花好き・旅好き80代北国女性の日記(ブログ開設18年目)

趣味はガーデニングと家庭菜園、外国旅行だが、新型コロナ禍と膝の不調、円安が重なり、今は外国行きは見合わせている。

モーリッシュが見た大正の日本(2)

2009年10月09日 | 読書
彼が書いている西洋と逆な日本の生活習慣についてもう少し‥‥
日本では帰宅すると家に上がる前に靴を脱ぐが、西洋では家の中で初めて靴を脱ぐ。
その理由として彼が考えた事は、日本には家具がなく、畳の上で食べ、書き、寝るから、畳の床は西洋の机の上と同じだという結論なのだ。

もう少し踏み込んで彼が考えたら、気候風土、床材の違いに気づいたのではと、私は残念に思う。
雨が多い日本では玄関で汚れた履物を脱いでから、湿気や汚れに弱い畳の部屋(西洋の床は、木か石やタイル、レンガ、モルタルなどで極めて丈夫にできている)に入るのが合理的だと判ったはずだ。
さらに、湿度が高い日本でずっと靴を履いていたら、足が蒸れて不潔になりやすい。(だから和服の時は、下駄やぞうりを愛用したのだと思う)
西洋では湿度が低いし、弾力がある温かい畳と違い、床は硬い材質なので、靴をはかなかったら足が冷えるし、歩くときの衝撃がじかに脳に伝わるから、家の中でも履いて来たのだと私は思う。(気温が高いエジプトや南欧では、夏の間、日本の草履にそっくりなスリッパを履いて来たみたいだが)

「女性の扱い」の章には、次のように書いてある。
奇妙な事に、日本の男性は女性に服従を求める。
娘は父に従い、妻は夫に従う。寡婦になったら息子に従う。
彼女は人に命令する事ができないし権力も、家族から尊敬されることもない。客が来たら食卓に一緒に座らず、給仕だけする。
そして常に、女は男より下なのだと思い込まされる。
夫が妻に好意を感じなくなって別の美人の所へ行ってしまっても、じっと耐え忍ぶ必要があるのだろうか。
これは西洋人には理解できない事だ、と言っているのだ。

きっとこの時代の日本女性の家庭内、社会における立場を見た彼は、さぞかし驚いたのだろうと推察できる。
しかし、これも残念なことに、彼は当時の家父長制家族制度のことには目を向けていないのだ。
嫁した女性は夫の家の嫁であり、その家の跡継ぎとなる男子を産み、その家の家風を受け継ぐ事だけが妻の存在価値だったことには気づいていないのだ。
特別な場合を除き、家や夫の遺産の相続権も子どもの親権すら持っていなかった事を知ったら、彼は何と思っただろうか。
そしてこうした女性への人権無視がなくなるのに、法律ではさらに20年以上後、第2次世界大戦終結後の新憲法成立、民法改正を待たなければならなかった。
しかし、例え法律が変わっても、社会的な習慣が変わるのには可なりの時間が必要である。
敗戦から64年後の今日でも、日本の人々の女性観はまだまだ遅れている面が多い事を、彼が知ったらどう思うだろうか。
今回、婚姻時の選択的夫婦別制を含む民法の懸案事項を、法務大臣が来春成立させたいと言った事に対して、民主党の総理大臣さえ時期尚早だと暗に反対している事に、私は落胆している。





コメント (2)
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