1-1のドロー。
正直言って、負けを覚悟せねばならない試合でした。それほどまでに、流れが悪く、どう見ても相手に分があることがハッキリしていた試合。
それでも、負けなかった。
先制され、逆転勝利は厳しい状況にありながらも、追いつき、勝ち越しを許しませんでした。
決して褒められた内容とは言えないものの。
それでも、負けなかった。
今季2度目の引き分け。
前回は勝ち点2を失うかたちでしたが。今回は、負け試合を回避し、勝ち点1を積み上げたという試合。
連勝し、未だ無敗を続ける岩手に追い越されて暫定首位の座を譲ることとなってしまいましたが。
それでも、負けなかった。
同じ首位陥落でも、負けての陥落と粘りを見せてのドローでの陥落では、雲泥の差。
勝ち点は、減らない。むしろ、1ではあっても積み上げた。
優勝を狙うクラブであるなら、言わずもがな。
3を積み上げることは叶わなかったものの、0ではなく、1だとしても積み上げることを継続できたことこそが肝要で。
勝てなかったことへの反省と、負けなかったことへの手応えと。その両方を大事にしつつ、さらなる戦いに向かっていかねばなりません。
今節もまた、基本的には前節と変わらないメンバーが名を連ねた中にあって。
大野に代わって、高橋がスタメンに。
ここまでは途中出場でゴールも決めているなかで、スタメンは今シーズン初。
というよりも・・・キャンプ中の怪我で昨年1シーズン出場無しとなってしまったことを思えば。
2019年の11月におこなわれた第30節のホーム長野戦以来、実に1年半ぶりのスタメン出場。
なお、同年の同じアウェイ藤枝戦では2ゴールを挙げて逆転勝利の立役者となっています。その再現となる活躍が期待されました。
今節、他の試合に先立って土曜日の13時キックオフとなったこの試合。
午前中は晴れていたものの、試合開始が近づくにつれて雲行きが怪しくなり、いざ試合時には時折雨がぱらつくというあいにくのコンディションに。
3連勝を目指して果敢に勝ちにいかねばならないカターレでしたが・・・序盤から、藤枝にペースを握られることに。
いわゆる、ディシプリンというやつでしょうか。規律がしっかりしたなかでのプレーという印象を受けた藤枝。
某チームに主力3人を引き抜かれ、監督も交代して臨むこととなった今シーズンですが、目指すサッカーの芯がしっかりしているように見受けられました。
個人的な印象だけで言えば、チームの完成度では前節対戦した今季J3でも高い実力を持つとされる岐阜と比べても、見劣りしないどころか、隙の少なさでは上回っている感じさえ受けました。
そんななかで15分、カターレにビッグチャンス。
高橋からの絶妙なスルーパスが前線に走り込んでいた吉平につながり、あとは蹴り込むだけ、という決定機。
しかし、グラウンダーのシュートは枠を捉えることが出来ず、絶好のチャンスを逃してしまうこととなりました。
「おいぃぃ・・・そういうとこだぞ・・・」
声出し応援が自粛のなかにあって、大声を張り上げることは出来ませんが、それでも。そうこぼさずにはいられませんでした。
今シーズンここまでずっとスタメン出場している吉平にあって、こういった場面は1度や2度ではなく。
逆に言えば、こういった場面をしっかりとモノにすることが出来れば、さらに個人としてもチームとしてもノッていけるのに!という歯がゆさ。
かつてのサポーターたちの目の前でガッツリと決めて恩返し!というチャンスは、逃してしまいました。
さらに。
まさに「そういうとこだぞ」という失点の仕方で、先制点を奪われてしまうことに。
21分、DF久富 良輔が裏に抜け出し、齋藤の動きをしっかりと確認しつつパス、FW宮本 拓弥はそれを流し込むだけ、という理想的なゴール。
いや、齋藤よ、その間合いからだったら、久富に蹴りだされる前に詰めてブロックせねばならないシチュエーションだったろうがよ!と。
こういう言い方は良くないとは知りつつも・・・同じ場面で、西部だったら止めてたんじゃないか?などと思ってしまいました。失礼は承知で。
その、一瞬の躊躇。それが、この先更なる実力派GKへと成長していくために、乗り越えねばならない課題だぞ、と。
「そういうとこだぞ」と。
その先制ゴールと同時に、前半の飲水タイム。残り試合3/4で、最低2点を挙げて逆転勝ちせねばならなくなりました。
ただ・・・正直言って、厳しさは感じていました。
明らかに、藤枝のほうが流れが良い。なかなかチャンスらしいチャンスをつくれず、自分たちのペースに持ち込めないカターレ。
その藤枝で印象的だったのが、ベテランMF鈴木 惇の存在。落ち着いたプレーぶりでボールを回す姿に、チーム内での信頼関係が垣間見られた気がします。
かつて、ユウスケと福岡時代にチームメイトとしてプレー。その2人がJ3という舞台で再会。試合前など、おそらく会話を交わすこともあったことでしょう。「お互い、まだまだ頑張ろうぜ!」というやりとりもあったのでは?
