花好き・旅好き80代北国女性の日記(ブログ開設18年目)

趣味はガーデニングと家庭菜園、外国旅行だが、新型コロナ禍と膝の不調、円安が重なり、今は外国行きは見合わせている。

ネパールの旅 (9)

2010年12月08日 | 海外旅行「南アジアⅡ」スリランカ・ネパール

ダルバール広場の一角に木造の大きい建物があった。女神クマリの化身が住むクマリの館だった。①
クマリは、ネワール族の僧侶、カーストの金細工師サキャの家族の中から、怪我や病気をしていない美しい少女が選ばれ、親と別れて初潮が始まるまでこの館に住み込むのだ。
ガイドの話では、生き神様なので、泣いたり、笑ったり、怒ったり、大きい声で話したり、走ったりしてはいけないのだという。
普段は姿を見せないのだが、私たちのグループが行ったために30秒程、中庭の3階の窓(3つの窓の真ん中)から顔を見せた。②
写真撮影は禁じられているので撮れなかったが、化粧を施したまだ7歳という痩せた無表情の少女だった。

クマリが去ってからガイドに言われて、各自お布施を箱に入れた。
ネワール族の人達のクマリ信仰は根強いらしいが、幼少期からずっと館に閉じ込められたクマリが、初潮後一般人になっても、社会でうまく生きて行くことが難しいらしい。その内、国際社会から人権問題として指摘される日が来るのではと、私は思った。

 ① ②

ダルバール広場を後にする頃には、夕日が傾いて来た。
一層混みだした狭い路地を、人混みを掻き分け、大きい道路の信号がない交差点では車に轢かれないようにゆっくり渡り、1km以上歩いてバスに戻った。道路にはごみが散乱していた。
ガイドは、「本当は、この辺を見せたくはないのだけれど。」と話した。しかし、これも今のネパールの現実だった。

夕食は、ネパール料理店ポーザングリハで食べた。アルコール度が55度というネパールの酒が1人に20cc程出たが、私は気が付くと飲んでしまっていた。




6日目の11月24日の午前中は、オプショナルツアーで小型飛行機に乗り、ヒマラヤ上空を遊覧飛行する予定だった。
私は事前申し込みはしていなかったが、今まですっきりとしたヒマラヤ山脈に出会っていないので申し込んだ。
オプショナル代は、25000円+17ドルだった。

ホテルを6;20に出て、遊覧飛行の飛行場に行った。手荷物を検査され、身体検査も3回受けた後、やっと飛行機に乗り込んだ。③
左右に1列ずつ座席がある18人乗りの小型機だった。④

 ③ ④

いよいよ飛び立ち、上空の雲の上に出ると、横のまどからヒマラヤ山脈が見えだした。⑤
しばらくすると1人ずつ女性アテンダントに招かれて、交代で操縦室に入り、前方の窓から景色を見たり、写真を撮らせてくれるのだ。
中には操縦士に山の写真を撮ってもらった人もいた。
そこには座席から見るのとはまるで違う景色があった。最高峰のエヴェレスト、8848mの三角形の頂上が目の前にせまった。⑥
私は3回操縦室に入って、全部で32枚の写真を撮ることができた。⑦
飛行時間は55分間だったが、まるで夢のような時間だった。

 ⑤ ⑥

 ⑦

これでネパールの旅は終わった。
ホテルに戻って休憩してから、スーツケースを積んだバスでカトマンドゥー空港に行き、13;50発のバンコク行きに乗りこんた。
バンコクで同じタイ国際空港の22;35に乗り換えたのだが、タイ空港では男女別に身体検査を4か所で受け、手荷物も最後は全部中まで開けて見せて、やっと搭乗することができた。
バンコクから5時間40分かかって成田に着き、成田からは新千歳空港行きに乗り換えて、予定通りの時間に、無事、帰宅できた。




今回のネパールの旅は、天気が悪くて展望台から目指す山が見えなかった事を差し引くと、80点位だったかなと思っている。
今まで良く知らなかったネパールという国を知ることができたのは旅の何よりの収穫だったし、憧れの世界の最高峰も飛行機から見る事ができたからだ。

しかし、1953年に世界最高峰のエヴェレストが初登頂されてから、ネパールは観光国になったが、現在、まだ人口の8割は農村部に住んでいる。
2008年5月28日、選挙で選ばれた議会が王制廃止と民主連邦共和制を決議して王制は廃止されたが、ガイドブックによると、インド系民族の南部タライ地方に住む「マデシ」は、カースト制の低位に置かれて住民証を得られず、差別され続けているのだという。
人口の4割を占める彼らは、ネパールからの分離独立運動をしているともいう。
今後ネパールの民主化が進み、経済が発展して治安が安定すれば、国民の生活水準も徐々に上がって行くだろう。
その時はネパールが、世界の人々の憧れの地になるのではないだろうか。いや、そうなって欲しいと思った今回の旅だった。
(映画「2012」では、地球の大変動が起こった時、最後の砦はヒマラヤの高地と南アフリカだとして描かれていたのを思い出す)
この記事を読んでくれたみなさんは、ネパールにどんな感想を持っただろうか。(完)


コメント (6)
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