3-2で勝利。
前節、今季ワーストという内容で0-3の惨敗を喫してしまったカターレにあっては、あるいは連敗の危惧もあったところ、そうはさせませんでした。
無得点であった反省を活かし前半のうちに3得点を挙げると、そのリードを守り切るかたちで勝利し、勝ち点3を加算。ホーム戦連続負けなしを9に伸ばすことに成功しました。
その結果だけ見れば、必要にして充分な成果を得た、とも言えるのですが。
・・・実際のところはと言えば。
正直言って、0-2で敗れてしまったかのような後味の悪さがあります。
結果は残せた。けれど、過程については、課題が克服できないまま。
どんなかたちであれ、勝つことがなによりも大事。それは間違いないです。
それでもやはり・・・勝ち方に強さの実感が伴わない勝利では、諸手を挙げては喜べないところがあります。
朝から雨が降り、18時の試合開始頃には止むというのは、2週前の愛媛戦のときと同じ。
その雨が大きく響き、苦戦が続く観客動員数に追い打ちをかけるかのように、わずか1598人にとどまってしまうという。
先頃、経営状況の短観が発表され、1億円の赤字の見通しということが公表されたばかり。それを取り戻すためにも動員に力を入れたかったところに、この仕打ち。
天候のことを嘆いてもしかたないところはありますが、それにしたところで、こうも機会損失が続いてしまっていては・・・げんなりともします。
けれど、だからといってやるべきことが変わるわけでなし。
足元の悪いなかで駆け付けたファン・サポーターに応えるべく、勝利を挙げねばなりませんでした。
鎌田、姫野、大山、大野といった面々がスタメン復帰となり、前節より小改造といったメンバーで臨むこととなった今節。2試合目となる夏ユニフォームを身にまとい、キックオフの時を迎えました。
今節のプレビューで、「連戦となる福島は、試合開始からしばらくはコンディション確認に充てるだろう。ならばそこを容赦なく突いて先制点を挙げるべき」という旨の書き込みをしましたが。
まるで、その私的見解プランがチームに通じていたかのように。
開始からわずか6分、川西のゴールによって先制に成功したのでした。
相手陣内でクリアが中途半端になったところをかっさらうと、迷いなくゴールに叩き込み、見事に決めるという。
さらに、27分。再び川西が決めて、2点目。
今年で33歳、中堅からベテランへ、という年齢の川西ですが、昨季J3得点王という実績をはじめ、やはり重ねてきたキャリアは伊達じゃないな、と。そんなことを思いながら唸らされるような、技ありのゴールが決まり。
さらに勢いは止まらず、29分。
左サイドで引き付けていたところ、逆サイドから走り込んできた大山に通り、それを決めて3点目。前半のうちに3-0と大きくリードを奪ったのでした。
JFLのFC大阪より今シーズンから加入した大山にとって、嬉しいJ初ゴール。これまでの頑張りがひとつ結果となったことにより、自信にもつながっていくのではないかと。
前節、屈辱の0-3負け。それを引きずって連続無得点で連敗にでもなろうものなら、いよいよもって致命的なダメージを被っていたところでしょうが。
そうはさせず、前半のうちからホーム全試合得点を更新、さらに久しぶりの3得点となれば。
こうなりゃ、3点と言わず4点、5点と挙げて、得失点差のプラスを加算していくべき!