しかし、その鈴木にアクシデント。
前半35分に、痛んで負傷交代。予期せぬかたちで退き、ユウスケと同じピッチに立つことは叶いませんでした。
後にして思えば。
これも、この試合の波乱のひとつでもあったのかもしれません。
今季これまでも強風や雨に悩まされた試合があったことを思えば、弱い雨が降ったりやんだり程度は、ものの数ではなかったはずですが。
この日は、それだけではありませんでした。
雷鳴が轟き、時折稲光り。
逆転をかけて臨んだ後半、開始から約10分の時点で試合を中断。
選手たちはロッカーへと引き上げ、ゴール裏芝生席のサポーターたちもメインスタンド下コンコースへと退避するよう勧告されることに。
これまでにも雷の影響でハーフタイムから後半の開始が少々遅れる、という経験はあったのですが。
後半開始から途中で中断してのものは初の経験。
15時に試合可否を判断する、ということで、およそ40分以上をひたすら待つことになりました。
そんななか、コンコースを訪れた左伴社長。「この場合、中止になったらどうなるんだっけ?」と。確認しなくちゃ・・・って、いやいや、アナタ、ガッツリと関係者ですがな!
Jクラブの社長として豊富なキャリアを持つ彼にして、相当にレアな経験であったようで。
なんとか試合再開が確定、ウオーミングアップを経て15時20分からの再開となりました。後半途中からだけのために後日改めて、という嫌なシチュエーションだけは回避し、安堵。
しかし、再開されたからと言っビハインド状態が変わるわけでなし。
開始時に高橋に代わって戸高を投入し、逆襲を図ることに。
すると、その戸高と、椎名、花井という前めの選手たちの動きが良くなり、交代策が奏功。
そんななかで、70分を過ぎた頃。
終盤の勝負を見越して一挙3人交代を準備していた、まさにそのときでした。
前への推進力を発揮していた花井がペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得。
前節岐阜戦に続き、2試合連続でのPKチャンスとなりました。
前節決めた大野はメンバー外、先の八戸戦でもキッカーを務めた吉平が蹴ることに。
追い付くためにはどうしても決めねばならない、プレッシャーのかかる場面。それでなくとも、絶好機を外してしまった気負いも、あるいはあったかもしれません。
それを乗り越えて・・・決めた!!!
しかし。
なんと、蹴り直し。
おいぃぃ・・・なんてこったい!
それでも、やるべきことは変わらず。
再びの吉平。2度目もきちんと決めて、同点に追いつくことに成功しました。
奇しくも、前半と同じように、直後に飲水タイム。残り1/4を、いかに戦うかが問われることに。
3人交代を取り消すかたちで、前線では松澤、守りでは林堂を投入して、攻守両面で引き締めを図ることに。
しかし、スコアは動かず。
勝ち越しゴールを奪えなかった一方で、相手にもそれを許さず。
結果、1-1のドロー。星を分け合うことに。
藤枝にとっては、石﨑前監督への恩返し勝利を狙った試合で、優勢に進めながらも勝ちきれず。結果、3試合連続ドロー。どうにも不満の残る試合となってしまったことかと。
一方で、カターレ。
正直言って、厳しい試合でした。
あきらめたくないことは言うまでもないながらも、それでも、負けも覚悟せねばならない試合であったかと。
それでも、負けなかった。
流れから奪ったゴールではないにせよ。しぶとく全試合得点を継続し、勝ち点1を拾い上げた。
全試合が順風満帆に勝てるわけではないなかで、当然、厳しい試合もありましょう。
そのなかで、負け試合で安易に負けなかった。それどころか、アウェイで貴重な勝ち点1。
ベストとは程遠い内容ではあったものの、それでも。
結果としては、ベターではあります。
満足いくものでなくても、それでも。
やりきること、結果を残すことこそが肝要。
この結果を活かすも殺すも、これからの頑張り次第。
再び、首位の座を奪い獲るためにも。
ここが、踏ん張りどころ。
次週の富山県サッカー選手権決勝を経て、次なるホーム沼津戦に向けて。
今節の反省を踏まえながらも、アクシデントにも屈せずしぶとい戦いを繰り広げた手応えを胸に。
更なる精進を重ねなければ。