存在する音楽

ジャンルに関係なく良いと感じた曲は聴く
誰かの心に存在する音楽は
実際に音が鳴っていない時にも聴こえてくることがある

佐野元春& The Hobo King Band  Smoke & Blue 2019

2019-05-01 10:42:20 | 佐野元春
去年のコヨーテバンドのライヴも魅力的だが、最近はホーボーキングバンドの演奏もライヴで聴きたくなっていた。
ただ
ホーボーキングバンドのメンバーは何度か入れ替わっている。
最近はビルボードライヴがホーボーキングバンドのライヴという感じになっている。
初めてビルボードライヴに参加したのは2012年だった。
当時は古田たかし、Dr.kyOn、井上富雄、笠原あやの だったが、
今回は古田たかし、Dr.kyOn、井上富雄、長田進。加えて、佐野さんがライヴ中に紹介していた
パーカッションの吉川清海
東京ビルボードでは佐橋佳幸がゲストで参加したとのこと。

大阪ビルボードで始まり、名古屋はブルーノート、東京ビルボードと3月4月に行われた。

人生で何度ライヴに行けるのかわからないけれど、できる限り行ってみたいと強く思い、
幸運にもチケットも確保したので3月と4月に参加した。一瞬一瞬を味わいながらのライヴだった。

ライヴ後にフェイスブックでその日の写真やライヴの様子がアップされる。(追記)に一部をコピペ

今回のライヴでは大事な人の不在を歌った歌。
「ジュジュ」を口ずさみ、
4月に歌われた「日曜の朝の憂鬱」は『VISITORS』の中でも衝撃を受けたバラードだったので心は踊りながらも歌詞や弾ける効果音が響き、
「君がいなければ」は『The Circle』が発売された’93年当時聴いていたのとは違った思いに溢れていた。
それは経験の中で言葉の表す意味が変化して深みを帯びていると言えばいいのだろうか?
思い浮かべた人たち 今はもういない。

「愛のシステム」や「コンプリケイション・シェイクダウン」、「最新マシンを手にした子供達」
社会や人生の中での出来事を切り取って表現される歌 鋭くじんわりと心に響いた。

佐野さんが語っていた
ビルボードでの演奏のためにオリジナルとは違うアレンジをしています。
オリジナルの方が良いって思われる人もいるかも
でも新しいアレンジで行きます。
更新されていく演奏、歌詞
とても魅力的。
そして最近、『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』のアルバムをよく聴いていたりする。
最後に歌われたからかもしれない。
人生の航海で歌いながら進んでいく。
そういう感覚なのかもしれない。

最終日は15曲だったようだ。

2019,3,7 木2ND 佐野元春&ホーボーキングバンド Smoke & Blue 2019
1 ジュジュ
2 夏草の誘い
3 希望
4 君がいなければ
5 トーキョー・シック
6 エジェル・フライ
7 C'mon
8 コンプリケイション・シェイクダウン
9 愛のシステム
10 ハッピー・エンド
11 僕にできることは
12 ドライブ
13 最新マシンを手にした子供達
14 ナポレオンフィッシュと泳ぐ日


2019,4,13 土2ND 佐野元春&ホーボーキングバンド Smoke & Blue 2019
1 ジュジュ
2 月と専制君主
3 日曜の朝の憂鬱
4 君がいなければ
5 トーキョー・シック
6 クエスチョンズ
7 C'mon
8 コンプリケイション・シェイクダウン
9 愛のシステム
10 ハッピー・エンド
11 僕にできることは
12 夜に揺れて
13 最新マシンを手にした子供達
14 ナポレオンフィッシュと泳ぐ日



《4.14最終公演セットリスト》
1.ジュジュ
2.月と専制君主
3.‪日曜の朝‬の憂鬱
4.君がいなければ
5.トーキョー・シック
6.クエスチョンズ
7.COMPLICATION SHAKEDOWN
8.C'mon
9.愛のシステム
10.ハッピーエンド
11.僕にできることは
12.夜に揺れて
13.最新マシンを手にした子供達
14.ドライブ
15.ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
《佐野元春ステージでの発言集》
80年代当時、パリを訪れた時、友人と一緒に夜の街をぶらついていた時に書いた曲、「月と専制君主」。

曲はけっこう旅先で書くことがある。ニューヨークにいた時、時々通っていたセントラルパークで書いた曲。それが「日曜の朝の憂鬱」。

50年代に活躍した素晴らしい女性シンガー、雪村いづみさんと、ここビルボードで一緒に歌った曲が「トーキョーシック」。来年はオリンピックの年。僕の中では勝手に、この曲、東京オリンピックのテーマソングにさせてもらってます。

まだ経験の少ない若い男の子のやるせない気持ちを歌にしてみた。「クエスチョンズ」。

1984年の頃、僕は20代。ニューヨークでヴィジターズというアルバムを作って日本に戻ってきた。今で言うヒップホップラップ。当時日本にはそんな音楽はなかったから、「ちょっと佐野はおかしくなっちゃたんじゃないの」なんて言われました。今で言う炎上です。