勝利は最低ラインとして、さらなる躍動がもとめられました。
3-0で折り返し、迎えた後半。
勝利には大きく近づいたとはいえ、あとは流してプレー、というわけにもいきませんでした。
3点で満足せず、それ以上の得点を挙げることはもちろんとして。
前回の福島戦以来、8試合にも渡って連続失点してしまっているという状況を改善し、無失点に抑えねばならない。それもまた、今節にかかる重要なミッションであったかと。
それに・・・あくまで勝利に近づいたというだけで、勝ちが確定したわけではない。
過去、0-3から4得点を奪って逆転勝利した試合を経験しているだけに。
相手にはそれが起こらないなど、どうして言い切れようかと。
勝敗は、試合終了のホイッスルが鳴るまで決しない。
だからこそ、後半により一層の奮起がもとめられた・・・のですが。
0-3という圧倒的な劣勢にあっても、試合がおざなりになってしまうことのなかった福島。
56分、先の相模原戦でともにゴールを挙げて勝利に貢献した長野 星輝と森 晃太が同時投入されると。64分、その長野が期待に応えて2試合連続となるゴールを決めて、1点を返すことに成功したのでした。
カターレ側が、次なる1点をなんとか、という状況の中で前線の大野にボールを集めるも、なかなかうまくいかない。そのうちに大野にも疲れが見えてパフォーマンス低下、そのテコ入れをせんと交代を準備していた・・・まさに、そのタイミングで決められてしまったのでした。無失点で乗り切るプランが、崩れてしまうことに。
直後に高橋と碓井を同時投入、前半の疲れが出たか、というチーム状況の打開を図ったものの、なかなか思うようにはいかず。
そんななかで、77分。やはり2試合連続ゴールとして、森に決められてしまい、1点差にまで詰め寄られてしまうことに。
福島にとっては、期待を込めて送り出した途中出場のふたりが、そろって結果をだすというグッジョブ。このまま終わらせてなるものか!という気迫がありありと。
直後の78分、「同点、逆転に向けて、さらにいくぞ!」という決意表明かのように栗原 ブラヒム ジュニア、樋口 寛規の両FWを同時投入されたとあれば、さすがにヒエッ!てなもので。
3点差から逆転負けは論外として、同点すらもありえないだろ!と。それでも、なお福島ペース。
一方のカターレは・・・どうにも、突き放すだけの追加点を奪えるような状況に、もっていけず。
なにか、ビハインドから同点、逆転を目指していたはずが不発に終わってしまった前節と、同じような雰囲気。
当然、その反省を踏まえて今節に臨むべくトレーニングをしてきたはず。けれど、その成果というものが、どうにも見受けられないと。
途中出場で結果を出した福島のふたりに対し、高橋さんよ・・・そこ、強引にでも狙っていくところだろうが!パスで戻すとこじゃないだろうがよ!前節と同じじゃねーか!などなど・・・。
さらには、審判の不可解なジャッジも加わり。試合前に両キャプテンによるリスペクト宣言もあった手前、言いたくはないけれど・・・それでも、あからさまに手を使って倒したってのにノーファウルって、おかしいだろうが!とかイライラも募り。
相手寄りの審判なら、どうせアディショナルタイムも5分とかだろ?とか思っていたら、実際は6分。
最後の最後まで、ハラハラさせられっぱなし。試合終了間際のゴールで突き放す、というシチュエーションに持ち込むよりも、劇的同点弾を防ぐので精いっぱい。
結果として、勝ちました。
けれども、どうしても晴れやかな気持ちの快勝とは言えず。
やはり、心情的には0-2の負けのような試合であった感がぬぐえません。
もちろん、勝つこと以上に大事なことはありません。
終わり悪けりゃ全てダメ、というのがこの世界であって。結果がすべて、と言えばそのとおりでしょうから。
いわき、鹿児島、松本といった上位陣もそろって勝利したことで、差を詰めることは叶わず。それでも、勝てずに差を広げられるのが最悪の結果であったことを思えば、最低限の結果は残せたかと思います。
ただ・・・。
この結果を、他クラブはどう見るでしょうか?
連勝を伸ばした首位・いわきとこれから対戦するクラブは、「やはり得失点差+30オーバーは伊達じゃないな」という畏怖の気持ちを抱くのではないかと。
翻って、カターレはどうか?
そういった脅威を与えるよりも、「優勝戦線からもそう遠くないうちに脱落する程度のクラブに後れを取るわけにはいかないな」ではないかと。
勝利に勝るものはありませんが、それでも。
勝ち方というものは、やはりあります。勝ちさえすればそれでいい、ではなく。
相手に恐れられるような勝ち方をすることで、それで実際の対戦でも勝つ可能性が1%でも上がるなら、それをやるべきで。
それこそが、勝利のために全力を尽くすということ。
勝ちはしましたが。
そういった、勝利のために全力を尽くすサッカーが出来ないならば、見通しは暗いのではないかと。
それでも。
次の試合は待ってはくれません。
連続ホーム戦として迎える、次節宮崎戦。
連勝は必須、その上で、駆け付けるファン・サポーターに掛け値なしの、心からの歓喜を届けるために。
勝利のために全力を尽くすサッカーでもって、期待に応えねばなりません。