本としてシリーズ化してほしい




【内容抜粋メモ】

高天の原から下界へと追い出されてしまったスサノオは
長い旅の末に出雲の国に降り立った

肥の川のほとりを歩いていると
箸が流れてきて川上に人が住んでいるようだ
(なぜ箸が???w







大きな屋敷の前でおじいさんとおばあさんが
美しい娘とともに声をあげて泣いている

(なんで絵本に出てくる美しい娘と一緒に住んでいるのは
 お父さんとお母さんじゃなくておじいさんとおばあさんなんだろうね







理由を聞くとおじいさんはこの国を治める神・足名椎 妻は手名椎
娘は櫛名田比売

8人の娘がいたがヤマタノオロチという怪物がやってきて
毎年一人ずつ食い殺し、とうとう末娘だけになってしまった
今年も間もなく来るであろうと怯えている

その姿は八つの頭、八つの尾が生えた醜い化け物
目は赤く爛々と輝き、体は苔むし
スギやヒノキが生い茂っている(なんかカワイイ

八つの谷と八つの山にまたがるほどの大きさで
いつも血に濡れてジクジクとただれた体

その怪物を退治したら姫を私の妻にくれないか

スサノオはクシナダヒメの姿を櫛に変えて
しっかりと髪の毛にさす


(この辺が神話の面白さ
 ものすごい唐突で斬新すぎるw


八度醸したとても強い酒を作って
屋敷の周りに八つの門を作り
酒をなみなみ注いだ樽を置いて
あとは時が来るのを待つのみ

(やけに八の字が出てくるのはなぜ?







夜になり生臭い風が吹き
話通りのヤマタノオロチがやってくる







屋敷の前の酒樽に頭を突っ込んで
喉を鳴らしてお酒を飲むと
みんな酔いつぶれて眠りこけてしまう








その間にスサノオは剣で頭を一つずつ切り落とし
胴を切り刻む








最後に尾を斬ると剣の刃がこぼれ
切り開くと素晴らしい剣が現れ
アマテラスへの贈り物にする






(絵を見ると太陽に向かって投げてるけど
 また怒られないかねw


ヤマタノオロチを退治して
スサノオはクシナダヒメを妻に迎え

須賀に立派な御殿を建てて
次々と子供をもうけて
幸せに暮らしているということです







コメント