1-1でドロー。
もしも引き分けに判定決着があったとしたら、負け試合。試合中に見せたパフォーマンスは、明らかにいわきの側が上でした。
それでも。
良いかたちで先制し、3連勝に向けての機運も高まっていたいわきを、止めた。
劣勢に追い込まれながらも、決してあきらめず。追いつき、3連敗の危機を回避してみせた。
勝ち点1を分け合う結果となりましたが、実質的には、いわきとしては勝ち点2を落とし、カターレとしては勝ち点0から1を積み上げることに。
もちろん、勝ちたかったのが本音で、連続勝ちなしが継続という結果ではありますが。
ここでひとつ、踏みとどまってみせたこと。
成果を糧に、逆襲に向けての起点とせねばなりません。
ここまで毎試合GKが替わっていたなかで、今節は山田が2度目の起用となりました。
あとは、陽次に代わって姫野が入ったくらいで、ほぼこれまでを踏襲するかたちの編成に。
継続性を重視し、だからこその現状打破への奮起が求められた試合。
3試合負けなし、2連勝中という勢いのあるいわきに対し、後手に回っては押し切られてしまうであろうところ。
フィジカルの強さがウリであるという前評判でしたが、はたして、試合でもその評判に偽りなしといった具合で。
攻守の切り替え、寄せのスピードなど、明らかにカターレのそれを上回っていたいわき。
セカンドボールも的確に拾われ、対人の競り合いでも強さを見せ。
昨シーズンの宮崎をはじめ、これまでのJ参入初年度クラブもそうでしたが・・・初のJリーグだからといって気後れするところなど無く。むしろ、リーグ上位クラスの力を持ったチームとして相対するのが相当、という傾向は、このいわきにもそのまま当てはまるものであったかと。
そうなればこそ。
連敗阻止の気合が、気負いとして空回りしてしまうリスクを抱えていたカターレにあっては、そこからどう勝機を見出していくのかが問われる試合でした。
相手の実力を認めつつも、勝つためには得点が必要。
もちろん、先制して自分たちのペースに持ち込むことはマストであった・・・のですが。
試合が動いたのは20分。
それまでもサイドで機敏な動きを見せていたいわきのDF嵯峨 理久が、鋭い切り返しから速いクロスを上げると、「合わせるだけだった」というMF岩渕 弘人がヘッド。
お手本のような流れで見事に決まり、先制点を奪われることとなってしまったのでした。
いわきにとっては、だんだんと相手の傾向がわかってきた良い時間帯に、良いかたちで決まった先制ゴール。いわきグリーンフィールドが沸くことに。
対して、カターレにとっては・・・ここまで、全試合失点。しかも、アウェイ3戦で3戦ともに先制を許してしまうという。
それでなくとも、相手のペースに手こずり、なかなか良いかたちにもっていけていないなかでのこと。
連敗阻止を掲げた試合であったにもかかわらず・・・苦境に追い込まれることに。
0-1で試合を折り返し、勝負の後半。
開始時に椎名に代わって大野を投入。マテウスとFWコンビを組み、川西がトップ下にポジションを下げるかたちに。
すると、この策が奏功。
高い技術力を持つ川西が的確にボールを扱うことにより、前半に比べて明らかにカターレの攻めに良いリズムが生まれ。
また、チャンスメイクだけでなく、川西みずからもシュートを狙ったりする。それでも、相手とすれば前線で頑張る大野に対する警戒を緩めるわけにもいかず。
一方で、松本と安藤の両サイドも、それぞれで機をうかがい続ける、と。
あるいは防戦に追われた感のあった前半とは、様相が異なる後半。
運動量が落ちないいわき、もちろん手を焼かされたものの、それでも。
反攻の意志というものは、常に見せ続け。ファイティングポーズを崩しませんでした。
そんななか、試合も終盤の82分でした。
ハーフライン付近の自陣から、FKでリスタートというシチュエーションで。
相手が落ち着く間もなく、素早くロングボールを蹴り込む川西。
ディフェンスの裏、GKとの間を狙ったボールに的確に反応した大野につながると。CBの2人、さらにはGKともつれるような格好になりながらも、抜群の体幹の強さ、反応の鋭さで蹴り込み、見事にゴール!
大野の今季3得点目となる同点ゴールが決まり、試合を振り出しに戻したのでした。
愛媛戦の決勝ゴールに続き、今回もまた、川西のアシストを大野が決めるというコンビプレー。
練習のうちから試合で起こりうるシチュエーションを想定しつつ取り組んでいる、とのことですが。今回もまさに、2人の意思疎通がバッチリと決まったかたちのファインゴールとなったのでした。
追い付いた勢いを、さらに逆転まで繋げたかったカターレではありましたが。
やはり、いわきもさるもので。
前節の愛媛戦、試合終了間際に追いつかれてしまったものの、そこで気落ちすることなく奮起し。ほぼラストプレーというなかで、値千金の勝ち越しゴールを決めて劇的勝利を挙げた、と。
その成功体験があるだけに、あきらめて最低限ドローでいいか、という選択肢など無く。むしろ、攻撃の強度が上がったくらいで。
もちろん、カターレとしても譲るわけにはいかなかったものの。
前節の北九州戦で、CKのチャンスをものにされて敗れるという苦い経験をしています。
その悔しさを繰り返すようなことは、断じてあってはなりませんでした。
実際、4分あったアディショナルタイムの最後まで、いわきの気力と攻勢が衰えることは無く。
それでも、カターレの側もまた、集中力を切らすことなくしのぎ続けたのでした。
そして、タイムアップ。
苦しい試合でした。
あるいは、3連敗も現実的であったとも言えました。
けれど、屈しなかった。
勝利こそならなかったものの、連敗阻止。アウェイの地で勝ち点1をもぎ取ることに成功したのでした。
悔しいけれど、いわきの強さを認めざるを得ない試合でした。
間違いなく、これまで3試合と比べても、いちばんの難敵でした。
逆に言えば・・・いろいろな条件が異なるので単純な比較とはなりませんが、それでも敢えて言えば。先の北九州戦は、明らかにカターレのほうが上回っていた試合であったかと。
それを制することが出来ず、逆転負けをくらってしまったこと。
甘さ、と断じてしまうのもどうかとは思いますが、やはり、無念さは募りました。
一方で、今節のいわき戦。明らかに、劣勢を強いられ。
しかし、踏ん張ってみせた。
もちろん勝ちたかった、勝てなかったのは事実ではありますが・・・それでも負けなかった。
力あるチームに屈して3連敗となってしまっては、いよいよ優勝という目標も遠く霞んでしまっていたであろうなかで。
最良の結果でこそなかったけれど、それでも意地を見せた。劣勢に屈せず、勝ち点を1でも積み上げた。
あきらめてしまっては、なにも生まれなかったところ。
あきらめなかったからこそ、希望が残ったということ。
優勝への道の険しさというものを、いやがおうにも思い知らされているここまでですが。
しかし、だからこそ。
今後の頑張りで巻き返しも可能である段階で、それを実感したからこそ。
この経験を、活かさねば。
まずは、次節のホーム岐阜戦。
連続勝ちなしを阻止し、ホーム勝利でファン・サポーターの期待に応えること。
優勝を目指す指針にブレがあるわけでは決してないと、結果でもって知らしめること。
必ず、やり遂げねば。
戦いは、続きます。