≪クアラ・スランゴールの蛍鑑賞≫
4日目午後2時にホテルを出て船着き場に向かった。ホテルから船着き場までの車で数分間をスーツケースを運んでくれた人に1個3RM(84円)を渡し、また小型フェリーに乗ってマレー半島のルムッ港に戻った。
ルムッ港からバスでマラッカ海峡の海岸線に近い道路を南下して行った。途中、湿地帯も見たが、稲刈りが済んだばかりの田んぼが広がっている地域があった。栽培されているのは多分、細長い形で粘らない「インディカ米」だろうが、不思議な事に日本で刈るより長く、地面から20cmもの茎を残したままだった。① 気温が高いこの国では残渣の分解も早いだろうから、きっとこのまま畑に梳き込んで堆肥にするのだろうと思った。
また油やしの苗を育てている畑も見えた。②(走るバスの窓から撮ったので、ぼけている)
① ②
約2時間半後「蛍の里」クアラ・スランゴールに着いた。川沿いのレストランで海鮮料理を食べてから、15分程の距離にあるスランゴール川のボート乗り場に行った。着いた頃、丁度日が暮れた。
券売り場の横に小さい土産物屋が2軒あって、女性陣が早速品定めをしていた。店先に『パシュミアウール100%』と表示してある色とりどりのマフラーが30RM(840円)で下がっていた。私が「表示が正しいなら、インドのパシュクール地方で取れるカシミヤかも知れないね。」と言っていたら、店員が「3枚買えば1枚おまけする。」と言った。すると1枚当たり22.5RM(630円)とさらに安くなるので、何人かの女性が買った。(1人だけ1枚買った人が居たけど)
彼女の夫たちは集まって、「こんな時の女性は目の色が変わるから、黙って見ていた方がいいんだ。」と言っているのを聞き、長い間の経験は人を賢くするなと思った。
翌日、クアラルンプール空港の免税店で、同じマフラーが100RM(2800円)で売られていたのを見つけた人が居て、「蛍の里」でまとめて安く買った事を喜び、「ここでもう1枚買ったの。」と私に報告していた。
本物なら上質なのに確かに安い。私は彼女に「繊維を少し取って燃やして見て、髪の毛を焼く匂いがすれば本物だよ。」と伝えた。私自身は既に売る程マフラーを持っているので、手を出さなかった。
私達はマラリアに感染しないために虫刺され予防のクリームを塗ったり、虫除けスプレーをした。(私は持参した手作りのネットを頭に被って、顔を覆った。また昨年1月にカンボジャに行く前、マラリアと日本脳炎のワクチンを接種していると話したら皆に驚かれた)
それからボートに10人ずつ分かれて乗り、真っ暗い川面を静かに漕いでもらって進んで行った。
目を見張ると川岸に茂る低木に、小さな点のような光が見えて来た。移動するに連れてその数は増し、1か所に100~200以上もの小さな光が一斉に瞬くのが見えた。あたかも示し合わせたように同時に約0.5秒間隔程で瞬くのだ。オスがそうして協力してメスを誘っているのだ。ボートがさらに隣の木へと移動して次々に私達を案内する。川岸がイルミネーションで飾られているような実に不思議な光景だ。
1つの光が宙に浮かんだ。私が手を伸ばすと光が手に留まった。数秒後にまた飛んで行ってしまった。一瞬の事だったが、感動した。
私が蛍を見たのは初めてで、とても良い思い出になった。(フラッシュは焚けないので、微弱に発光する蛍をカメラに収める事は出来なかった。またこの川岸の木は、「ブルンバン」という名で、蛍は片側の岸のこの木だけにいた)
夜の道をまた1.5時間程、バスは東のクアラルンプール目指して走った。両側に背が高い油やしのプランテーションが続く所は不気味だった。
やっと10時頃、1日目と同じホテルに着いた。最後の夜の部屋は19階だった。