世の中にはなかなか世間に馴染めないっていう人がいます。その昔、ロックンロールの曲なんていうと、そんな人ばっかりが主人公です。(僕もどちらかと言うと、そういうところがある方だったかもしれないけど)、そんな人にちょっと声をかけちゃおうかなっていう、お節介な曲を歌います。「エンジェルフライ」。

ホーボーキングバンド、僕たちが出会ったころは若かったですが、年を取ってこんな おじさんになってしまいました。
その頃コンサートに来てくれていた人たちもいると思います。そのころから考えると、みんな年を取って年を取って年を取ってこんなふうになっちゃいました。(笑)

4/15
《レポート》佐野元春 & ザ・ホーボーキング・バンド『Smoke & Blue』

 佐野元春のコンサートには物語がある。今回の『Smoke & Blue』にもそれを感じた。

 冒頭の3曲「ジュジュ」「日曜の朝の憂鬱」「君がいなければ」はどの曲も大事な人の不在について歌われている。

 中盤の曲、「クエスチョンズ」「COMPLICATION SHAKEDOWN」「C'mon」「エンジェル・フライ」「愛のシステム」は、現状に違和感を感じ、生きづらそうにしている主人公たちのモノローグだ。

 後半「ハッピーエンド」に続く、アルバム「自由の岸辺」からの楽曲では、自由 の在り方を模索する個人の葛藤と、そこからの解放が描かれている。

 ラストの「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」はこの曲が80年代に書かれたにもかかわらず、エッジの効いた「2019年現在の歌」として響く。

 まさに時代の空気感を読み込んだ上での選曲であり、聞き手はそこに織り込まれた物語を感じることができる。

 それはビルボードやブルーノートというスモールべニューの空間でこそ体験できるアート・エンタテインメントだろう。

 佐野元春はロックする詩人であり、現代のストーリー・テラーだ。『Smoke & Blue』での佐野元春は、そのことをさりげなく立証している。

《レポート》佐野元春 & ザ・ホーボーキング・バンド『Smoke & Blue』#2

 ザ・ハートランドの古田たかし (Dr)と長田進 (Gui)。オリジナル、ザ・ホーボーキング・バンドのDr.kyOn (Keys)と井上富雄 (Bass)。元春の声がけで集まったこの四人による最初のセッションは、アルバム「月と専制君主」(2011年)のレコーディングから始まった。昨年リリースされたアルバム「自由の岸辺」(2018年)も同じメンバー。

 元春は、新生ホーボーキング・バンド (以下HKB)として出発したこのバンドを、ルーツロック傾向の音楽を追求するバンドとして位置付けている。元春のメインを支えるコヨーテ・バンドのモダンな表現とは対照的だ。

 今回のライブ『Smoke & Blue』の見所は、何と言ってもこのHKBのプレーヤとしてのパフォーマンスだ。元春がHKBで志向しているサウンドをざっと挙げてみると、モータウン、AOR、オルタナティブ・フォーク、モダン・ブルース、オルタナティブ・ジャズ、ラップ、ニュー・オリンズ、カントリー・ロック、ジャズ・ロック等、実に多彩だ。

 HKBについて、国内で比較できるバンドが少ないのは残念だが、海外のバンドで言えば、70年代の「トラフィック」のような、多ジャンルの音楽の融合を試みる実験精神を持ったジャム・バンドが近いだろう。

 HKBのメンバーはそれぞれに特徴ある演奏を得意とするが、なかでも国内屈指の名キーボードプレイヤー、Dr.kyOnのピアノ・プレイは秀逸だ。ニューオリンズ・スタイルが楽しい「トーキョー・シック」「夜に揺れて」。ファンキーなオルガンの「エンジェル・フライ」「COMPLICATION SHAKEDOWN」など、この分野において彼の右に出る者はいない。

 繊細なプレイからダイナミックなリズムまで、思わず身体を揺らしたくなるような心地よいグルーヴを生んでいるのは、古田たかし (Dr)と井上富雄 (Bass)のふたり。長年に渡る抜群のコンビネーションだ。「最新マシンを手にした子供達」では、ブレイクビーツ的なリズムに元春のラップが重なり、ユニークなサウンドを生み出している。「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」の後半のグルーヴフルな演奏など大人のロックかくありきといった感がある。

 今回から参加している長田進 (Gui)は、ラブ・サイケデリコやグレート3、グレープバインなどのプロデュースで知られているが、元々は80年代、佐野元春 ウイズ・ザ・ハートランドのメンバー、元春の音楽性を熟知したギタープレーヤだ。「クエスチョンズ」や「愛のシステム」のブルージーな演奏でHKBサウンドに深みを与えている。

 評論家の佐野響子氏は語る。「佐野とは同世代の彼らは、ダウン・トゥ・アースなサウンドに深い理解と経験値があり、また長年活動を共にしてきたからこそ生まれる呼吸と極上のグルーヴがある。その心地よい安定感に加え、佐野元春の名曲とヴォーカルをふくよかに聴かせることができるのがこのメンバーなのだ」。
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